先日、大学時代の後輩からこんな誘いをもらいました。

おや、相談って何だろうと思い、了承の返事をして、待ち合わせ場所の居酒屋に向かいました。暖簾をくぐって後輩の姿を探したところ、彼はどうもこちらには気付かぬまま、スマホを片手に難しい顔をしていました。しかも、何やらぶつぶつ言っています。




だいぶ驚かせてしまったようです。しかし、相談ごとはそれのようでした。正社員として働いてきたけれど、その会社を辞めて、別の仕事に就くのだという話でした。
しかしどうも、「退職届を書きたいが、パソコンで書いていいのか? 書いていいならどうすればいいのか?」という悩みを持っている模様です。


素直な言い方に若干複雑な気持ちにはなりましたが、せっかくですから、後輩の相談に乗っていきましょう。
Contents
退職届はパソコンで作ってもいいのか
手書きでもいいし、パソコンでもいい


はい、ビジネスマナー的には、退職届をパソコンで作成することに問題はありません。
「手書きで書くのが常識」という意見も、世間には根強いですが、手書きで文字を書くのがとても苦手という人にとって手書きで書類を書くのは苦役ですよね。間違えて書き直すのも、とても手間がかかります。
そもそも退職届は、離職の手続きをする上で必要になるものの「任意の書類」なので、究極的には出さなくても、「退職する意思を会社に伝える」ことで退職はできます。
ただ、「意思を伝える」というと口約束になってしまいますし、会社との合意にも手間がかかりますので、紙媒体で書類を残すことをおすすめします。
「やめたい」場合は、会社側の承諾があってはじめて退職、つまり労働契約の解約が成立することになります。退職の申込みの意思表示の場合で、会社の承諾があって成立します(労働契約の合意解約)。
(引用:埼玉労働問題相談所・春日部)
また、就業規則で退職届について規定している会社もありますので、ご自身の勤務先の就業規則を必ず確認してくださいね。規則で定められている場合は、そちらに従ってください。
ちなみに、「退職届」の仲間に「退職願」というものもあります。形式がとてもよく似ていますが、「願」は「願い出るもの(=希望)」で、「届」は「届け出るもの(=決定)」なのでご注意ください。違いはこちらの関連記事で詳しく説明しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
手書きの書類=誠意の現れという考えもある
とはいえ、手書きの退職届が推されているのにも理由はあります。
一番よく言われているのは、「手書きにすることで、会社に対する誠意を表せるから」というものでしょうか。たとえ悪筆だったとしても、丁寧に書こうとしている字というのは見ればわかります。そうした一生懸命な姿勢を、好ましいと思ってもらえるわけです。
パソコンでの書類作成に慣れ切った若者層には、あまりピンとこない感覚かもしれませんが、特に年配の人事の方にはこういった感性・感覚がまだ残っているようです。一度はお世話になった人事の方の持っている感覚を、正面から否定するのはちょっと、忍びないですね。
また、手書きで誠意をわかりやすく表したことで、円満退職にも繋がっていきます。円満退職で出ていくことができれば、人脈を広げて次のステップに進むことができますから、なにかとお得かもしれません。

「こんなブラック企業に誠意なんか見せたってムダだ!」という人は、パソコンでちゃちゃっと綺麗に作って颯爽と退職してしまいましょう。
「誠意は示しておきたいけれど、絶対に手書きは嫌だな……」というこだわりを持っている人は、パソコンで作りつつも、退職の際の態度で誠意を示すようにしてはいかがでしょうか。
いずれにしても、あなたがこれまで仕事を頑張ってきたことは何も変わりがないのですから、気持ちの整理や区切りをきちんとつけるために、退職届をしっかり出しておきましょう。
手書き/パソコン作成のメリット・デメリット
手書きとパソコンでの退職届作成について、ここまでずらっと述べてきました。
パソコンで退職届を作ることに問題はありませんが、一般的には手書きが推されているところまで、掴んでいただけたでしょうか。

手書きのメリット・デメリット
- 誠意が伝わりやすい
- 一般的に推奨されているので気楽
- 書き間違いなどで手間がかかる
- 悪筆な人にとっては苦行。無地の紙ではまっすぐに書きにくい
手書きの功罪についてはすでに述べてきたので、ここでは割愛します。
パソコンのメリット・デメリット
- 文字が綺麗。無地の紙でもまっすぐな文字列が作れる
- 作成の手間が手書きよりかからず楽
パソコンで退職届を作るメリットは、何を置いても「楽に綺麗に作れる」ことです。手書きで誠意を表せるというのとは、ベクトルが違うメリットですが、忙しい社会人にとっては魅力的な点だと思います。
- 手書きが必要な部分が出てくる
- 誠意の表出で手書きに劣る
「楽に綺麗に作れる」ことが売りではありますが、実はパソコンで退職届を作るにしても、日付や署名など、手書きが必要とされる箇所があります。特に署名は本人確認のために手書きでするよう求められることがありますので、ご注意ください。詳しいことは、次の項目で説明します。
手書き・パソコンによる退職届作成のメリット・デメリットをご紹介しました。どちらを選ぶにしても、メリットとデメリットはありますので、ぜひご自分でも考えて、作成方法を選んでくださいね。
さて、これを踏まえて「パソコンで作ろう!」と考えたあなたに向けて、次はいよいよパソコンでの退職届の作り方を説明していきます。
パソコンでの退職届作成
ワードで簡単に作成できる
パソコンでの退職届作成は、ワードで簡単にできます。
あらゆる書類のテンプレートを扱っている、「文例書式テンプレート集」というサイトでは、退職願・退職届のテンプレートを複数扱っていて、ワードの形式でテンプレートがダウンロードできます。ぜひ参考になさってください。
さて、紹介しましたサイトでテンプレートを見た方は、既に画像検索などで退職届のテンプレートをご覧になったことがあるかもしれません。実は、後輩もそうだったようです。

そうなんです。言われてみれば当然なのですが、手書きで書く場合も、パソコンで書く場合も、退職届に書く内容や、その形式というのは同じです。パソコンで退職届を書く際のポイントは、以下のようなものです。
- 一般的に無地の紙が良いとされる
- 縦書きが一般的だが、縦横どちらがいいというのは特にない。指定がある場合それに従う
- 署名・日付の記入は本人確認のため、自筆で行うこともある。ハンコも念のため押しておく
- 数字の表記は縦書き・横書きのルールに従う
「本人確認のため」というのは、書類をパソコンで作ると、「本当に本人がこの退職届を作ったのか」がわかりにくくなるからです。退職届は、一度出してしまうと原則的に撤回の出来ない重要な書類ですから、本人が出したのか、という点はとても重要になります。
そのため、書名や日付の記入は自筆で書き、さらにはハンコを押しておくことをおすすめします。シャチハタではないハンコを使って、「この退職届は本人が書きました」ということをきちんと証明しておきましょう。
また、日付の記入に関しては、こちらの関連記事もご参考までにどうぞ。
コピーサイズはA4かB5
一般的に無地の紙が良いとされる、とポイントの中でも述べました。パソコンで書類を作る場合は、そもそも使う紙が無地のコピー用紙ですから、この時点でポイントはクリアです。
ここで気になるのはコピーサイズですよね。A4かB5サイズの紙を、縦長になるように使うのが一般的です。
封筒に入れて提出する

手書きで書く場合も共通ですが、退職届は剥き身で提出するものではありません。封筒に入れて提出します。この時気を付けるポイントは、以下の2つです。
- 退職届を三つ折りにして入れられるサイズの封筒を使う
- 郵便番号などを書く場所のない、無地の封筒を使う
退職届の紙のサイズに寄りますが、A4の場合は長形3号、B5の場合は長形4号を選ぶといいでしょう。
まとめ



悩んでいた後輩は、どうやらすっきりした顔をしています。よかった。
では、今回の記事をまとめていきましょう。
1.パソコンでの退職届作成は、ビジネスマナー的に問題はない
2.手書きでの作成にも、パソコンでの作成にも、それぞれメリットとデメリットがある
3.パソコンでの退職届テンプレートは簡単にダウンロードできる
4.退職届の作成ポイントは、手書きとそう変わらない
- 一般的に無地の紙でサイズはA4かB5
- 縦書きが一般的だが、会社の指定がある場合それに従う
- 署名・日付の記入は自筆で行うと吉。ハンコも念のため押しておく
- 数字の表記は縦書き・横書きのルールに従う
- 無地の封筒に入れる。封筒のサイズにも留意する
いかがでしょうか。パソコンでの退職届の作成は、そんなに難しいものでも恐ろしいものでもありません。むしろ手軽で、取っつきやすいものだと思います。手書きと迷う人もいると思いますが、ぜひ自分の納得する方で退職届を作ってみてくださいね。
退職届は、今働いている場所に関する最後の書類になると思います。最後のステップを納得する形で踏んで次に進むあなたのために、この記事が少しでも役に立てば幸いです。


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