突然ですが皆さんは”社内失業”という言葉を聞いたことがありますか?
おそらく、聞いたことのない人ほうが多いのではないでしょうか。そう思い、私の妻にも聞いてみました。




妻の疑問はもっともでしょう。皆さんもおそらく、そう思われたのではないでしょうか。
ですがそんな矛盾した存在が、日本の企業に確かに存在するのです。
転職を繰り返した過去のある私でも、当時はあまり馴染みのなかった言葉ですが、現在の日本ではこの社内失業が問題になりつつあります。以下のグラフはとあるサイトで掲載された、インターネットでのアンケート結果を集計したものです。

アンケートの質問は「現在、社内失業状態の社員はいますか?」というもので、アンケートに答えた企業のうち、23%が「いる」(いる:6%、いる可能性がある:17%)と回答したようです。
単純な適用はできませんが、数字だけ見るならば1000社のうち、実に230社が社内失業者を抱えていることになります。これって決して少なくない数字だと思いませんか。
この記事では、私自身が調べて分かったこと、思ったことを整理しながら、この記事を読んでくださる皆さんと情報を共有できたらと思っています。
そして結論からズバリ申し上げます。私は「この問題が表面化するにつれて、今後日本人の多くが自分の就業意識と働き方の見直しを迫られるようになるのではないか」と思っています。
そう、この記事を読んでいるあなたも、他人事ではなくなる日が来るかもしれないのです。
なぜ私がこう考えるに至ったのか。情報を整理しながら、社内失業について学んでいきましょう。





Contents
働いていても”失業”!? 社内失業の実態


社内失業とは
会社に貢献できるだけの知識も技能もないまま、職場で放置されているという実態を持ち、一時的な余剰人員の発生するケースとは異なる点が特徴です。


いずれにせよ、そんな状態で社内に放置されている人たちが社内失業者というわけさ


社内失業の原因







単純作業や書類のデジタル化
現代において、電子機器やそれらで扱うソフトウェア、ツールの進歩は日進月歩です。機械はどんどん進化して、遠くない未来には私たち人間の仕事がなくなるなんて言われてきました。
そして今、それが現実となってきているのです。
市町の図書館を例として思い浮かべていただくとわかりやすいかと思います。
事実としてまず、2階建ての建物丸ごと一棟使用して保管していた書物が、現代では車一台に積み込めるほどのサーバーの中に、電子データとして納まってしまうのです。そのデータが、いつでもどこでもだれでも閲覧が可能なのは言うまでもありません。
そしてもし仮にそうなってしまった時、施設で働いていた人たちはどうなるでしょうか。施設内を掃除してくれていた人も、貸し出しの管理をしてくれていた人も、全員職を失います。失業です。
もっとも単純な機械化による失業の例を考えてみましたが、昨今のデジタル化の波によって、この例に近いことはあなたの身の回りでも起きているのではないでしょうか。
社内失業も、関連書類の電子化に伴う事務部の縮小などが背景にあることがあるようです。
さらに具体的な例を挙げ、株式会社デジタルストレージ様の「ラクラク電子契約」を紹介します。
- 課税物件の一つである印紙を使用した書類契約を非課税の電子文書へ移行し、印紙税を大幅に節約する。
- 電子文書によるペーパーレスで用紙代や郵送費の削減、また作業時間の短縮を図る。
- 契約書データをクラウド上で共有するだけなので、書類保存にかかるコストダウンはもちろん、検索機能などの活用で事務作業の削減ができる。
etc……
いずれも会社の負担する費用と手間の削減が実現される内容ばかりです。ただし、それだけ会社でするべき仕事が減るわけですから、伴って人員の削減の可能性も出てきます。
自動化の推進をして、その可能性を見落としたために悩みを抱えることになった社員の声もあります。
GIZMODO:「自動化推進」で仕事が消える日。同僚がリストラされた理由はボクが作ったプログラムだった



急速な時代の変化による弊害
SNS(Social Networking Service=ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのネット環境の普及が進む現代において、人々の間で世の中のあらゆる情報が高速で行き来することになり、物事の流行り廃りは非常に高速化しています。
誰でも気軽に情報を発信することができるので、多くの新情報に過去の情報が上書きされて、昨日まで人々の話題に上がっていた事柄が、今日には誰の口からも発せられないということが往々にしてあります。
また物事の流行をとらえることは、マーケティングの業界においても重要なこととされています。料理、アパレル、家電、レジャーなどなど、世の中の人々による評判に、業績が大きく左右される仕事は多いです。
そうして目覚ましい速さで流行が切り替わる社会全体に対応しようとする企業側も、相応の速さで体制を変えていかねばならず、その”ツケ”は社員への教育時間の不足となってあらわれているのです。



- 単純作業や作業書類のデジタル化によって、人員をかけずに業務をこなす手段が増えてきたため。
- SNSなどの普及による情報化に伴って、急速に変化する世の中についていけない社員を、企業側もフォローしきれなくなってきているため。

社内失業したらどうなるの? 問題点を確認


社内失業の実態『社内ニート』



日本の企業や団体の職場において閑職に追いやられた、余剰の社員・職員を指す言葉。
1977年6月(安定成長期で円高不況時)の北海道新聞のコラムでラインの管理職から外れて仕事も与えられず窓際に追いやられた中高年層がデスクで新聞を読んだり、外を眺めては時間を潰すという光景を『窓際おじさん』という言葉で載せたことがはじまりとされている。
引用:wikipedia-窓際族-




労働者であるためニートではないが、仕事がないため社内でほとんど働いていない労働者のことである。
従業員としてその企業に在籍していながら、十分な仕事も与えられず、机に座って終日暇をつぶしているものをいう。オフィスニートともいう。社内におけるニート的な存在という意味で、一部のマスコミ記事などで散見される言葉であるが、一般的には浸透していない。
いわゆる窓際族であるが、窓際族が定年が近い者というイメージであるのに対し、社内ニートは若年層も多く含む。
引用:wikipedia-社内ニート-


『社内ニート』になる理由とその背景
窓際族という従来の社内失業者を指す言葉に対して、最近新たに取り上げられるようになってきた『社内ニート』という言葉ですが、これが現代では問題になっています。
若年層の社内失業者を指す言葉ですが、なぜ会社に入ったばかりの若手の仕事がなくなってしまうのか。考えられる理由として、社員本人の問題と会社側の問題があるようです。
- やる気がない。
- 同じミスが多い。
- 仕事が遅い。
- 研修ができない。
- 部下を教育できる人材の不足。
社員側の問題は言うに及ばず、やる気も能力もない人材は居場所がないということです。冷酷なようですが、ビジネスとして考えれば仕方のないことなのかもしれません。
一方で会社側の理由もあります。中小企業などによくみられるようですが、上司として働ける人材に余裕がなかったり、仮にあったとしても、繁忙期などで会社全体がせわしない状態だと、新人の相手ができなかったりして持て余してしまうということがあるようです。

社内失業の問題点






引用:株式会社ケイディーアイHP ~入社からのキャリアアップモデル~





閉ざされた若者の未来
若手のうちから社内失業者になってしまうと、自分の将来設計を描くことができなくなります。
キャリアアップだけではありません。給料が上がらないために、将来を誓った相手との結婚や、マイホームといった不動産の購入も踏み切ることができない。転職したくても中途採用に必要なスキルが何一つ身についていないためままならないなど、問題は連鎖して広がっていきます。
そしてなにより、会社における自分の居場所と存在意義を得られない状況が長く続くと、精神的に疲弊していくということも起こりえます。
承認欲が満たされず、会社にいても罪悪感を感じ、自分を責めてうつ病になってしまうこともあるのです。
- 若年層がキャリアアップをはじめとする将来設計を描けなくなる。
- 会社に居場所が見いだせず、精神的に疲弊してしまう。

社内失業しないため、”自分に”できること





自分の働き方を考える
まずは自分を変える努力
自分が『社内失業者』かも、と思ったあなたはまず社内でできる限りの行動を起こしてみるべきでしょう。個人の問題として”やる気をみせる”ことはもちろん、自分から仕事を手に入れる積極性が求められているのかもしれません。
暇を持て余しているのなら、掃除や書類整理など、誰でもできる仕事を率先してやるのもいいと思います。
「自分ならこうやって作業するな。次からはそうしよう」
「先輩に手伝えることはないか聞いてみようかな」
そんな気持ちから出る行動の積み重ねが”意欲的なアピール”になり、後の仕事につながるというのは今も昔も変わりません。誰だって椅子に座り込んでダラダラしている社員より、きびきびと仕事を探して活動している社員に良い印象を抱くはずです。

フリーランス、自営業という選択肢
「会社にいることがもう自分の将来の足かせにしかならない」と判断できた場合は会社という環境を出て、フリーランス、または自営業を営むという選択もあるでしょう。
webデザイナー、システムエンジニア(SE)、youtuberなどなど、IT関連で注目を集める技術職やクリエイターの独立は、最近では珍しいことではありません。技術があり、自分の中に夢と決意と信念があるのなら、おもいきって踏み出してみるのもよいのではないでしょうか。
- システムエンジニア
- webデザイナー(orライター)
- イラストレーター
- youtuber
- 農業・漁業
- 飲食業
- 建築業
- 理容・美容系事業


保険や納税の面だけ見ても、これだけの違いがあります。
ほかにも、個人として仕事を受けるため、依頼主とのつながりを自分で見つけたり、仕事と並行して自分のスキルアップもマネジメントしていかなければなりません。

今の時代は個人主義が進み、働き方の多様化と情報の共有化のおかげで様々な職業が注目を浴び、職業観による偏見も薄れつつあります。新たな一歩を踏み出すための追い風は吹いていますので、あまり悲観的になりすぎることもないと付け加えておきます。
もし、「気になるけど自分に合っているのかわからない」と不安に思ったら、まず天職診断をしてしてください。踏み出す勇気を与えてくれるかもしれませんよ。
まとめ







いかがでしたでしょうか。私が抱いた危機感が少しでもみなさんに伝わりましたでしょうか。
ここまで読んでくださった人のためにも、確認のため記事の内容をまとめると次のようになります。
- 社内失業とは、労働者が正社員として企業に在籍していながら、仕事を失っている状態を指す言葉。『窓際族』という言葉にはじまり、最近は特に若年層の社内失業者を『社内ニート』と呼ぶ。
- 若手が社内失業すると、スキルが身につかず、キャリアアップをはじめとする将来設計を描けなくなる。また、会社に居場所がない状況が続くと精神的に疲弊してしまうことも。
- 社内失業には個人の問題と会社の問題の2つの側面があり、個人の問題は十分自分の意識改革で対処できる。
- 社内失業の慢性化で会社を辞めようと考える人にはフリーランス、自営業という選択肢もある。特に最近の風潮で職業に対する偏見も薄れてきているので、はじめるのは容易。
- フリーランスや自営業をはじめるには自分の現状の客観的な理解と知識、なにより自己のマネジメント力が必要。よくリサーチを重ねるとよい。
この記事がみなさんの、何かしらのお役に立てれば幸いです。


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