女性にとって大きなライフイベントである妊娠、出産。
新たな命を授かるということはとてもありがたく、尊いものであります。ですが未だに会社内で妊娠、出産に関する理解のない人による心無い言葉に傷つく人がいて、中には不当に解雇や減給を勝手にするといった問題も未だにあります。
そう、マタニティハラスメント、略してマタハラです。
そんな問題をなくすべく、政府がマタハラに関する法律を改正したのをあなたは知っていますか。
実はこの法律によって、世の企業が大きく動き始めているんですよ。今回はマタハラに関する法律改正について詳しく掘り下げていきたいと思います。
Contents
マタハラについてと現状

引用:LOVABLE
まずはじめにマタハラについて知っておきましょう。
マタハラとは働く女性が妊娠、出産をきっかけに制度を使った際に、会社側がその人に対して不利益になるような扱いをしたり、肉体的・精神的苦痛を与えるような行為のことを言います。
上の円グラフをご覧ください。こちらは2019年3月に出産経験のある女性1106人を対象に、マタハラを受けたことがあるかアンケートを取ったものです。マタハラを受けたかもしれないという方を含めると33.8%、つまり3人に一人はマタハラを受けたと感じている女性がいるのです。
どういったものがマタハラになるのか、その具体例をあげると以下のものがあげられます。
- 解雇
- 減給
- パートになるよう強要される
- 契約を更新してくれない
- 言葉による暴力
- 長時間労働を強いられる
- 近くでたばこを吸われる
とはいえこれらはあくまでも簡単にまとめたものであり、他にもマタハラの事例はたくさんあります。
そして具体例で紹介したような、マタハラの被害にあった女性らの声もあります。どういった被害にあわれているのか、実際の生の声を見てみましょう。
実際にあったマタハラ事例は?

引用:LOVABLE
お話しする前にもう一つ、こちらのグラフもご覧ください。これはどういったマタハラを受けたのかを詳しく調査してグラフにまとめたものです。1番多く上がった声は「皮肉や嫌味を言われた」で、40%もありました。わずかではありますが降格や減給・雇用形態の変更もはいっているのも驚きです。
そして悲しいかな、実際にこういったマタハラの被害にあったという事例も何件かあるのです。
◆ 復職したら仕事量が減っていました。プロジェクト案件などを引き受けたいと言っても他部署の人にアサインされる。異動する人の仕事をやりたいと言っても、時短だからなのか回してくれないなど。新人にはきっと、使えないおばさんだと思われているんだろうな、と思うと卑屈になります。(42歳、商社、人事)
◆ 妊娠時に、産休・育休の取得の希望を伝えたところ、「産休に入るまでにまだ数カ月あるからゆっくり考えて、考えが変わったら教えてほしい」というようなことが数回続き、遠回しに退職を迫られているように感じました。(37歳、公務員、総務)
◆ 妊娠中、上司との面談で「育休を取る社員は会社に貢献していないから評価を下げる」と言われました。労働組合に相談しましたが、特にアクションなく今に至っています。男性社会ではマタハラはまだまだ当たり前なのだと思いました。(42歳、サービス、総務)
◆ 産休明けに職場復帰すると、会社が合併していました。同じようなポジションに独身の派遣社員の方がいましたが立場は私のほうが上で、私が戻ったことでその人の立場が危うい状態に。事あるごとに「いつ辞めるんですか?」と言われ、精神的に追い込まれて病院に通い始めると「もっとずぶとい人かと思ってました」と高笑い。精神的に病んで結局会社を辞めました。(37歳、医療福祉関連、一般事務)
引用:日経doors
どれも見ているだけで非常に腹立たしくなるものばかりですね。こんなことが蔓延しては世の働く女性は安心して子供を授かることができず、少子高齢化にもつながりかねません。こういった背景から政府も平成29年よりマタハラに関する法律改正を行いました。
マタハラの法律改正、何が変わった?

とはいえ私たちの生活に直結してるわけではないので、「マタハラの法律を改正って一体何を変えたんだろう」って疑問がありすよね。
この改正により一番多き変わったのは、事業主がマタニティハラスメントを防止するために雇用管理上、措置を取るよう義務付けるようになったことです。この措置というのが大きく分けて5つあります。果たしてどういった内容なのか、皆さんも是非知っておいていただければと思います。
社員への周知徹底
まず一つ目の処置はまさに当然といえる措置ですよね。社員がどういったことがマタハラになるのかを知っていなければマタハラをなくすどころか、その人に自覚がないまま、ますます被害が増加しかねません。
社員への周知徹底をさせる手段として一番重要なのは、その会社が定めている就業規則や服務規程に以下のことをしっかり明記することです。
- マタハラはなくすべきものだという方針を示す
- 産休や育休の制度を利用できることを明確にする
- マタハラをした場合懲戒事由になりえるということ
そして社内報やパンフレット、ホームページなどの資料を社員に渡したり、定期的に研修を行うなど、社員への周知徹底をさせることを義務付けました。
相談窓口の設置義務
もし、万が一マタハラになるようなトラブルが発生した場合、しっかりした相談窓口がなくては相談することができません。そこでマタハラの法律改正に伴って、連携を取って適切にかつスピーディーに対応できるようするために相談窓口を設ける、もしくは外部へ委託することを義務づけました。
こちらの記事でマタハラの相談窓口について説明してますので、是非ご覧ください。
マタハラ発生時の迅速な対応
もしもマタハラが起きた場合、それに対して迅速に対応できるような体制になっているかもとても重要です。
まず初めに、マタハラの相談を受け付けた担当者は、マタハラ被害者とマタハラ行為者それぞれに事実確認を行います。もし双方の言い分が一致しない場合は、第三者にヒアリングをして事実確認を行いますが、それでも事実確認が困難な場合は調停や第三者の機関に対処を委ねるようにします。
そして内容や環境に応じて、マタハラ被害者の職場環境の整備を行ったり、マタハラ行為者との関係を改善させるようしっかり対応し、マタハラ行為者に懲戒もしくは何かしらの措置を行わなければいけないのです。
迅速な対応はもちろん、今後こういったことが起きないようにするにはどうすれば良いのか、その防止策を再度会社は検討することも求められています。
職場の体制整備
こちらも重要ですが、マタハラが起きてしまう原因となるような職場環境になっていないか、もしなっているのであれば改善するよう努めなければなりません。
特に妊娠中はつわりがひどくなったり、疲れやすくなったり、精神的に不安定になったり、体の不調が出やすくなります。ですので体に負担をかけるようなことであったり、長時間の仕事ができなくなるなど、その人の仕事への制限は間違いなく出てきます。
そういった事態に備えて周りの社員がフォローできるような環境であるか、仕事の分担のバランスが取れているかがとても重要です。
フォローしなければいけない状況であるけれども、フォローする周りの社員の負担が増していいてそれができていないのであれば、会社は早急に業務を効率化を行う必要があります。
プライバシーの保護
最近特にうるさくなった個人情報。マタハラ被害者にとっては精神的につらい状況であるうえに、相談することで相談したことが外部に漏れ、余計にマタハラの被害にあうのではという不安もつきまといます。
また不安なのはマタハラ被害者だけではありません。マタハラの事実があったのか確認ためにヒアリングされた第三者の人もまた「事実を告げたことで会社から不当な扱いを受けないだろうか」という不安を抱きます。
しかし今回法律改正によりマタハラ被害の相談をしたことや、事実確認のために協力をした第三者が、会社から不当な扱いを受けないようプライバシーの保護につとめるよう、相談窓口の担当者は対応しなければならないことをしっかり定められるようになりました。
ですのでマタハラをなくすべく、困ったときには安心して相談窓口へ相談に行きましょう。
もし、法律に反したらどうなる?

では、もし会社が法律に違反したらどうなるのでしょうか。
法律に違反した場合はまず、厚生労働省から指導、勧告を受けます。それでも指導、勧告を無視した場合、企業名の公表制度に則って企業名を公表されます。実際に過去にこういった度重なる指導、勧告を受けたにもかかわらず、無視したことにより企業名を公表されたところがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
参考:厚生労働省
企業名を公表されるとどうなるのか、皆さんのご想像通りその企業のイメージダウンは免れません。SNSが普及している現代では、ものすごいスピードで情報が広がります。
社会的に企業の信頼を損ねる形になりますので、間違いなく今後の会社運営に大きなダメージをあたえるでしょう。企業名の公表されると言う事は、特に情報社会の現在ではかなり大きなペナルティーになるのです。
私たち社員にできることってなんだろう?

引用:第3回 マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査
こうしてマタハラの法律改正により少しずつ企業が動き始めていますが、マタハラが起きる大きな原因が実はもう一つ隠れています。
上のグラフをご覧ください。このグラフはマタハラが起きる一番の原因が何なのか、妊娠経験がある女性を対象にとったアンケート結果です。上位1位と3位の原因が「妊娠・出産への理解力不足」があげられています。つまりマタハラが起きる原因は、職場環境のせいとは言い切れないのです。
とはいえyahoo知恵袋にもこのような相談がありましたが、こんな風に感じる方がほとんどなのではないでしょうか。
こんにちは。
職場に妊娠した方がいてどう配慮というかどう接していいのかわかりません。
同じ職場の妊婦さんにはどういう風に接すればいいのでしょうか。まだ私の働いているところは事務所が狭く、食べ物の匂いもすぐわかります。
妊婦さんの近くではあまり食べ物とか食べないほうがいいのでしょうか?
引用:Yahoo知恵袋
私も職場で妊娠中の女性社員に対し、どう接してたらよいのかわからなくて悩んだ時期がありました。ここからは実際に私たちにできることってなんなのかについてご紹介したいと思います。
優しい声掛け
「体調は大丈夫?」「無理しないでね」そんなちょっとした声掛けでもとても大切です。やはり妊娠にともなって思うように体調がすぐれない、つわりがひどいなど、どうしても今までと同じように仕事をするのが難しくなります。
そんな時本人も「気を遣わせてしまって申し訳ない」という気持ちがあるので、体調が良くないときでも伝えづらいと思ってしまいがちです。ですのでできるだけコミュニケーションをとるようにし、安心して仕事ができる環境をつくれるようにしていきましょう。
体への負担の軽減
妊娠中はともかく体への負担を軽減には細心の注意を払わなければなりません。以下のことは最低限踏まえておかなくてはなりません。必ずチェックしておいてください。
- 重い荷物を持ってあげる
- 喫煙者は近くでたばこを吸わない
- 女性は香水をつけすぎない
- 空調
特ににおいについては、妊娠中は女性ホルモンの影響で敏感になりやすいので、上記以外でも強いにおいを発するものはできる限り控えるようにしましょう。そしてこれら以外にも長時間歩かなければならなかったり、階段の上り下りも体への負担につながりますので、フォローを心掛ける必要があります。
まとめ:より働きやすい環境づくりを

マタハラの法律改正、そして私たち社員にできることについてご紹介しましたがいかがでしたか。
おそらく「こんなに企業がマタハラ防止のために色々と義務付けられていることがあるなんて知らなかった」と感じている方がほとんどではないでしょうか。
マタハラをなくすべく法律改正が行われたわけですが、法律が改正されたからと言ってスムーズに環境が良くなるというわけではありません。
もちろん、その会社の職場環境がマタハラを加速させているケースもありますし、もし改善されないようであればそれは法律にのっとって素直に変えていかなければなりません。しかし、最終的にはその職場社員一人ひとりが妊娠、出産について理解を深めていかなければ変えていくのはなかなか難しいかと思います。
大切なのは「マタハラの法律が変わるということがどういうことなのか」を私たちが理解することなのではないでしょうか。
この記事をきっかけに少しでもマタハラへの理解を深められたら幸いです。


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