「会社行ってもすることない」
これって辛いですよね。ブラック企業とは違う意味での、社員に対する会社のいじめのような。自分がこんな目にあったらどうしますか。
定年間際であれば、俗にいう「窓際族」としてお茶を飲み新聞を読んで仲間と談笑して、あるいはネットサーフィンして定時退社時間を待つ、なんてことがあるでしょう。会社もある程度は公認している行動と言えます。
また、この場合は定年までという期限付きであり、この状態でいる人は「自分は今まで会社に貢献してきた」という自負を持った人でもあります。精神的な負担は軽いといえるでしょう。
しかし、自分がまだまだ若いと思っているような人の場合はまったく事情が違います。
自分がまだまだ仕事ができる、仕事がしたい、会社に貢献したいと思っている人に仕事がないような状態。あるいは、同僚は上司に命じられてバリバリ仕事をしているのに、自分には仕事が降りてこないような状態。
仕事がしたいと思っているのに、こんな状態に置かれるというのは、精神的にダメージが大きいのではないでしょうか。ただ恐ろしいことに、自分がそうならないと言い切ることはできません。
自分がこのような状態に置かれたとき、どのように考え、どのような行動をとればいいか、考えてみましょう。
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社内失業とは

上で言ったような状態は社内失業と言っていいでしょう。社内失業は次のように定義されています。
社内失業(しゃないしつぎょう)は、本来解雇され、失業者となる可能性の高い被雇用者、あるいはその状態。特に日本の雇用制度での正規雇用と呼ばれる形態にある人を指して言うことが多い。法律上の制約によって解雇されない状態にあり、かつ公的支援により猶予されている状態で、それらの規制や支援が無くなった場合には失業者となる、潜在的な失業者をさす。
引用:wikipedia
正規雇用とは、雇用契約に期限を定められていない無期雇用のことを言います。俗にいう「終身雇用」という日本独特の雇用慣行です。正規雇用社員は、労働基準法の定めにより会社は簡単に解雇することができないため、仕事がなくても会社の中に置いておくことになってしまいます。
会社としては、解雇することが難しい社員を「自己都合退職」、つまり社員自身の意思で退職してもらうため、敢えて「社内失業」といった地位に置いているとも言えます。これは、会社にとっても社員にとっても良くない話で、lose-loseの関係と言えます。
では、この社内失業の人は一体どれくらいいるかご存知ですか。エン・ジャパンが約800社を対象に行った調査では、下に示すように、なんと2割を超える会社が社内失業者がいると回答しています。
今年4月から始まった外国人労働者の雇用拡大やAIの適用拡大により、長期的には多くの人の仕事が奪われる傾向にあると言えます。また、下に示すような企業トップの発言もあり、終身雇用そのものも見直しの方向に動くと思われます。
雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた(トヨタ自動車の豊田章男社長の発言)
引用:日経ビジネス
社内失業を引き起こす原因

そもそもどうして社内失業が発生するのでしょうか。上で言ったように終身雇用が大きな原因になっているのですが、その前に会社から仕事を与えてもらえない状態になる原因について考えてみましょう。
会社側の原因
会社側にその原因があるケースには、つぎのようなものがあります。
- 事業所、部署の統廃合
ある事業所、部署が海外移転した、別の地域の事業所と統合した、といったケースです。子会社として分離独立した、あるいは別の会社に売却されたといったこともあります。
社員が残された場合、働いていた部署がなくなったわけですから、会社が適切な部署への異動を行わない限り、社内失業になってしまいます。 - 事業の縮小
事業所や部署そのものは統廃合されなくても、売り上げ減少などにより縮小されることがあります。その場合にも余剰人員が発生し、再配置先がない場合は社内失業になります。 - 無理な要員計画
多くの会社では年度計画などによって要員計画を立て、それに従って社員の異動を行います。忙しくて要員が足らない部署が増員を計画しても、忙しすぎて補充した要員の教育すらできないようなこともあります。この場合、せっかく増員してもその社員は仕事ができず、結局社内失業になってしまいます。 - 無計画な採用
新規や中途で社員を採用した場合、必要以上に採用して全員に仕事を割り振ることができなかったり、現場が要求する資質とは異なった社員を採用したために、現場で使い物にならなかったりするケースがあります。この場合も、その社員は社内失業になってしまいます。
自分側の原因
自分が他の人に仕事をお願いする、あるいは命じる場面を考えてみてください。その仕事はきっちりとやってくれる優秀な人に依頼したいと思いますよね。その方が自分の仕事が捗りますから。
逆に見ると、仕事は優秀な人に集中する傾向にあるといえます。自分の仕事があまり来ないと思ったら、それは自分が上司あるいは同僚から優秀ではないと思われているからかもしれません。これが極端になると社内失業になってしまいます。
仕事があまりもらえない人、社内失業に向かっている人には次の傾向があるといえます。
- 納期を守らない
いくらいい仕事をしても、納期を守らなければ無駄になるかもしれません。納期を守ることは基本中の基本です。完成度が低くても納期を守っていればだれかがカバーしてくれるかもしれません。 - 品質が悪い、ミスが多い
仕事の品質が悪い、あるいはミスが多く手直しやフォローに多くの労力がかかってしまうのも仕事を回してもらえなくなる原因です。徐々に、簡単で誰にでもできるような仕事しか来なくなります。 - そもそも仕事ができない
納期が来て督促されると「自分にはできません」、最悪ですよね。もう誰も仕事を頼んでくれません。
これ以外にも、休みがちである、何となく頼りない、など様々な理由があると思います。また、病気などの障害のために仕事ができなくなることもありますが、それについてはここではひとまず置いて考えます。
社内失業しないための対策

社内失業が発生する原因に終身雇用という慣行があることはすでに言いました。これを社員の立場から考えると、会社は社内失業状態になった社員をすぐには、あるいは簡単には解雇できないということになります。つまり、ある程度の期間は正社員の立場は保証されているのです。
このため、社内失業になりそうだと感じたら、少なくともこの保証された立場の間に次のように心掛けて行動するのはどうでしょうか。行動の基本は、前向きでいるということです。
新しいことにチャレンジする
会社側に原因があるケースの場合、社員でいる期間は自分の幅を広げるチャンスととらえ、思い切って新しいことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
前向きにチャレンジする社員は、会社にとってもウェルカムのはずです。新しい仕事であれ、新しい勤務地であれ、会社側に原因があれば、ある程度は新しい環境にチャレンジして慣れる、あるいは身につくまでの猶予は与えてくれるはずです。いいチャンスを貰ったと思って積極的に行動してください。
逆に、後ろ向きに今までやっていることに拘っていたら、会社はそのようなあなたの姿勢を見ていますよ。そのような人は、ますます社内失業の坂を転げ落ちることになります。
報連相を頻繁に
自分が原因で社内失業になりそうだったら、とにかく上司への報連相を頻繁に行うことをお勧めします。上司にクリンチするのです。適当な距離を置いたら、カウンターパンチを食らってしまいますよ。
仕事の納期まで上司とコンタクトを取らずに、納期になって品質の悪いアウトプットを提出したり、「できませんでした」と申し出るのは最悪です。仕事のやり方を迷うような場合や、いいアウトプットができそうにない場合は、できるだけ早く上司に相談しましょう。また、途中経過も頻繁に報告するのがいいでしょう。
上司も忙しそうに見えるので、頻繁に報連相するのは気が引けるかもしれませんが、気にすることはありません。部下を指導するのは上司の重要な務めです。忙しいといって断るような上司は、部下から見た評価を下げてやればいいのです。
上司は、たとえその場では嫌な顔を見せても、報連相が多い部下を好意的に見ていると思いますよ。
自己研鑽に励む
とはいっても、上司に頼ってばかりではいけません。自分でも努力してください。自分の苦手な部分を克服する努力も忘れずに行うことです。
パソコンが苦手であれば、周りの知識豊富な同僚や情報システム部門の担当者に聞いたり、本を読んだりセミナーに参加するなどして、勉強する努力をしましょう。対人関係が苦手であれば、例えば社外での人との接触を増やすなどするのはどうでしょうか。
例え時間やお金がかかる事であっても、それは自分に対する投資です。その投資の見返りとして社内失業を免れ新たな自分の可能性を開発できたとしたら、大いに効果があったということになります。自己研鑽を忘れてはなりません。
雑用を買って出る
それでも自分の仕事がなくなりそうだったら、人がやりたがらないようなことでも買って出ましょう。仕事とは直接関係ないような、部署内の飲み会やレクリエーションの幹事、庶務的な仕事などでも大丈夫です。その部署で自分の居場所を作り、自分は部署に必要な人間だ、この仕事はあいつに任せておけばいいと思わせることが大事です。
居場所を見つけたら、そこから徐々に自分のできる範囲を広げていけばいいのです。「こんな仕事自分にできるか!」といった変なプライドは捨てて、新入社員のころに戻ったようにやればいいのです。
社内失業してしまったら

それでも社内失業してしまったら、どうすればいいでしょうか。
上でも書いたように、正社員であればすぐに解雇されることはありません。しかしながら、会社が自己都合退職するように働きかけてくることもあるでしょう。また、社内失業が原因で、うつ病のような精神疾患にかかってしまうこともありえます。
ではここで、社内失業になってしまった時の対策を考えてみましょう。
後ろ向きにとらえるな!同僚に仕事を与えることで会社に貢献している
精神的に病まないためにも、社内失業を前向きに捉えることです。自分は同僚や他の社員に仕事を与えることで、会社に貢献していると考えるのです。
何を突拍子もないことを、とお考えの方もいらっしゃるでしょうが、たとえば2:6:2の法則、あるいは働きアリの法則というものをご存知でしょうか。
- 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
- 働きアリのうち、本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボっている。
- よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
- よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。
- よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。
- サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
ある組織で、優秀で良く働く人は2割、サボっている人=社内失業状態の人が2割いるといわれています。このうち、よく働く2割が引き抜きなどで集団退職しても、残りの8割がやはり2:6:2に分かれてそのうちの2割が良く働くようになるというものです。
つまり、2割のサボり群は普段は残りの8割に仕事を与えているけれど、いざという時には自ら仕事をする部隊になりうる予備軍だということです。こう考えれば少し、気持ちが楽になりませんか。
上司に相談する
とはいっても、仕事がない状態というのは辛いものだと思います。あんまり辛い時には、この状態を正直に上司に相談してみてはいかがでしょうか。
社内失業というのは、本人にとっても会社にとっても望ましいものではない、lose-loseの関係です。上司も相談に乗ってくれると思いますよ。またすでに言ったように、ここまでで報連相を頻繁に行っていれば、この相談も難しくはないでしょう。孤立すれば、坂道を転げ落ちるように状況は悪くなると思います。
上司が相談に乗ってくれなければ、さらにその上、あるいは人事部門に相談してみてください。こちらはハードルが高いかもしれませんが、社内失業は会社にとっても問題のあるものなので、取り合ってもらえないなんてことはないと思いますよ。
仕事として資格取得や転職活動をする
これは、誰にでもいえることではないと思いますが、仕事がないならばその時間を利用して社内の別の仕事や、さらには転職に向けた準備をしては如何でしょうか。自分の時間を使った自己研鑽ではなく、会社での時間を利用して研鑽に励むということです。
何度も言っていますように、社内失業は会社にとっても自分にとってもlose-loseの関係です。うまく研鑽を積むこと、あるいは転職活動することによって社内失業から抜け出せれば、お互いにメリットがあるのではないでしょうか。上司あるいは人事部門と話をするとき、話をうまく持って行けば、会社公認で仕事時間にこのような活動を行うことも可能だと思います。
現に、制度として社内失業者に対してこのような活動を実施している会社もあります。
まとめ
繰り返しになりますが、社内失業は会社と自分双方にとってlose-loseの関係です。それを解消することは、お互いにメリットのあることです。
上で言ってきたような方法で、今の部署あるいは社内の他の部署に居場所を見つけることができれば望ましいと思います。あるいは、転職などにより社外での活躍の場を見出すことも必要でしょう。いずれにせよ、前向きに取り組んで活路を切り開いて下さい。
社内失業といっても、残りの8割の人が仕事をするための場を提供しているのです。また、いざという時に仕事で活躍するための予備軍として力を蓄えているのです。
ですから、落ち込まないでください。前を向いて明るくいることは、やがて活躍するための準備になるのです。


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