出来るだけ長く健康でいたい。私たち誰もがそう願うことと思います。
ましてやこれから先は、悠々自適の老後を過ごすというより生涯現役で働き続けないといけない人々が増えていく未来。
ずっと健康で仕事をしていければ良いのですが、長い人生どうしても身体の不調は出てきてしまうもの。人によっては病気を理由に仕事を辞めざるを得ないことも起きるでしょう。
そんな誰の身にも降りかかる可能性がある病気による退職。いざ自分がなった時に退職届はどのように書いたら良いのか?と考え込んでしまうのではないでしょうか。他人事だと思わずに考えてみましょう。
Contents
退職に理由が欲しい。心優しきニッポンの労働者
退職届の書き方についてはほとんどの人があまり良く分かってないと思います。
まあそうでしょうね、私のように8回も転職を繰り返している人なんてそう多くないでしょうから。
その体調不良はどこから?

医薬品や栄養ドリンクのCMではありません。日々体調不良で悩む労働者の声です。まあ私たちも毎日働いていれば誰でもこういう状態になったことはありますよね。
中には生活習慣を改めることで改善されるものもありますが、慢性化するようなら注意が必要です。
美容師をしていた友人は毎日何度もめまいや耳鳴りに悩まされていました。最初は睡眠不足や食生活に問題があるのかと思い、改善を試みましたが症状は一向に治らず、ついに日常生活でも支障が出るほどになってしまいました。
病院で診てもらった結果、メニエール病と診断された友人は仕事を辞めて療養を続けています。
このように単なる体調不良だからといって放置は禁物です。悪化すれば仕事どころの話ではありません。
ブラック企業で働くのももう限界かもしれない問題
人手不足のこのご時世。ブラック企業、あるいはそれに近い企業で働いていると、いくら激務を理由に辞めたくても辞めさせてもらえない所はまだまだ多いです。
そういう時あなたならどうするでしょう。
という手を使う人も結構いるのではないでしょうか。仮病の無制限パターンです。
もちろんあまり褒められたことではありませんが、労働条件が酷ければ遅かれ早かれ心身に不調を来すことは目に見えています。自己防衛の一種としておきましょう。
ブラック企業対策としてはこちらの記事もご参考にどうぞ。
言いたくないけど、不満があります
ありますか、ありますよね。
給料や福利厚生、人間関係、仕事内容。ああ、どれもこれも本音で話せない事ばかり。

そうだ、体調不良とか病気ということにしておけばカドは立たないでしょ。
なんて素晴らしいんでしょう。日本以外の国ならそんなの気にせず

となるのが普通なんですが、そこは心優しいニッポンのビジネスパーソン。「仮病も方便」でございます。
退職届は事務報告。ビジネスライクにいきましょう
さてこうした事案を気にされている皆様。退職届に関して言えば、それらの心配は基本的に無用です。
退職届、あるいはそれに先立って提出する退職願には、離職の詳細な理由を記載する必要はなく、しないのが普通です。
特に病気はプライベートな事柄でもあり、女性特有の病気など場合によってはセンシティブなものがありますので上司といえども病状を詮索する権利はありません。
退職届の書き方に関してはビジネス文書の作成に関する本やサイトに文例があります。ほとんどの場合は以下の様な書式になっています。
【文例】
これで大丈夫です。基本的に自己都合による退職の場合は「一身上の都合により」が理由となります。
その他マナーについても多くのサイトで掲載されていますが、基本的に
- 郵便番号枠のない白無地封筒に三つ折にして入れ
- 封をして提出するまでクリアファイルなどに入れ、折れないように保管
- 表面に「退職届」、裏面に自分の所属部署とフルネームを左下に記入
- 事前に口頭で上司に話したうえで提出
- 出社できず郵送する場合はさらに大きめの封筒に退職願と添え状を同封して送る
という方法が常識的なものとされています。
会社都合か、自己都合か。それが問題だ

では病気による退職は全て「一身上の都合」で良いのかというと、そこは注意が必要です。
というのもあなたの健康を害した理由が、
- 職場でのパワハラやセクハラなどで身体的、精神的に苦痛を受けたこと
- 過度な残業や長時間労働が原因で体調に不調を来したこと
であるならば、それは「会社都合」となる可能性が高いからです。
その場合は退職届は出さないようにしましょう。
しかし、中には退職届を出すようにと迫ってくるところもあり、そういう会社は会社の側に問題があっても自己都合にさせたがる所もあります。
会社がどうしても退職届の提出を要求してきた場合には「自己都合」ではなくしっかりと「会社都合」である事を退職届に書くようにしましょう。具体的には「一身上の都合」を「貴社の退職勧奨に従い」と記します。
初めて退職届を出す場合はここで?となる人が多いと思います。
会社都合だと何が問題になるんですか?
病気が理由なら自己都合となるんだしそれでいいじゃないですか。
いいえ、そうではありません。ここで問題になってくるのは離職後の雇用保険の失業給付です。
上司、同僚等からの故意の排斥または著しい冷遇もしくは嫌がらせを受けたことによって離職した場合は、通常の自己都合退職ではなく特定受給資格者に該当し、給付が厚くなっています。
引用:図解わかる 会社をやめるときの手続きのすべて/新星出版社
これは後ほど説明しますが、自己都合退職と会社都合退職ではこの雇用保険の失業給付に違いが生じます。
会社に責任があるにもかかわらず心ならずも辞めさせられた人への保障を行うため、こうした措置がとられるのです。そしてこれを退職理由とみなされることを嫌う会社が多いのです。
まあ簡単に言えば余計なお金は払いたくないわけです。
おまけにパワハラやセクハラで社員が辞めたとあっては会社自体のイメージも悪くなりますし、国からの給付金を受けている会社ならそこへも影響が出てきます。
「辞めるって決めたのはあなただよね?じゃあ自己都合でいいよね、ウチのせいではないってことで」
自分たちの不手際が原因だと明記されている退職届など出されては困るというわけですね。
ですがそんな身勝手で理不尽な理屈に付き合う必要はありません。大事なのは自分の身体と次の仕事であり、その身体を治して仕事を探すためには時間とお金が必要なのです。情けは無用です。
あなたを守る生命線。それが離職票
「ホントにいいのか?会社都合で辞めたら転職でも不利になるよ」
会社側はなおも食い下がります。
病気が癒え、心機一転転職活動を再開したはいいものの
「会社都合により退職?この人何したの?」「ん?退職勧奨?何をしでかしたのかな?」と次の面接で痛くもない腹を探られる心配は確かにあります。
もちろん面接の際にちゃんと病気とその理由を説明できれば良いのですが、さらに公的に病気で退職をした、という記録が必要になります。
ではそれはどこに明記するべきなのでしょうか。
それは離職票です。
退職後10日程度で、前の会社から離職票が送られてきます。その内容に従い記入してハローワークに提出するのですが、問題は離職票の(2)に当たる部分です。
離職票(2)
引用:ハローワーク利用案内
ここに退職の理由を選択してチェックを入れます。更に具体的な記入をするスペースもありますので、離職票の理由欄もしっかりチェックして病気が原因であることはここではっきりさせておくこと。医師の診断書も用意しておきましょう。
ただそれにもかかわらず、どうしても「自己都合」にしたい往生際の悪い会社もあるようです。
みなさま、こんばんは!
ようやく会社から離職票が到着しました。
やっと雇用保険の手続きできるって思って書類を見て見たら…
退職理由…「自己都合」
あれ?俺は確かに診断書提出して病気悪化のためのはず…
もう労基もんですかねぇ…最近辞められた方どうでした?#日本郵便#離職票 pic.twitter.com/LRV2PqvSHt— 真令和ニート屋健ちゃん (@yubinyakenchan) April 19, 2019
これはひどいですね。もちろんこのまま言いなりになって「自己都合」にしてしまうと、病気で転職活動ができない間の失業給付3ヶ月分がもらえなくなってしまいます。
困ります。死活問題ですね。
ですので、離職票(2)の下の欄には、会社と離職者との言い分に相違があった場合、異議の「有り」「無し」を選べる箇所があります。しっかり読んで異議有りを選びましょう。
ここで問題になった場合には、このツイート主さんも言っていましたが労働基準監督署へ相談しましょう。
あれ?一身上の都合は3ヶ月収入なし?
はい。ここがとても大事な所になってきます。
私たち働く人が病気が原因で辞めるときは基本「一身上の都合」が理由であるとお話ししました。ですがその場合、離職理由が「自己都合」であるとされ、離職から3ヶ月間は失業保険が給付されません。
「いや、確かに自己都合だけど、病気が治らなくて辞めたんだからすぐには働けないでしょ。なのに3ヶ月も無収入なんて理不尽じゃないか」
ごもっとも。でも大丈夫。同じ自己都合退職者でも、病気を理由に退職した人は「特定理由離職者」として、正当な理由があって退職した人だというふうに扱われます。
この場合雇用保険の失業給付は3か月間の給付制限もなく手続き後すぐ給付され、最大3年間給付期間を延長することもできます。
そのためこうした手続きには先ほどから何度も登場している離職票が重要になってくるのです。
また、特定受給資格者と特定理由離職者1については、所定給付日数も優遇されています。
(中略)
自分がどれに該当するのかは、退職後に会社から送られてくる離職票-2でわかります。
会社側で該当理由(離職区分)に〇をしているからです。その〇がついてる記号で判断します。
(中略)
もし正当な理由で退職したにもかかわらず、送られてきた離職票が4D(正当な理由のない自己都合退職)の場合は、ハローワークで相談してください。
お世話になったあの方へ
もしあなたが職場で親しくしていた同僚やお世話になった上司の方へお伝えしたいのであれば、挨拶文や手紙などで気持ちを伝えましょう。
あなたがその方たちと良好な関係で仕事を続けていたのなら、向こうもきっとあなたの病状は気にしてくださっているはず。現在の状態も、今後のこともしっかり報告してお互いに憂いなく去りたいものです。
まとめ
病気でお悩みの方も、病気になりそうなほど考え込んだ方も、少しはお役に立てましたでしょうか。
退職願、そして退職届は必ず出さなければならないものではありません。あくまでも会社と自分との労働契約を解除しようとする、またはしたという事を書面に残しておくための事務手続きなのです。
大事なのは生活費の負担を減らして一日でも早く病気を治して仕事に復帰できる環境を整える事。そのためには離職票の「離職理由欄」を良く確認することの方が重要になるのです。
もちろん心情的に辞める理由をしっかりお伝えしておきたいという真摯なお気持ちは素晴らしいことですし、退職届もお世話になった会社との一つのけじめとして大事ではあります。
今後復職して同業他社へ移るような事があればまた新たな関係を築くことにもなるかもしれません。その時にはあなたが誠実であることがきっと良い結果をもたらすことでしょう。
身体も心もリフレッシュして、少しでも思い悩むことが少なくなってくれることを祈ります。


- 1年で年間1万3000社以上の求人が出る、中小から大手まで幅広い求人、外資系企業も1400社以上
- 累積45万名以上が転職に成功、転職決定者は年間約2万3000名以上
- 62.7%の人が年収アップを経験

- 公開求人数/非公開求人数 約6万6千件/約13万6千件
- 業界№2の大手
- スポーツキャリア、ウーマンキャリアなどdoda独自の働き方を提案
- 「年収査定」「キャリアタイプ診断」「レジュメビルダー」など転職に役立つ無料セミナーが好評。

- 公開求人数 50,000件以上
- 求人の特徴 80%が非公開求人
- 2019年オリコン顧客満足度1位、年収アップ率67.1%以上
なら病気ということにすれば無理強いはできないよね