ある朝、Aさんは本棚から小説を取り出して1日で読もうと決めました。ところが友人にランチに誘われたので、カフェに出かけることにします。帰宅後、また読書を始めました。夕食も忘れて読み終えたときには日付が変わっていましたが、Aさんは満足してベッドに入ります。
実はAさん、新卒で入社してから10年勤めた会社を自己都合で退職し現在は失業中の身です。でも生活に不安を感じている様子がありません。とても失業中とは思えませんね。
なんとAさんは退職前に入念に計算し、失業手当を多く受け取れるようにしていたのです。その結果、失業手当がもらえる期間をリフレッシュ期間とすることに成功したのです。

転職活動のために長い期間を確保することもでき「転職エージェント」を活用しながら大手の企業に入社するため計画的に行動しているようです。
あなただったら、Aさんのように失業期間を前向きに過ごす生活と今後どうしていこうかと悩みながら過ごす生活のどちらを選びますか。
あなたがAさんのように健康的に生活したいと思われるのでしたら、ぜひこの記事を読み進めてください。
この記事で、失業手当で支給される金額を計算する方法と金額を増やす方法をご紹介します。ご自身が失業手当を受けるための条件を満しているかどうかも、合わせてご確認ください。
こんな方におすすめ
- 失業手当の仕組みを知りたい方
- 退職を考えている方
- 退職を考えていないが、失業した場合に備えて失業手当の受給金額を知りたい方
Contents
失業手当の金額を増やす方法
まず結論からお伝えすると、失業手当でもらえる金額を増やすことは誰でも可能です。
まず覚えておいていただきたい点ですが、直近6ヶ月間の総支給額が失業手当を算出するもとになります。ということは、最後の6ヶ月間の総支給額を増やせば失業手当の金額も増えるのではないでしょうか。
Aさんは退職前の直近6ヶ月間、残業や休日出勤という時間外労働をすることによって総支給額を増やすことに成功しました。賃金日額は12,018円まで増えたのです。これをもとにして計算してみましょう。
用語の意味と計算方法は後ほど詳しくご紹介します。
基本手当日額は6,163円です。
総支給額は739,560円です。Aさんは28日あたり172,480円受け取ることができるようになりました。現在は在職中の貯金と失業手当でやりくりしているようです。
私の友人は、退職前の引き継ぎ業務などによって有給休暇を取得することができなかったので、未消化分を会社が最後に買い取ってくれたと喜んでいました。日数によってはかなり大きな額になりそうですよね。

失業手当とは
一般に「失業手当」と呼ばれる「失業給付の基本手当」とは、仕事を探している人の生活を支える目的で支給されるお金です。ただし、仕事を探しているすべての人が支給してもらえるわけではないんですね。
基本的に、以下の2つの条件を満たしていなければなりません。
- ハローワークで求職の申し込みを行なっており、仕事をする意思も能力もあり実際に仕事を探していること
- 退職日前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算で12ヶ月以上あること(特定受給資格者または特定理由離職者にあてはまる方は、退職日前の1年間に雇用保険に加入していた期間が通算で6ヶ月以上あれば条件を満たせます。)
仕事をやめて、ただのんびり休みたい人に支給されるものではないということを覚えておかなくてはなりません。
失業手当の受給条件についてもう少し詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。「特定受給資格者」や「特定理由離職者」についても解説しています。
失業手当の金額を計算する方法
失業手当の金額は直前の6ヶ月間の総支給額(住民税や保険料など、何も引かれていない額)をもとにして決定されますので、直前6ヶ月分の給与明細を用意してください。
すでに退職されていて「雇用保険被保険者離職票-2」をお持ちの方は、給与明細よりもそちらを見ていただくほうがわかりやすいと思います。
難しく感じるかも知れませんが、ステップ1から4まで順番に進んでいただければだれでも計算できますので安心してください。

ステップ1:賃金日額を算出する
まずは直前の6ヶ月間の総支給額を合計してください。そのあと、その数を180で割ります。そうすると6ヶ月間の1日の平均賃金が出ますよね。これが賃金日額と呼ばれるものです。
6ヶ月間の総支給額合計(円)÷180(日)=賃金日額(円)
冒頭のAさんはまず、失業手当をいくら受け取れるか現状を知るために試算することにしました。当時の総支給額は32万円だったようです。
Aさんの平均賃金は10,666円となりますね。
賃金日額をメモされましたら、ステップ2へお進みください。
ステップ2:基本手当日額を算出する
ここでは基本手当日額と呼ばれる、失業手当の1日あたりの金額を算出してみましょう。1日につきいくら支給されるか、ということです。
これは退職したときの年齢によって変わってきますので、下の4つの表からご自身にあてはまるものを選んでくださいね。(65歳以上の方は失業手当の支給対象者には含まれません。「高年齢雇用継続基本給付金」という別の制度を利用することができます。)
- 退職時の年齢が29歳以下
賃金日額 | 給付率 |
2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上12,330円以下 | 80%~50% |
12,330円超13,630円以下 | 50% |
13,630円超 | 基本手当日額の上限を適用する |
- 退職時の年齢が30~44歳
賃金日額 | 給付率 |
2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上12,330円以下 | 80%~50% |
12,330円超15,140円以下 | 50% |
15,140円超 | 基本手当日額の上限を適用する |
- 退職時の年齢が45~59歳
賃金日額 | 給付率 |
2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上12,330円以下 | 80%~50% |
12,330円超16,670円以下 | 50% |
16,670円超 | 基本手当日額の上限を適用する |
- 退職時の年齢が60~64歳
賃金日額 | 給付率 |
2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上11,090円以下 | 80%~45% |
11,090円超15,890円以下 | 45% |
15,890円超 | 基本手当日額の上限を適用する |
参考:厚生労働省
賃金日額に応じて、給付率が変わることにお気づきでしょうか。高いお給料だった人の給付率は低くなり、低いお給料だった人の給付率が高くなるよう定められているからなんです。
「80%」「50%」「45%」と給付率が決まっている方の計算式からご紹介します。
賃金日額(円)×給付率(%)=基本手当日額(円)
たとえば28歳で退職した人の賃金日額が5,000円の場合、給付率は80%になりますよね。
5,000(円)×0.8=4,000(円)
失業手当の1日あたりの支給額が4,000円になることを理解していただけると思います。
それでは「80%~50%」また「80%~45%」という幅のある給付率はどのように計算するべきでしょうか。
0.8×賃金日額(円)-0.3×{(賃金日額(円)-5,010)÷7,320}×賃金日額(円)=基本手当日額(円)
Aさんが33歳で退職する場合、賃金日額が10,666円なのでこれにあたります。
Aさんの失業手当の1日あたりの支給額は6,060円となりました。
- 0.8×賃金日額(円)-0.35{(賃金日額(円)-5,010)÷6,080}×賃金日額(円)=基本手当日額(円)
- 0.05×賃金日額(円)+4,436=基本手当日額(円)
以上の2つの計算を行ない、低いほうの額を適用します。
先ほどの表にあてはまらない方も多くいらっしゃることでしょう。基本手当日額は、年齢に関係なく下限額として2,000円が保障されています。上限額は以下の通りです。
退職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 |
29歳以下 | 6,815円 |
30~44歳 | 7,570円 |
45~59歳 | 8,335円 |
60~64歳 | 7,150円 |
いかがでしょうか。ここまできたら、あともう一息です。
ステップ3:所定給付日数を知る
所定給付日数とは、失業手当を受けられる日数のことです。雇用保険に加入していた期間、退職の理由や年齢によって変わってきます。
自己都合退職の方は、年齢に関係なく以下の表の通りに支給されることになります。


Aさんの所定給付日数は120日となります。
特定受給資格者または特定理由離職者にあてはまる方はこちらの表をご覧ください。

障がいをお持ちの方など、就職することが難しい方はこちらの表をご覧ください。

ステップ4:失業手当の支給額を算出する
基本手当日額と所定給付日数を掛けると失業手当の総支給額がわかります。
基本手当日額(円)×所定給付日数(日)=失業手当の支給額(円)
Aさんは一体いくら支給されることになるのでしょうか。
ハローワークが、当人が失業の状態にあることを確認するのは28日ごとと決められています。失業状態が認められると、直近の28日分が手当として支給されることになります。
Aさんは28日間で169,680円の給付が受けられることになるんですね。
先ほどの計算ではAさんの総支給額は739,560円でした。28日あたり172,480円の支給額です。
全体として12,360円の差が発生していますよね。給付率は下がったものの、失業手当の金額としては大きく増加したと言えるのではないでしょうか。
失業手当に対する世間の声
ここまで本当にお疲れさまでした。ご自身が受け取れる失業手当の金額を知ることができたでしょうか。
Aさんの例が示しているように、失業手当は仕事をしていたときと同じほど支給してもらえるわけではありませんよね。実際、失業手当に関する声は決してポジティブな内容のものばかりではありません。
https://twitter.com/JIPSNINA/status/1161566059435966465
確かに、過去のお給料と比べてしまうとこんなものかと思ってしまうかも知れません。失業手当ですべてをまかなえるわけではありませんから、この気持ちもよくわかります。
https://twitter.com/y_winx2/status/1117928088510193665
計算してみて、予想していたよりも失業手当の金額が低くてがっかりしたという方もいらっしゃることでしょう。
でもちょっと待ってください。あきらめるにはまだ早いです。Aさんは失業手当の金額を増やしていましたよね。あなたがこれから退職する予定であれば試す価値があるのではないでしょうか。
まとめ
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。自分自身の失業手当の金額を知っておくことは、その金額が多いか少ないかに関わらずメリットになると言えるのではないでしょうか。
失業期間をどのように過ごすかを考えるきっかけになりますよね。これから転職したいと思っている人にとって、退職するタイミングを決める助けにもなることでしょう。失業手当の金額を増やせるなら、Aさんのように余裕のある転職活動が行なえるかも知れません。
失業手当の制度とうまく付き合っていくには、あくまで「保険」であることを忘れず生活の安心材料のひとつととらえることが大切だと言えそうですね。
いずれにしても、あなたの今後のライフプランにおけるひとつの指標となればなによりうれしく思います。



支給額すべてを受け取る前に仕事が決まった場合は、お祝い金がもらえるかも知れません。詳しくはこちらの記事をご覧ください。


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