会社から一方的に解雇される事は、よっぽどの事が無い限り少なくなっています。労働者を守ってくれる法律が増えた為です。ですが度が超えた悪さをすると、もちろんの事ですが解雇になってしまいます。
その中で「諭旨退職(ゆしたいしょく)」という言葉を聞いたことはないでしょうか。あまり聞きなれない言葉ではありますが、今では懲戒解雇よりも多い処分の形となっています。
処分の内容はもちろんのこと、退職届は書くのか、再就職に影響するのか気になりますよね。
万が一諭旨退職を言い渡された場合には、意味を理解していないとその後の再就職に大きく関わってきてしまいます。
この記事では、諭旨退職扱いになったらどうなるのかを説明していきます。
Contents
諭旨退職ってなに?

そもそも、「諭旨」とは何でしょうか。急に言われても首をかしげてしまいますよね。
ゆ‐し【諭旨】
[名](スル)趣旨や理由をさとし告げること。
引用:コトバンク
言葉のニュアンスは優しい感じがするのですが、辞書的な意味では「さとし告げること」という意味です。会社から労働者へ諭し(さとし)て、退職を促すのが諭旨退職となります。
ちなみに「諭旨解雇」という言葉もありますが、のちほど説明します。
懲戒解雇との違い
よく聞く懲戒解雇(ちょうかいかいこ)と諭旨退職(諭旨解雇)はどう違うのでしょうか。
懲戒解雇は、社内の秩序を著しく乱した社員に罰として課す解雇のことで、もっとも重い処分です。処分の重さ順だと、懲戒解雇>諭旨解雇>諭旨退職>降格>(以下略)となります。
諭旨退職(諭旨解雇)は「懲戒解雇に相当するけれども、今までの働きや功績、本人が反省している点を認めて丸~く退職してもらおう」という企業側の優しさや計らいを含んでいます。

懲戒解雇となり得る理由を下記にまとめました。会社の判断次第で諭旨退職(諭旨解雇)となることもあります。
- 横領や窃盗等、業務上の信頼を大きく損なう不正行為をした
- 殺人・強盗・強姦等、社会的にも重大な犯罪を犯す行為をした
- 経歴を詐称した
- 正当な理由なく無断欠勤が1カ月以上続いた
- セクハラにパワハラ等、重大と判断された
- 再三の注意や処分に関わらず、労働者本人の問題が改善されなかった 等々
諭旨退職(諭旨解雇)の報道例
ニュース等で報道されましたが、2013年に某芸能人の息子が窃盗容疑にかけられて逮捕された事件がありました。
息子は当時勤めていた企業から諭旨解雇処分を言い渡されましたが、世間からは「甘過ぎる!」と非難されていたのが印象的でした。社会的に許しがたい行いをはたらき、企業に大きな損害を与えたとして「懲戒解雇が妥当だ!」との声も多くありました。
父親の芸能人としての功績等を考慮され、懲戒解雇にしなかったのだろうと憶測されました。
一般人からは「父親の功績でなぜ処分が変わるんだ。元々息子の評判は悪かった。罪は罪。懲戒解雇にするべき」といった批判がありました。
なぜ諭旨退職(諭旨解雇)扱いにするのか
懲戒解雇ではなく、諭旨退職(諭旨解雇)にする理由は、企業側にも事情があるからです。
日本社会では法律によって労働者の立場が守られており、企業は簡単に労働者を解雇できません。罰として行う懲戒解雇はよほどの特別な事情がないと難しいのです。
万が一、裁判で懲戒処分の有効性を争うことになった場合、企業側の懲戒権の行使が権利の濫用に当たるのか否かが判断されることになります。懲戒解雇は、裁判所の判断も企業にとって厳しくなります。そのため諭旨退職を適用するほうが、企業にとっても解雇処分適用のハードルが下がるのです。
諭旨退職(諭旨解雇)を言い渡されたらどうなるの?

諭旨退職は自己都合退職扱い
諭旨退職はあくまでも懲戒処分、解雇の一種であるので退職はまぬがれません。退職届を提出して退職となります。
懲戒処分でありながら、労働契約終了形としては自発的な退職として扱われます。そのため会社都合ではなく自己都合の退職となります。
退職届を出さないとどうなる?
諭旨退職の処分を下された場合は定められた期限があり、退職するまでに猶予期間があります。その猶予期間の間に退職届を提出しないと懲戒解雇になる事もあります。
退職届は、一般的に退職が決定している場合に提出する書類です。自発的な退職と位置づけるために提出を必要とされるのですね。
また退職届を提出することで、反省していることを示すことにもなります。決して遅れずに期間内に提出しましょう。
退職届の書き方
諭旨退職は、猶予期間の間に退職届けを提出することで、円満退職に近い形で会社を去ることができるといった優しさをもっています。
自己都合での退職となりますので、退職届には「一身上の都合」と記入します。通常の退職届の書き方で問題ありません。
退職届の詳しい書き方はこちらの記事も参考にしてみてください。
ちなみに退職届には一身上の都合と明記する慣習がありますが、本来労働法では退職理由の記載は不要とされています。
そのため「令和〇年〇月〇日 退職致します。」でも十分とされています。
退職金は支払われるの?
退職金の支払いは義務ではなく、企業により任意で支払われます。就業規則に従い減額、全額支給など処置が決定します。
傾向としては、諭旨退職(諭旨解雇)の場合には退職金は支払われることが多いです。懲戒解雇の場合にはほとんど退職金は支払われませんので、自分が犯してしまった過ちが懲戒解雇となるようなケースなら、おとなしく退職届を提出したほうがよいでしょう。
諭旨退職と諭旨解雇との違い
懲戒処分の重さについて懲戒解雇>諭旨解雇>諭旨退職>降格>(以下略)と先に説明しました。
諭旨退職と諭旨解雇では、諭旨退職の方が一段階軽い処分となります。しかし諭旨退職では解雇予告手当が支給されない場合も多くあります。
参考:構成労働省リーフレット
諭旨解雇は解雇に変わりないので、解雇予告手当が支給されます。
諭旨退職の場合は解雇という意味合いは弱く、労働者が自主的に退職するという意味合いが強いので解雇予告手当が支給されないことが多いのです。企業にとっても解雇予告手当を支給がないほうが負担も減りますので、都合がよいというわけです。
諭旨退職(諭旨解雇)は次の就職へ影響するか

諭旨退職は現職を去ることは免れないとわかりました。そうなると気になるのは転職できるかどうかですよね。
「履歴書に諭旨解雇されたと書かないといけないのか」
「そもそもバレる?」
不安でいっぱいなことかと思います。心配しなくても大丈夫です。順に見ていきましょう。
履歴書には書くの?
「賞罰」という欄が設けられているフォーマットの履歴書があります。この履歴書を使用した場合は、賞罰に諭旨解雇となったことを正直に記載しないといけません。
逆を言えば賞罰欄が無いフォーマットの履歴書を選べば問題ありません。職歴欄も、解雇ではなく退職と明記すればOKです。
普通の転職用履歴書と変わりませんので不利になることはありませんね。
面接では話すの?
転職活動での面接において、諭旨退職したことを申告する必要は特にありません。懲戒解雇の場合は申告する必要があります。
まれに、前職の会社に退職理由をリサーチする企業もあります。調査が入ることを想定して正直に申告してもよいですが、あなたの裁量次第です。無理に話す必要はないと思います。
離職票にはどう記載されるの?
離職票には諭旨退職と記載されますが、本来失業手当の申請等のためにハローワークに提出する書類で、転職先の企業へ提出しなくてもよい書類です。
まれに提出を求める企業もあるかもしれませんが、失業手当の申請をした場合は手元に残りませんので、あまり心配しなくてよいでしょう。
まとめ

諭旨退職について説明してきました。いかがでしたか。
諭旨退職は一般的な自己退職とは違い、懲戒処分の一種であることを忘れてはいけません。
犯してしまった過ちは客観的に見つめなおし、十分に反省をして次に生かすことで成長の糧となりますよ。また、再就職の際のデメリットもほとんどありませんので自信を持って転職活動に臨みましょう。
- 諭旨退職(諭旨解雇)は懲戒解雇に相当するが、企業側の計らいで労働者の自己退職を促して円満な退職扱いにする処分
- 企業にとっては解雇処分のハードルが下がり、労働者にとっては懲戒解雇のレッテルを免れるメリットがある
- 退職金は支給されることが多く、転職で不利になることもない


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