「残業代の計算って難しい……」
って思ったことはありませんか?実はネット上でも、残業代の計算式が難しいってつぶやかれています。
残業代の計算に、基本給だけじゃなく手当も乗っていたらしい。あの計算式だと思うけど、分子の内訳がよくわからんな。手当含むとか書いてくれたらわかりやすいのに。
— いちか (@monotone_sugar) July 24, 2019
明細みても残業代の計算式がわからん。帰ったら本気出す。
— じん りゃく (@jin_rime) July 15, 2011


彼女だけじゃなく、皆さんの中にもそのような考えを持っている人もいるかと思いますが、たしかに会社の計算は安心できるかもしれません。しかし、だからといって会社が出してくれている給与明細にかかれている金額が必ずしも正しいと、本当にそう思えますか?甘く見ると痛い目を見ます。

正論を言えば、そのとおりなのですが、でも給与計算している経理の人だって、人間なのです。人間誰でも失敗するものです。少し違うかもしれませんが、有名な言葉に“自分の身は自分で守る”がありますが、まさに自分の残業代は自分で計算できるようになるべきだと私は思います。

そうですね……法律の計算というのは少し面倒なものが多いと思います。そこで今回は、自分で簡単に残業代が計算できるように残業代、基礎賃金そして残業代の計算方法を紹介していきたいと思います。
これを読めば、貴方も残業代の計算ができること、間違いなしです!!
この記事は以下の方におすすめです!!
- 残業代の計算面倒!!でも自分が支給されてる残業代が正しいか知りたい人
- 会社の計算は信用してない人
- 残業代の計算を自分で知りたい人
残業代って法律でどう決まってるの?

面倒な残業代を説明していくには、残業代の定義と種類について知る必要があります。

そう思う方もいると思いますが、実はあります。この種類によってもらえる金額(残業代)が変わりますので、よく知っていた方が自分の得にもなりますよ。では、まず残業代の定義から説明していきたいと思います。
残業代とは、上記に示すように“会社で定められている労働時間を超えるともらえる手当”なのです。つまり定時後に働いた分だけ上乗せされることになります。
会社によっては働いた分だけの残業代ではなく、”みなし残業代”として給料に加算している場合もありますので上記がすべての会社に適用されるわけではありません。
さて、残業については理解してもらえたかと思いますので次に種類について説明していきます。残業には“法定時間内労働”と“法定時間外労働”の2種類があります。
法定時間内労働:
会社が契約で定めた”所定労働時間”(いわゆる定時)を超え、労働時間以内の範囲で行われた残業のことを言います。
法定時間外労働:
労働基準法第32条で定められた労働時間(原則として1日8時間、1週間で40時間)を超えて行われる残業のことを言います。また、この場合は割増賃金が発生します。
文章だけだと、「なんのこっちゃ?」ってはてなマークを思い浮かべているかと思いますが、これを理解すると、皆さんも違和感に思っているある事象のからくりが解決します。
まず、皆さんにお聞きしたいのが、時間有給で休んで、会社に出勤して残業しても残業代が支払われないって経験ありませんか?なんか給与明細見てもその時の残業代載ってないぞ!!、これで火がついて残業代の計算方法を調べてみても結局わからなくて、「仕方ないや……」で済ましている方も多いかと思います。
私の友人の話を元にこのからくりについて説明していきたいと思います。彼は、私用のために有給休暇で2時間お休みしていました。その後出社し、2時間残業をしたのですが、彼は割増賃金での支払いはなかったとのことです。そうです。彼も皆さんと同じで割増賃金が会社から支払われませんでした。
これはなぜか?実は彼が残業していた時間というのは、所定労働時間以内とされているからです。つまり“法定時間内労働”では割増賃金は発生しませんが“法定時間外労働”では割増賃金が発生するということになります。彼の会社では休憩を除いて8時間が所定労働時間(いわゆる定時です)として定められています。
彼は2時間遅れて出社この時点で定時までの時間は6時間です。その後、残業を2時間しましたが結果的に彼の労働時間は8時間となります。この場合割増賃金としての支給はされません。これが”法定時間内労働”となります。
これで少しは、残業について理解できたかと思います。次に法定時間外労働についても詳しく説明していきたいと思います。これは種類があり、この種類によって法律で時間給に掛けられる割増賃金の倍率が変わります。
時間外労働:
1時間が時間給×1.25(25 %割増)として計算されます。
深夜労働:
1時間が時間給×1.5(50 %割増)として計算されます。正確には時間外労働の1.25(25 %)の加算後に更に0.25(25 %)を合わせています。そのため1.5(50 %)として計算されます。
休日労働:
労働基準法では会社に”法定休日”という週1日に休日を設定するようにと定められています。基本的には日曜日が設定されていると思います。”法定休日”に労働した場合は1時間が時間給×1.35(35 %割増)として計算されます。しかし土曜日などの休日で働いた場合は時間給×1.25(25 %割増)として計算されます。その理由は土曜日は”法定外休日”という扱いになるからです。
この扱いになりますと1週間の労働時間が40時間超えているのであれば法定時間外労働として割増賃金が発生します。40時間を超えていない場合は先程の法定時間内労働としてみなされますので割増賃金は発生しないということになります。
時間外労働時間、深夜労働時間、法定休日労働時間はそれぞれ、月の合計のうち1時間未満の時間(分)が法律により30分以上なら切り上げて1時間と換算し、30分以下なら切り下げていいと認められています。
“賃金計算の端数の取扱い”
1か月における時間外労働、休日労働及び深夜残業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
引用:賃金計算の端数の取扱い_昭和63年3月14日 基発第150号より

面倒な時間給計算?基礎賃金ってなに?


そんな人でも理解できるように残業時間の計算方法のために必要な時間給の計算について説明していきたいと思います。この時間給の計算を知るためには、まず基礎賃金について理解する必要があります。
基礎賃金とは簡単に言うと、基本給プラス“労働基準法第37条”及び“労働基準法施行規則第21条”では該当しない手当を足したもののことを言います。
“労働基準法第37条”及び”労働基準法施行規則第21条”を簡単に説明しますと、教育手当、住宅手当、ボーナスなどになります。しかし、条件によっては、住宅手当、通勤手当、家族手当なども基礎賃金の計算に含まれる場合もあります。
もう一つ時間給計算のために必要な準備として、1ヶ月の所定労働時間を計算する必要があります。1か月の平均所定労働時間の計算は以下のようになります。営業日(土日祝日を除いた平日の稼働日のことです。)で計算することを私はオススメします。一ヶ月の平均営業日は20日となるため、計算すると
20日(営業日)×8時間(所定労働時間)=160 時間
となります。これで1ヶ月の所定労働時間が算出できたため、あとは基礎賃金を元に、残業代計算で必要となる”時間給”を計算することができます。

あくまで計算では基本給が対象となります。そのため下記に示す手当は含まれません。会社によっては含まれる場合もありますが、文中にも書きましたように、自分の会社はどうなのか要確認だと思います。
“割増賃金の計算に含まれない手当”
・家族手当
・通勤手当
・住宅手当
・臨時の手当(結婚手当、出産手当など)
などなどの手当
上記の注意に示す内容を含めると、今回の計算よりもさらにややこしくなるため、過去に基礎賃金の計算に含まれる手当について詳しく書いた記事がありますので、そちらを参照していただければわかるかと思います。
計算方法を実例解説!!

今までは説明だらけでわかりにくかと思いますので実際に例を用いて今回紹介してきたことのおさらいしていきたいと思います。
Tさんという会社員は基本給が20万円で、その月に、6時間残業、1時間深夜残業したとします。では彼の残業代はいくらになるでしょう?
まずTさんの基本情報を下記のようにまとめました。
土曜日出勤:1日
日曜日出勤:1日
時間外残業:6時間
深夜残業時間:1時間
勤務日は営業日:20時間
所定労働時間:1日8時間



ではまず時間給を求めていきます。時間給に必要なのは、1ヶ月の平均所定労働時間です。営業日20日、1日8時間労働であれば、答えは160時間になるのはすぐにわかりますよね?
また、Tさんには手当が支給されていませんので、基礎賃金はそのまま基本給として考えて問題ないです。基礎賃金と1ヶ月の平均所定労働時間を用いることで、下記のように時間給を求めることができます。
これで、Tさんの時間給まで算出することができました。
今回は基本給を基礎賃金として計算しましたが、実際には手当も含まれる場合もあるため、基礎賃金も大きく変化していきます。基礎賃金について詳しく知っておくと時間給の計算は更に精度があがりますよ!!
次に、Tさんの残業代計算をしていきたいと思います。先程求めた時間給を用いることでこれも簡単に算出することができます。時間外残業の場合は、1時間が時間給×1.25(25 %割増)となりますので、Tさんは5時間残業したため、次のように計算できます。
となります。
深夜残業についても同様に計算していきますが、深夜残業の時間給は時間外残業時間で計算したものを含めるため、次のように計算できます。
または、
1,250 (円) × 1.5 = 1,875 (円)
最後にこれらの結果を総計します。
結果、Tさんの残業代は総計で9,688円となりました。


本当にこれで正しいのか検算するために、下記の簡易残業時間計算シートを使って検算を実施しました。結果は同じく、9,688円だったので問題ないと判断しました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は残業代の計算について紹介させていただきました。実際に実例を用いて計算方法を紹介することで、皆さんも面倒な残業代計算がとっつきやすくなったかと思います。
これが計算できることによって更に正確な残業代を求めることができます。ぜひ今回紹介した方法で、貴方の残業代計算本当に正しいのか確認するチャンスだと思います。確認して計算が合わない場合は、会社に報告すべきです。私も過去に、会社から支給された給与が間違っていたことがありました。
その時は、残業代計算を自分でしたことで発覚しました。会社に報告したところ、すぐに対応して頂けたので、間違っていても重く考えずに会社に相談したほうがいいですよ!!
※今回検算で使用したエクセルシートに関してはこの記事で詳しく説明しております。また、ダウンロードもできますので、残業代計算をもっと簡単にと思う方はどうぞ、こちらを参照してください。


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