マタハラに関する就業規則ってある?規定例や対策をご紹介!

報道やSNSからの発信などにより、マタハラという言葉の認知度が高くなってきました。実際に妊娠や出産、育児を理由に職場で悩む女性が多いのが現実です。

働く女性を守る法律があることをご存じでしょうか。知らずに泣き寝入りしてしまったり、黙って働き続けていませんか。妊娠中にマタハラを受け、ストレスでお腹の子に影響が出てしまったとしたら、取り返しのつかないことになりかねません。

また、同僚がマタハラ被害にあっているのに、何もできずに見過ごしている方もいるかもしれません。もどかしさを抱えて働くのもつらいですよね。

こんな方におすすめ

  • 職場のマタハラに悩んでいる人
  • マタハラの対策について知っておきたい人
  • マタハラに関する就業規則について調査中の事業主

 

こんな状況を少しでも改善したい方に知っていてほしいことをご紹介します。

マタハラとは

マタハラとは、職場において妊娠・出産などを理由に受ける不当な扱いや嫌がらせのことをいいます。

実際に「妊娠を報告したら、退職をすすめられた」「忙しい時期だからと、時短勤務に応じてくれない」「育休の間も給料が出るなんていいね、と同僚に嫌味を言われている」などの肉体的・精神的に苦痛を感じる様々な被害の声があがっているようです。

もし自分や周囲の人がこのような目にあってしまったとき、どのようなが規則が私たちを守ってくれるのでしょうか。

マタハラ防止措置は法律上の義務

平成29年1月、男女雇用機会均等法が改正され、職場における妊娠・出産等に関するハラスメント(いわゆるマタハラ)の防止措置が事業主の義務となりました。

簡単に言うと、会社はマタハラに関するルールを定めて従業員に周知し、ハラスメントの相談窓口を設置し、相談者・行為者へ適切に対応しなければならない、ということです。この法律は女性の強い味方ですね。

 

厚生労働省のモデル就業規則

厚生労働省労働基準局監督課が定めた「モデル就業規則」には、以下のように記されています。

(妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントの禁止)
第14条 妊娠・出産等に関する言動及び妊娠・出産・育児・介護等に関する制度又は
措置の利用に関する言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしては
ならない。

引用:モデル就業規則 平成31年3月版

90ページに及ぶ資料ですが、マタハラに関する規定は「これだけか」と思うほど、さらっと書かれている印象です。もっとしっかりとした規定を作るべきだと私は感じます。

このモデルを活用した就業規則では、なんだか心もとないような気がしますね。就業規則は各会社でのルールなので、これはあくまでモデルとして見ておきましょう。

 

マタハラに関する就業規則の規定例

そこで今度は、マタハラに関する就業規則の規定例を3つご紹介します。

社会保険労務士事務所オフィスおかべの例

4)社員は、次に示すようなマタニティハラスメントやパタニティハラスメント(以下「マタハラ・パタハラ」という。)をしてはならない。

・①女性社員による産前産後休業その他の妊娠又は出産に関する制度又は措置の利用に関して就業環境を害する言動

・②女性社員が妊娠したこと、出産したことその他の妊娠又は出産に関して就業環境を害する言動

・③育児・介護に関する制度又は措置の利用に関して就業環境を害する言動

5) 社員はいかなる場合でも前4項のハラスメントに該当するか、該当すると疑われるような行為を行ってはならない。

6) 社員はハラスメントに関する相談及び苦情処理を所属長又は責任者を通じて会社へ申し立てることができる。

引用:オフィスおかべ 就業規則サンプル

これは社労士事務所が提示している就業規則の例です。厚生労働省のモデルに比べると、少し細かくなっていて、よりわかりやすくなっています。しかし、もう少し踏み込んで具体的な内容になると、もっと安心が増すような気もします。

東京労働局の例

(懲戒の種類)

第▽条 懲戒は次の区分により行う。
①けん責 始末書をとり将来を戒める。
②減給 将来を戒め、賃金を減額する。ただし、1回の額が平均賃金の1日分の半額とし、総額が1箇月の給与総額の10分の1を限度とする。
③出勤停止 7日を限度として、出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
④降格 職位を解任若しくは下位等級へ降格する。
⑤懲戒解雇 即時に解雇する。ただし、所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは、第○条に定める解雇予告手当を支給しない。
(懲戒の事由)
第△条 次のいずれかに該当するときは、その情状により、けん責又は減給に処する。
①~⑤略
⑥職場内において、性的な言動によって他人に不快な思いをさせたり、職場の環境を悪くしたとき。
⑦職場内において、妊娠、出産、育児休業等に関する言動により、部下や同僚の就業環境を害したとき。
2 次のいずれかに該当するときは、その情状により、減給又は出勤停止に処する。
①前項の行為が再度に及んだ者又はその情状が悪質と認められたとき。
②~⑥略
職場内において、性的な関心を示したり、噂を流布したり、性的な行為をしかけたりして、他人の業務に支障を与えたとき。
⑧職場内において、部下の妊娠、出産、育児休業等に関して、解雇その他不利益な取扱いを示唆したとき。
3 次のいずれかに該当するときは、その情状により、諭旨解雇又は懲戒解雇とする。
①前項の行為が再度に及んだ者又はその情状が悪質と認められたとき。
②~⑥略
⑦職責を利用して交際を強要したり、性的な関係を強要したとき。

引用:ハラスメント対策に関する規定例 C社

これは東京労働局が公開している規定例で、A社~F社までの例がある中からC社の例を抜粋したものです。マタハラに限定したものではなく、ハラスメント全体の規定となっています。このように、「何をするとどうなる」と明記しているものだと想像がつきやすく、安心感がありますね。

社会福祉法人善心会の例

(マタハラ行為の禁止)
第5条 職員は、次に掲げるようなマタハラ行為を行ってはならない。
(1)妊娠・出産により施設運営に支障が出るという趣旨の苦情を訴えること
(2)別に定める妊娠・出産に関する制度の利用を阻害すること
(3)妊娠・出産を理由として退職や配置転換を勧奨・強要すること
(4)その他前各号に準ずる行為をすること

引用:ハラスメント防止規程

これは実在する企業の規程となっています。文としては短いですが、端的でわかりやすいと思います。この規則があれば、相談窓口がきちんと対応してくれそうな感じがします。

 

規定の範囲について

様々な規定例を紹介してきましたが、さてこれらは一体「どこで」「誰が」守るものなのかも、ポイントを押さえておきましょう。

就業規則は、「職場」において「労働者」が守るべきものです。

事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。勤務時間外の「宴会」「懇親の場」などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。

引用:ハラスメント対策は事業主の義務

正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講じる必要があります。

引用:ハラスメント対策は事業主の義務

「職場」は、宴会懇親会も含む場合があるのです。出張先業務で使用する車中も例としてあげられています。一見すると職場とはわかりづらいので、覚えておきたいですね。

また「労働者」は、正社員だけでなく、雇用されている従業員全員だということがわかります。「パートだから育休は認められない」といったことはありえないのです。これもあわせて覚えておきましょう。

 

会社がだめなら労働基準監督署へ相談を

万が一、社員を守るべき上司がマタハラをしていたら、一体どこに相談すればいいのでしょう。もしくは会社に相談しづらい状況があった場合は、もう諦めてしまうのでしょうか。

そんなときは地域の労働基準監督署へ相談しましょう。ハラスメントの問題だけでなく、賃金や労働保険に関することの相談窓口にもなっています。最悪の場合も頼れる場所があることを知っておきましょう。

 

まとめ

この記事でお伝えしたことのまとめ

・マタハラ防止対策は法律上義務である

・厚生労働省のモデル就業規則がある

・マタハラ防止に関する様々な規定例

・「職場」と「労働者」の範囲

・会社に相談できなければ、労働基準監督署がある

働く女性がより良い就業環境でがんばるため、知識のひとつとして頭の片隅にでも置いておきましょう。被害にあわないことが一番ですが、いつか自分の身を守る武器となるかもしれません。

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