パワハラ対策は万全でしょうか。
自信をもってイエスと答えられなかった方は「パワハラ対策支援セミナー」を一度受講してみてはいかがでしょうか。
「これから対策を立てるんだけど、何から始めていいのか…。」
「ガイドライン作って、研修やって、マニュアル配ったし。今さらセミナー?」
「うちはパワハラなんて関係ないからね。出る意味ないよ」
こういう方たちには大いに関係ありです。今やパワハラにどう対応するかは待ったなしの社会問題。早めに予防策を立てておかないと、会社の存続だって危ぶまれるかもしれません。
国レベルでパワハラ対策に力を入れている今、厚生労働省が用意した公的なセミナーを利用しない手はありませんよ。うちは関係ないなんて思わず、気軽にはじめられるところとして「パワハラ対策セミナー」へ参加することで、会社の発展さらには自分自身のレベルアップや評価向上にもつながるかもしれません。
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2017年、2018年にもすでに開催済み

厚生労働省委託事業で行われているパワハラ対策支援セミナーは、具体的なパワハラ予防対策ノウハウを聞くことができる無料で参加が可能なセミナーです。
セミナーは既に2017、2018年にも開催されています。しかも47全都道府県で実に59回も行われており、関心の高さが伺えますね。参加されていない方は、逆に遅れをとっていると言っても過言ではないでしょう。
受講の主な対象となっているのは企業の人事・総務・労務の担当者ですが、しかし日本のパワハラ対策はまだ始まったばかり。対策セミナーも同じです。全ての人が積極的に関わり意識していかなければならないのです。
今後のためにセミナーに参加するにしても、まずは日本のパワハラ対策の歴史的背景から根本原因を紐解いていくことで理解を深めていきましょう。
日本のパワハラ対策が進まない理由
現在の日本におけるパワハラ対策は相当遅れていると言われています。なぜなのでしょう。
私個人は以下に挙げる3つの要素が原因だと考えています。
- 法的規制の遅れ
- 企業・経済界側の意識の低さ
- 被害者・加害者を含めた当事者の認識の問題
法的規制の遅れ
まず最初の前提として、今まで日本ではパワハラに対する法的規制がなかったのです。これだけ連日世間を賑わし、社会問題化しているにも関わらずですよ。
「世界銀行の189カ国調査(2018年)によると、行為者の刑事責任を伴う刑法上の刑罰がある禁止規定を設けている国が79カ国。セクハラ行為に対して損害賠償を請求できる禁止規定を設けている国が89カ国もある。しかし日本の規制はこのどちらにも入らず、禁止規定のある国とは見なされていないのである。
また日本も加盟するILO(国際労働機関)が実施した80カ国調査では、「職場の暴力やハラスメント」について規制を行っている国は60カ国ある。しかし、日本は規制がない国とされている。」
引用:なぜ”職場のパワハラ”は規制できないのか PRESIDENT Online
まあ何とも呆れ返る話ですがパワハラという言葉自体比較的新しい概念ではあるので、何をするにも動きが鈍い日本社会。ここでも先進国に遅れをとっているわけです。
しかし、そんな現状に一石を投じるニュースが先日報じられました。
政府は8日、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)の防止義務を盛り込んだ労働施策総合推進法などの改正案を閣議決定した。企業に対して相談窓口の設置やパワハラをした人の処分の規定などを求める。働きやすい職場環境の整備に向けて前進する。今国会での成立をめざす。
引用:パワハラ対策法案を閣議決定、企業に防止義務付け 日本経済新聞
具体的にどうするかはこれから決める、ということだそうですがまあようやく一歩を踏み出したわけです。ではこれで一気に状況が好転するのか、というと意外とまだハードルは高そうです。
その理由が次に挙げるこれです。
企業・経済界側の意識の低さ
「なんで?」と思うかもしれませんが、経営者側というか財界側の人たちはパワハラの法律による規制には慎重というか消極的ですらあるそうです。
その理由として、何がどこからパワハラなのかが明確にできないのに、いきなり法規制したり罰則規定を設けるのは乱暴なのではないか、混乱を生むのではないか、というのが経済界側の言い分なのですね。
参考:職場のパワハラ対策「法律で義務化」したら中小企業は大混乱? 弁護士ドットコム
確かに分からなくはありません。日本の会社ってほとんどが中小企業で、家族経営的な雰囲気の所も多いです。そこでは昔ながらの人間関係が今もしっかり残っています。
これは私の中学時代の同級生の話です。
彼は亡くなったお父さんが一級建築士ということもあり建築業界を志したのですが、その後生活や学費に困り大学には行けませんでした。仕方なく彼は高校を卒業するとツテをたどり地元の建設会社に就職しました。
だけどその会社、社長というより…親方って感じだったそうで。当然社員も揃いも揃ってヤンチャな人達。ぶっとい作業ズボンにパンチパーマ、色の薄い細めのサングラスが皆さん良く似合います。
友人は入社前「家族のような会社」という紹介をされ人情味溢れて温かいイメージを想像したそうですが、それが間違いだったことに(いや、ある意味間違いではないよ)すぐに気付いてしまいました。
仕事を教えるにしても注意するにしても、ここでは書けないような罵声や鉄拳制裁が日常茶飯事。怒られた方も「ゔァいす!さーせんした(すいませんでした)」と気合のお返事。アニキの拳は愛情の証だと信じて疑いません。
仕事が終われば何事もなかったように飲みに行くぞと連れ立って繰り出し、休みの日には祭りだ神輿担ぎだ野球大会だと常に一緒。
「何、おまえまだ独りか」「(別の社員に)おい、おめぇんとこの妹も独身だよな、ちょっと今度連れてこい」
こんなの当たり前の世界。パワハラもセクハラもいっしょくたです。
元々帰国子女でキリスト教系の私立高校卒業だったこの友人。優等生で穏やかな性格の彼にとっては最初から住む世界が違いすぎ、数週間で辞めてしまいました。
この友人の例に限らず、今まで日本経済を支えてきた会社とか組織とかって、大中小問わずどこも同じような構造でやってきたんですよね。
家族的、封建的で良く言えばバンカラ、悪く言えば野蛮。世間の法律より身内の掟。
常に口答えせず目上や上司の言う通りにするのが当然のこと、そういう思考回路が戦後~平成の長い時間をかけてあまねく根付いてしまいました。
今回パワハラ対策の義務化・法規制に消極的な財界のお偉いさん達はまさにその世代。
「今までみんなが乗り越えてきた試練。潰れるのはその人の問題」
「仕事にはある程度の厳しさが必要。小難しい理屈をこねていたら何もできない」
何がパワハラなのかちゃんと分からないのを全て一気に罰則化するのは混乱の元になる、というのは要はこういう事なわけです。
確かに明治維新の時も、野蛮だとか不潔だとか非文明的だとかいう理由でそれまでの風習を突然やめるよういろいろ強制されました。
チョンマゲを禁じて西洋の髪型にしろとか、刀は持つなとか、道端で裸になるなとか、みんな普通にしていたことなのになぜだめなのかと混乱したことと思います。だけど誰だって安全だったり清潔だったり楽だったりの方が良いに決まってます。
最初は大変かもしれませんが、時代が前に進むためにはやるべきことはやった方がいいのです。
被害者・加害者を含めた当事者の認識の問題
上がこうなので、中にいる社員や従業員の意識というものも変わりません。
人間が子供から大人へと成長する過程では、必ず先に物事を経験した他人から教えてもらうものなのですが、日本の社会では特にこの「先輩からの指導」というものが極端に絶対視されるようになってしまいました。部活動から始まり、社員教育へとつながります。
かつて理容師として働いていた私の友人が言っていました。
「あの業界では仕事の出来ないやつはボロクソに言われても反論する権利はないんだよ」
「下っ端は休みの日でも遊びに行けないし、女の子と付き合うのもお店の人たち全員からの同意がないと禁止。ハサミも親方の先生が指定したものを自腹で買わされる。自由になるには早くカットデビューしてスタイリストになるか、辞めるかしかないんだよね」
これ、ほんの十年かそこら前の話です。もう21世紀ですよ?既に昭和終わってますよ?
職人とか工芸とか伝統芸能のように体で覚えなければならない世界はある程度厳しい指導は必要なのですが、ものには限度があるし正当な理由もいります。男女交際したり自分の意見を言ったりするのがそんなに技術を学ぶ邪魔になるのでしょうか。
ですがこういう思考回路は一般のサラリーマンでも同じです。
人格を否定する罵詈雑言や無茶ぶりにも逆らわずにじっと我慢し、どんなに人格がクズな上司でも仕事ができなければ自分が下。偉きゃ黒でも白になる。肩書があれば部下をどう使おうと自分の勝手。
もうこの意識も変えなきゃいけません。
仕事が未熟だからといって個人の人格まで否定するのはお門違いもいい所です。
学校でイジメが無くならないのも、職場でハラスメントが増えているのも、
監督やコーチに逆らえず反則タックルをしてしまうのも
付き人をリモコンで殴るのも
レジで怒鳴るクレーマーが後を絶たないのも
煮立ったチゲ鍋に顔を浸けさせられるのも私達が「悪いのは自分が未熟だから」「全て仕事ができない自分のせい」という考えを捨てられないからです。
セミナーに参加する意義

パワハラ対策というのはとても難しい問題だということがよくわかります。ハラスメントは身体的なものの他精神的な要因も大きく、反応や受け取り方にも個人差があります。
仕事でミスをして同じように「何しとんじゃゴルァ!豆腐の角に頭ぶつけて死んでまえ!」などと怒鳴られても、山手育ちのお坊ちゃんと下町の悪ガキだったオラオラな子とでは感覚が違いますよね。
逆に怒鳴った上司もガラの悪い荒れた環境で育った人か、島耕作の世界のように名の通った大学を出た人かでは、似たような言葉を用いても他人に対する感覚は同じではありません。人の感情、特に怒りの感情は非常に扱いが大変でマニュアルや研修での限られた事例だけで判断することは困難です。
パワハラ対策では、ガイドラインの周知や社内研修はどこの会社でも行われるようになってきました。とはいえまだまだ他人事だったり無関心だったりな経営者や幹部は少なくありません。
自分の力で事業を立ち上げたり、熾烈な社内政治でのし上がった人ほど他人の痛みに鈍感です。パワハラは「対岸の火事」で自分たちの問題だと思っておらず、労基署からガイドラインが届いても「なに、パワハラ?あっそ。よくわかんないから君研修やっといて」と担当者のあなたに丸投げしておしまいです。
ではそんなあなたがセミナーに参加する意義とはなんでしょうか。
自分の会社の外の世界を知る
セミナーは主に事例や裁判例、ノウハウなどを説明する講演、典型例をもとに討議するグループワークなどが軸となります。回を重ねるごとに内容も充実し、主催者側の努力が伺えます。
ですが、このセミナーが本当に生きた情報を吸い上げ知識をフル活用させるためには、社内の担当者だけでは足りません。
セミナーでは会社も立場も違う見ず知らずの人たちが出席するので、自分の会社内で完結させているだけでは分からなかった現状や悩みを知ることができます。
専門家との質疑応答やグループワークで曖昧なことも理解しやすくなる
いろんな職場でいろんな出来事、ひどい事が起きているのはわかった。ではそれの何が問題でどう対処すればいいのか。それには専門家が答えてくれます。こうして練られた多様な案件をノウハウとして蓄積させれば少しずつ輪郭が見えてきます。
セミナーをうまく活用するためにしておくこと
事前に社内の現状を調べる
社内メールやグループウェアなどを利用し、セクハラやパワハラを受けている、または受けているかもしれないという社員はいないかを聞いて実態を調べる。その際は回答したスタッフ、社員のIDなど個人情報の扱いには慎重でなくてはなりません。
調査結果を元に質疑応答の資料をまとめる
セミナーにはメンタルヘルスや法律、マネジメントの専門家も携わります。事前に調べた社内の事例をまとめ、誰に、どういう観点から質問した方がいいかを検討しましょう。
可能であれば希望する社員を(その時だけ)担当者の一人にして参加させる
今のパワハラ対策支援セミナーの多くは法人のパワハラ対策担当者を対象にしており、個人の参加は基本受け付けていないことがほとんどです。本当は実際に被害、加害の経験のある当事者にも参加してもらうほうがいいのですが仕方がありません。
でも本当は社内でパワハラに悩んでいる人の中には、自腹ででも参加して対策や解決策を知りたいと思っている方もいるはずです。例えば先ほど挙げた社内アンケートでセミナーに参加する希望者を募り、担当者補佐などという肩書で申し込んでも良いのではないでしょうか。
こうした準備を行ってセミナーで講演した専門家や他の参加者とグループワークに臨めば、よりリアルで現実味のあるだけでなく、対策や法的解決手段などもよりきめ細かく理解しすることができるはずです。
まとめ

パワーハラスメントはセクハラと比べてもまだその歴史は浅く、現場での経験知が十分ではありません。いくら法律で対策を義務化しろと言われても、昔の当たり前な習慣や古き良き(と思い込まれてる)考え方を転換するのは多くの人には抵抗があります。
確かに他人からの心理的接触は人によって反応や感じ方が違います。だからといって心に関することは定義が難しいからと逃げても何にもなりません。
日本人は自分の感情をちゃんと理詰めで文章化、具体化することが苦手ですし、むしろそうした作業は嫌われる風潮が続いてきました。
「余計なことは考えるな、言われた通りにしていれば間違いはないんだ」
「人の心は機械で測れない、理屈っぽい奴はウザがられるんだよ」
日本の社会でよく言われてきたセリフです。今まではそれで何とかなってきたでしょう。ですがそれが原因で心身を病んでしまう人が増えれば社会全体が不健康そのものに陥ります。
フランスで子供の頃から哲学を習ったり、アメリカの学校でディベートをやったりしているように、自分の立場や考えを表現することは本当は他人との深い相互理解や心の健康にもつながるのです。
だからこそセミナーやシンポジウムなどに参加し、大量の事例や証言、データを使ってその曖昧なことを浮き彫りにする必要があります。
ガイドラインやマニュアルに振り回されないためにも、せっかく開いた研修を絵に描いた餅にしないためにも、対策セミナーでより多くの情報や体験を得てください。そうして持ち帰ったノウハウで自分の会社で苦しむ従業員を助けることができれば、担当者としてこれ以上の喜びはないですよね。


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