



まだまだ男性の育休率が低い日本では、女性だけが
「働け」
「子どもを産め」
「ちゃんと育てろ」
「それでも働け」
と強い風当たりの中、必死に社会人人生を模索しています。女性が進みたい道を障害なく選べる社会になるよう、国もやっと本気で動き始めてくれました。
Contents
マタハラの意味とは

「マタハラ」とはマタニティ・ハラスメントの略で、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で精神的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産を理由とした解雇や雇い止めで不利益を被ったりするなど、不当な扱いを受けることを意味します。
厚生労働省によるマタハラの定義
- 男女雇用機会均等法第9条第3項、育児・介護休業法第10条に違反する扱い
- 妊娠、出産をきっかけにした上司や同僚からの嫌がらせ
また、平成28年度厚生労働省告示312号によりますと、マタハラには2種類の内容があると定義されています。
①「制度等の利用への嫌がらせ型」
雇用する女性労働者の労働基準法第65条第1項の規定による休業その他の妊娠または出産に関する制度または措置の利用に関する言動により就業環境が害されるもの
②「状態への嫌がらせ型」
雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したことその他の妊娠または出産に関する言動により就業環境が害されるもの
アメリカやフランスでは40年以上前から問題になっているマタハラについて、少子化対策と女性躍進対策に悩む日本は、近年国をあげて本気でマタハラ対策を講じ始めました。
マタハラの現状

マタハラの現状は、厚生労働省が発表した「平成28年度都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での法施工状況」によりますと、2016年の妊娠・出産時の不利益取扱いやハラスメントは7,344件にのぼり、全相談件数の34.9%と高い割合を占めています。
また、マタハラの被害にあうのは非正規よりも正規雇用の場合が多いという傾向もあります。
連合非正規労働センターの「第3回マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」によりますと、マタハラ被害は正規34.9%、非正規24.4%と正規雇用の方が10ポイントも多いという結果が出ています。
厚生労働省が示すマタハラの具体的内容
厚生労働省は、マタハラについての具体的な事案をまとめています。
妊娠中・産後の女性労働者の
・妊娠、出産
・妊婦検診などの母性健康管理措置
・産前・産後休業
・軽易な業務への転換
・つわり、切迫流産などで仕事ができない、労働能率が低下した
・育児時間
・時間外労働、休日労働、深夜残業をしない
・解雇
・雇止め
・契約更新回数の引き下げ
・退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要
・降格
・減給
・賞与等における不利益な算定
・不利益な配置変更
・不利益な自宅待機命令
・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
・仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする
引用:妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い・防止措置
実際のマタハラの具体的内容
2015年に日本労働組合総連合会が行ったマタハラに関する調査です。
1位 妊娠中や産休明けなどに、心ない言葉を言われた
2位 妊娠・出産がきっかけで、解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導などをされた
3位 妊娠中や産休明けなどに、嫌がらせをされた
4位 妊娠中や産休明けに、残業や重労働などを強いられた
5位 妊娠を相談できる職場文化がなかった
6位 妊娠・出産がきっかけで、望まない移動をさせられた
7位 妊娠・出産がきっかけで、正社員から契約社員へ等、雇用形態を変更された
8位 妊娠・出産がきっかけで、給料を減らされた
本来、妊娠・出産は、自分や家族にとっても社会にとっても非常に喜ばしいことなのに、マタハラ被害に合うことで、女性に「妊娠が悪いことのように思える」「こんなことなら妊娠しなければよかった」と思わせます。
また、それを見ている周りの女性も「妊娠したらこうなってしまう」と結婚や妊娠を踏み留まったり、妊娠したら黙って退職していくことに繋がってしまう危険性があります。
マタハラをしてくる人は誰か。意外な加害者
2015年マタハラNetのWEBサイトよりインターネット調査によりますと、実際にマタハラをしてくるのは誰か、驚く意外な結果が見えてきました。
なんと、同僚では男性より女性がマタハラをしてくることが2倍も多かったのです。
直属の上司・経営層でも、女性上司・経営層が加害者である割合が男性の半分近くにのぼりました。女性が女性にマタハラをする割合が想像以上に高く驚きました。女性同士だから理解、ではなく女性からの被害も多いのです。
同じ女性でも、自分との立場が違えば、心から相手の状況を思いやることはできません。
私の知り合いの女性も、温厚で優しい方なのですが、自分が40歳で結婚、妊娠、出産するまで、後輩が産休や育休を取り人員の補充がない時は、「また自分に負担がかかってくる」と心から祝福することができなかったそうです。
女性はもともと共感する力が男性より高いと言われています。産休や育休を取ることは当然の権利ですが、取るほうも「当たり前ですから」という態度ではなく、謙虚な気持ちで、感謝の言葉を伝えると、女性を敵に回さず、応援してもらえる割合が増えるのではないかと思います。
厚生労働省の対策

マタハラが社会に広がると、働き続けたい女性は妊娠をためらうようになり、産後は家庭に入るか正社員から非正規社員に働き方を変えざるえなくなってきます。自由に選択ではなく、そうさせられるという社会はおかしいです。
厚生労働省でも、労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するために対策を打ち出しました。
通達
平成27年1月に、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法を改正し、改正後の解釈通達を出しました。改正内容は、妊娠・出産、育児休業等を「契機として」なされた不利益取扱いは、原則として違法と解されることを明確化するものです。
指針
平成28年8月2日に、事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成 29 年1月1日適用)が公布されました。
この指針は、妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置の適切かつ有効な実施を図るために定められたものです。 平成29年1月1日から事業主は、この指針に従い、妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置を適切に講じなければならないことになりました。
改正法律の施行
平成29年1月1日改正男女雇用機会均等法及び改正育児 ・ 介護休業法が施行されました。新たに妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについても防止措置を講じることが事業主に義務付けられました。
施行前と施行後の違いは以下です。
- 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止 (男女雇用機会均等法第9条第3項)
- 育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いの禁止 (育児 ・ 介護休業法第 10 条等)
- 上司・同僚からの妊娠・出産等に関する言動により妊娠・出産等をした女性労働者の就業環境を害することがないよう防止措置を講じること(男女雇用機会均等法第 11 条の2)
- 上司・同僚からの育児・介護休業等に関する言動により育児・介護休業者等の就業環境を害することがないよう防止措置を講じること(育児 ・ 介護休業法第 25 条)
妊娠・出産等に関するハラスメントの対策について、会社任せであったものから、適切な防止策を義務化する条文に変更されたのです。
マタハラを受けた時は

法律が改正され、事業主にマタハラを防止する対策が義務付けされましたが、現場のマタハラがすぐになくなる訳ではありません。
しかし、妊娠・出産、育児休業等を理由とする解雇など不利益な取扱いは法律で禁止されたのです。黙って耐える必要はありません。
厚生労働省は、マタハラ被害にあった時の対策を以下のように示しています。
はっきりと意思を伝えましょう
ハラスメントは、受け流しているだけでは状況は改善されません。「やめてください」「私はイヤです」と、あなたの意思を伝えましょう。我慢したり、無視したりすると事態をさらに悪化させてしまうかもしれません。問題を解決していくことが、悩んでいる他の人を救うことにも繋がります。
会社の相談窓口にご相談ください
ハラスメントは、個人の問題ではなく会社の問題です。会社の人事労務などの相談担当者や信頼できる上司に相談しましょう。取引先や顧客などからセクシュアルハラスメントを受けた場合も、自分の勤める会社に相談してください。労働組合に相談する方法もあります。
会社で対応してもらえない場合や社外で相談したいときは
妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントに関するご相談は、お近くの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ(匿名でも大丈夫/プライバシーは厳守します/相談は無料です)
引用:厚生労働省HP
また、マタハラnetや、日本労働弁護団ホットラインなど、社外の相談窓口を利用する方法もあります。
不当な扱いや嫌がらせを受けたら、我慢したり一人で悩んだりせずに、専門の窓口に相談することが大切です。
まとめ

妊娠。それは本来自分や家族にとっても、社会にとっても大変喜ばしいことです。
国のバックアップも始まりました。社会からマタハラがなくなり、妊娠した時に女性が不安や後ろめたさを思うことなく、選びたい道を選べる社会になっていけるように。今の女性の姿が、後に続く女性たちの指針となりお手本になります。
感謝の気持ちは忘れず、勇気を持って妊娠、出産、育児を乗り越えていってください。




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