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大阪で働くのは怖い?
大阪のビジネスマンの皆さん、儲かってまっか。
え、こちとら毎日上司のパワハラで会社行きたない思うとるのに、儲かるとかないわボケ。ヘタな大阪弁使うなコラ、ですって?
すみませんでした。
そうですよね、今やどんな会社、職場でもパワハラは深刻な問題ですからね。
ただでさえ自己主張が強く物事をはっきり言う関西人。上司にしてみれば気持ちが高ぶるとついつい高圧的な物言いになりがちです。
私の元上司は神戸の人でしたが、分からない事や出来なかった事を申告すると結構厳しい口調でズバズバ注意されて最期には「アホ」がつくものですから緊張します。
本人はそこまでキツイという意識はなかったらしいですが、東北出身の同僚などは気の毒にいつもすくみあがっていました。
おまけに大阪弁は傾向として言葉の強弱がきつくて喋るスピードも速いので、関西人でもない人から見ると特に「怖い」という印象を受けてしまいます。本人はパワハラをしているという意識が無くても、あまりひどい物言いだと罵られた方にとっては精神的に苦痛を感じてしまいかねません。
今の子たちはおとなしく優しい人が多いですから、なおさらそういう強い当たりに凹んでしまうのも無理ないですよね。
凹むだけならまだしも、それで鬱になったり、体調に異変が起きてしまっては元も子もありません。そうなってしまう前にどうしたらいいか考えてみましょう。
加えてこれから転勤や就職で初めて大阪で暮らす、という方にも読んでいただければと思います。
実はこんなに多い大阪のパワハラ
ところで大阪のパワハラ事情はどうなっているのでしょう。
大阪府労働局HPの事例・統計情報によると、なんと「職場でのいじめ・嫌がらせ」は5,118件という数字が出ているんですね。
「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は 5,118 件(前年度比 1.4%増)と、 民事上の個別労働紛争相談件数に占める割合が5年連続でトップ、4年連続 で2割超えとなった。
大阪府労働局 事例・統計情報 個別労働紛争解決援助制度の運用状況 より
ちなみに東京では8,982件。
職場の嫌がらせに関する労働相談は8,982件で、28年度より641件(%)減少した
引用:職場の嫌がらせに関する労働相談 東京都産業労働局 平成29年東京都の労働相談の状況 より
都市の規模、会社や事業所の数との割合を考えてもかなり多いですね。
その内容も他の地方とさほど変わりません。暴力、暴言、嫌がらせ、無視や退職勧奨、私的な事への干渉なども一緒です。数年前には府の教育委員の教育長による問題もありました。
「「パワハラ」認定された教育長が辞任へ 大阪府」(産経新聞2015年3月11日)参照
パワハラを生む背景とは?人情の街ならではのこれだけの事情。
実は忖度好き?コテコテの人間関係が大事な大阪人
「ん?でも大阪の人って自己主張が強くてラテン系なんでしょ。だったらパワハラされたほうも我慢しないで反論すればいいのに」
「大阪の人はほんとによく喋るしズケズケ物を言うから、職場でも本音で話してるイメージがあるけど」
いやいや、誤解も良いところです。
まず大阪人だって「全員押しが強くて何でもはっきり言う」人ばかりとは限りません。
気が弱くて他人に対して強く出れない人だっているでしょうし、吉本観るのは好きだけど自分がボケ突っ込みやるのは苦手だという人もいると思います。
人情深くてとても仲間意識が強いのも大阪人の特徴。そのため実は人間関係には何げに敏感でいろいろ気にしているそうです。
言いたいことをズバリと言うイメージの強い大阪人だが、実際のところ、それほどハッキリものを言う人種ではない。商売人気質というのだろうか、断るときは、合理的にすぐに答えをだすけれど、相手との関係性を考えるときは、「おべんちゃら」的にあいまいな言葉や態度でお茶を濁すことも心得ている。「これ以上言うたら、今後の付き合いでけへんで〜」と心の奥底でしっかり計算も働かせているのだ。そういう意味で、大阪人は本音と建前をうまくつかい分けるバランス感覚をもっているのだ。
引用:「けったいなこだわりてんこもり! 関西人の「あるある」図鑑」 関西ルール研究会 著 PHP研究所 より
そうなんですね、これは意外でした。でも確かにあのノリでお互いに言いたいことをガシガシ言い合ってたら収集がつかなくなりそうですからね。そこは長い歴史で培った生活の知恵ってやつなんでしょうね。
そのため、これはどう考えてもパワハラだろうと判断できることについても、「今後の付き合いでけへん」となるのを恐れて口をつぐんでしまうというわけですね。
ホワイトカラーはどこも一緒
大阪の人が何でも本音でぶっちゃけて仕事をしているように見えるのは、多分地元の商店街のオトン、オカンの元気なイメージがあるからだと思います。

その他にも大阪は問屋や金融業、飲食や観光などのサービス業、その他ブルーカラーに従事する人たちがとても明るく大らかに見えて羨ましいと思ったことはありませんか。
でもそれも結局、物事のごく一部。
東京を本社に持つ大企業の支社が多い大阪でも、ホワイトカラーと呼ばれる職層の人たちはごく真面目に、黙々と仕事をしています。
そりゃそうですよね仕事ですから。そんなにおどけたりヘラヘラなんかしてられません。ヘマしたら怒られ、失敗したら注意され、その度にシュンとなる。これは万国共通です。
ジェネレーションギャップもやっぱり一緒
最初にも言いましたが今の若い人たちはとても穏やかで優しいと思います。
もちろんヤンチャな子たちもそれなりにいますが、マナーはしっかり守る、空気を読んで出過ぎたことはしない、コンプライアンスを気にするなど、みな真面目でしっかり者です。
大学の職員をしている知人もこんなことを言っていました。
「今の学生は僕らのころと比べるとホントによく勉強するし真面目なんだよ。言われたこともちゃんと守るし素直なんだけど、その分打たれ弱そうで心配になるね」
なるほど、確かにそうですね。だとしたら、大阪も当然例外ではありません。
彼らより上の世代は「怒るで、しかし!」の芸風で知られたあの漫才師さんや、テレビで物議をかもす発言を繰り返しつつ「やっぱ好きやねん」と歌っていたあの歌手が今でも大好きです。彼らも生前はお弟子さんや後輩にはだいぶ辛く当たっていました。
ですが時代の流れと共にそういう荒っぽくて破天荒な風潮は敬遠され、それを売りにしていた芸能人も姿を消していきます。

現代の「優しい、いい子たち」は消えゆく世代の粗暴な(ように見える)感覚についていけなくなっているんではないでしょうか。
一緒になり切れない地方出身者
東京がそうであるように、大阪も全国各地から人が集まり移り住みます。
大阪の文化は感染力が強くて長く住んだ人は結構大阪のノリに染まりやすいとはよく言われる話です。実際ウチの祖母の妹さんは15歳で東北から大阪に嫁ぎ、今では完璧な大阪のオカンです。
ですがそのレベルに到達するには相当の時間がかかります。移住してたった数ヶ月〜数年ごときで、根本的な性格は変わりません。
「大阪人はそういう性格なのは理解して来たつもりなのに、実際にあの口調でまくし立てられると胃が痛くなる」
「あそこまでズケズケ言われると正直キツい。こっちでは普通なんだろうけどまるでヤ〇ザ屋さんに迫られているようで怖い」
「みんなの前で「アホ」と言われて悔しい思いをした」なんてのもあります。大阪では「アホ」は必ずしも罵る言葉ではなく、軽くからかう程度にも使われるのですが、そこの受け止め方も違ってきます。
この辺はいわゆるカルチャーショックですね。
働く人の味方にお願いしましょう
ここまで、大阪という土地柄や人柄を中心にパワハラの背景を大雑把に見てきました。
ただいくら事情は分かっても、パワハラに悩む当事者にとっては根本的な解決にはならず問題は切実です。
このまま何もしなければ徐々に精神疾患を引き起こして働けなくなったり、一人で苦しみ続けた末に自ら命を絶つなど最悪の結果にもなりかねません。
そうなる前にやらなければならないことがあります。
パワハラの事実を証拠に残す
行動を起こすには何事も準備がいります。まずはパワハラの証拠をしっかり記録して残しましょう。暴言や罵声、あるいは暴力などには小型カメラやスマホで録音・録画。
上司や同僚などにつっかかられそうになったら、事前にこっそりスイッチを入れておきましょう。

明らかに無理な量の業務を強要されたら、その仕事の量と内容、要求された時間も数字として記録しましょう。それがその時間で本当にできる仕事なのか、その仕事に対する正当性を後で判断してもらうためにもちゃんと残しておきましょう。
労働局へ相談する
それなりの会社ならコンプライアンス窓口や相談窓口などがあったりするんですが、会社への影響や利害を考えるとどれだけ被害者の立場に立ってくれるかは微妙です。
こういう時はやはり外部の、それも厚生労働省などの公的機関へ相談するのがいいですね。
特に活用してもらいたいのが大阪労働局の「総合労働相談コーナー」。
労働問題に関するあらゆる分野(解雇、労働条件、配置転換、いじめ・嫌がらせ等)の相談を、労働局及び府内各労働基準監督署に設置した総合労働相談コーナーにおいてお受けしています。
相談内容に応じて、担当部署・関係機関のご案内、関係法令や裁判例等の情報提供等を行っており、労働者、事業主の双方がご利用になれます。
なお、相談は匿名でもお受けしています。
とあります。主に労働基準法違反の取締りや監視を行う労働基準監督署と違い、労働局では労働者の環境改善やトラブルに対する相談など、労働全般に関わる業務を行っています。
受付時間が限られているのが残念ですが電話でも相談は受け付けているようです。
匿名でもOKというのはありがたいですね。
弁護士に相談する
高い確率であっせんを行ってくれる労働局ですが、必ずしも全てが解決に至るとは限りません。
そうなればもう最後の砦は弁護士です。
大阪も弁護士が数多く活躍している街。あの府知事・市長も弁護士でしたね。
多少費用はかかりますがインターネット相談もでき、面談相談は無料で受けてもらえるケースもあるようです。

大阪弁護士会のホームページは入口からしてだいぶ親しみやすい外見になっていて、一人でも多くの方に頼ってもらいたいという思いが見て取れますね。
職場を変える
これは本人にとっては不本意な結果かもしれませんが、もうそういう上司、そういう職場には自分から見切りをつけてさっさと転職してしまうのもアリだと思います。
法的手段に訴え、上司に証拠を突きつけ、晴れて謝罪や賠償を勝ち取ったとしても、そこでのわだかまりは残ります。
物事をはっきりさせるのを良しとする反面、濃密な人間関係も重視する土地柄だけに、周囲の同僚とも微妙な距離ができないとも限りません。
もちろん理不尽さと戦うことは大事です。上で挙げた教育委員会教育長の陰湿な暴言はむしろパワハラを放置してはいけない良い例です。
ですがあなたの人生は戦いが終わった後も続きます。気持ちを切り替える意味でも自分のキャリアに区切りをつける意味でも、新しい環境に身を移すほうがずっと建設的ではないでしょうか。
まとめ
こんな感じで話してきましたがいかがだったでしょうか。
特に関西以外の地域から来る方に気を付けてほしいことなのですが、全国どこの地域でも「県民性」なる単純なもので解った気になってはいけません。
人間にネガティブな感情がある限り、パワハラが起きる背景なんてものはどこの国でもどこの地方でもだいたい同じです。
それでも知っておいた方がいいのは、その土地ごとに特有の気質というものあること。大阪という土地ではどういう人間関係が大事にされ、どういうやり方で人と人が気持ちを伝え合うのかをちゃんと理解することも必要だと思います。その上で相手の自分に対する態度が本当に悪意があるのかないのかも考えてみましょう。
弁護士や労働局の仲介でよくよく話し合ってみれば、「そんなつもりやなかったねんけど、あんたんとこではそんな風に思ってまうんやね、えろうすまんかったな」と、文化や地域性によるすれ違いを相手にわかってもらえることもあるでしょう。
もちろん悪意があってのパワハラやいじめ・嫌がらせは決して許されるものではありません。
意図的であるならばなお最悪です。自分の優位性を傘に来て他人に苦痛を強いるのは人として軽蔑されるべきです。
ここではあえて取り上げませんでしたが、大阪では在日朝鮮人差別や部落差別の問題も残っています。強者と弱者との間に深刻な負の感情ができてしまう社会は大きな不安を生みます。強者は安全な場所で仲間と顔色を伺いながら腹の中を探り合い、弱い立場の人間には容赦がない。まるで今のバラエティ番組のようです。
そんなんで苦しむくらいなら労働局でも弁護士でも頼って、正面からぶつかっていきましょう。本音でぶつかってどやぁ、とやったらほな、さいならと胸を張りましょう。
気に食わなければ逃げましょう。悪いのはあなたではないのですから、今日はこのくらいにしといたるわくらいの気持ちでいいと思います。
来る2025年には万博開催を控える大阪。ここでみんなが元気で働けることが街の活力源にもなります。パワハラのない大阪で明るい未来を迎えましょう。


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