「給料上がったはずなのに……残業代は変わらない気がする」
って思ったことありませんか?
友人2人(Aさん、Bさん)の話になるのですが、彼らの会社では新しく“住宅手当”の制度ができました。
どちらも別の会社で手当の支給額は一緒でした。
彼らは
「やったーこれで、年収も大きくアップするぞ。仕事頑張るぞ!!」と給料が上がったことに意気込んで2人とも仕事を頑張りました。たとえ残業があったとしても頑張っていました。
しかし給料日に2人に差が生まれました。同じ時間残業したにも関わらず残業代の金額が2人とも違うのです。
上がらなかった友人Aさんはもしかして会社が計算間違えたのでは?
と思い、彼は会社の経理部に相談しました。
会社の回答としては住宅手当は、残業代の計算には含まれませんとのことでした。
しかし、友人Bさんは“住宅手当”を含んだ賃金を基礎として残業代が計算され、支給されていました。
では同じ“住宅手当”をもらっている2人はなぜ差が生まれたのか?そして残業代の計算とはどういう仕組みになっているのか?とこれを読んだ皆さんは思ったはずです。

残業代の計算は基本給が基準?基礎賃金ってなに?

冒頭の話を読むと残業代の計算って手当は含まれないで基本給のみって考えになりそうですけど、これは正解でもあり間違えでもあります。
残業代の計算に必要である”基礎賃金”について理解するとこの意味がわかるかと思います。
基礎賃金とは残業代計算で必要となる“時間給の元”となるものです。
そして時間給は以下のように計算されます。
この基礎賃金に含まれるのが基本給と手当になります。
やっぱり手当も含まれるじゃないか!!って言われそうですが、“労働基準法第37条”及び“労働基準法施行規則第21条”では該当する手当は基礎賃金に換算しないとされています。
“労働基準法第37条”
~中略~
○5 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
(時間計算)
引用:労働基準法 – e-Gov法令検索
“労働基準法施行規則第21条”
第二十一条 法第三十七条第五項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
一 別居手当
二 子女教育手当
三 住宅手当
四 臨時に支払われた賃金
五 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
引用:労働基準法施行規則- e-Gov法令検索
上記2つに該当されていない手当は“基礎賃金”に含まれます。


住宅手当は”労働基準法施行規則第21条”に記載されていますように、除外項目になるのですが、ここでそもそも住宅手当とはなにか?という定義的な問題が出てきます。
皆さんは住宅手当の定義ってわかりますか?


ここから、ちょっとややこしい話になりますが、会社が住宅手当と言っていたとしてもそれは法律では住宅手当ではない場合があります。
これについては下記に示す厚生労働省が出しています“割増賃金の基礎となる賃金とは”を見ていただければわかると思います。
“割増賃金の基礎となる賃金とは”
①家族手当
扶養家族の人数またはこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当を言います。
具
体
例除外できる例 扶養家族のある労働者に対し、家族の人数に応じて支給するもの。(例) 扶養義務のある家族1人につき、1か月当たり配偶者1万円、その他の家族5千円を支給する場合。
除外できない例 扶養家族の有無、家族の人数に関係なく一律に支給するもの。 (例) 扶養家族の人数に関係なく、一律1か月1万5千円を支給する場合。
②通勤手当
通勤距離または通勤に要する実際費用に応じて算定される手当を言います。
具
体
例除外できる例 通勤に要した費用に応じて支給するもの。 (例) 6か月定期券の金額に応じた費用を支給する場合。
除外できない例 通勤に要した費用や通勤距離に関係なく一律に支給するもの。 (例) 実際の通勤距離にかかわらず1日300円を支給する場合。
“家族手当”
住宅に要する費用に応じて算定される手当を言います。
具
体
例除外できる例 住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するもの。 (例) 賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給する場合。
除外できない例 住宅の形態ごとに一律に定額で支給するもの。 (例) 賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給する場合。


ここで、冒頭の友人たちの話に戻しますと、友人AさんとBさんの違いというのは皆さんももうわかったかと思います。
友人Aさん:住宅費用を区分けして支給がされていました。それは2万円でした。
友人Bさん:一律2万円の支給がされていました。
そうです。2人とも同じ手当額ですが法律上はAさんは住宅手当として認められますが、Bさんは認められないということになります。


なので、AさんとBさんのそれぞれの基礎賃金はAさんの場合は基本給=基礎賃金となり、Bさんの場合は基本給+住宅手当=基礎賃金になります。

計算方法を実例で解説!!

では実際に例を使って“基礎賃金”と“残業代”について計算していきたいと思います。
Cさんの場合
基本給が20万円で、資格手当が1万円、家族手当が1万円、地域手当5千円円、住宅手当は一律2万円、通勤手当は一律5千円支給されているとします。
ではこの場合のCさんの基礎賃金はいくらになるでしょう?
普通に考えると全て足し合わせて25万円になりますが、“基礎賃金”なので考え方は違いますよね?
まず、労働基準法に定められている除外項目に沿って手当を除外していきましょう。
項目 | 除外 | 除外に当てはまらない |
資格手当 | ◯ | |
家族手当 | ◯ | |
地域手当 | ◯ | |
住宅手当※ | ◯ | |
通勤手当※ | ◯ |
※:支給が一律のため労働基準法に定められている除外項目に当てはまらない。
上記の結果より、基礎賃金として換算するのは資格手当、地域手当、住宅手当、通勤手当となります。
そのため、Cさんの基礎賃金は以下のようになります。
基礎賃金は24万円になります。
出勤日数と1日の時間をかけることで時間給に必要な1ヶ月の所定労働時間が出ますので、基礎賃金にこれを割ることで時間給を算出することができます。今回は出勤日数は20営業日として仮定します。
これを上記に記載していますように、
Cさんの時間給は1500円になります。これに各残業代をかけることで
残業代を計算することができます。
時間給に関しては基礎賃金ではなく基本給で計算したものになりますが過去記事で残業の計算方法をエクセルでやる方法を記載した記事を掲載しているので、残業代の計算を詳しく知りたい、計算を自分でしたい!という方はこちらの記事をご覧ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は残業代の計算で最も重要と言っても過言ではない基礎賃金について紹介させていただきました。
これが計算できることによって更に正確な残業代を求めることができます。
また、基礎賃金計算でややこしい手当の定義についても皆さんにわかりやすく説明できたかと思います。
ぜひ今回紹介した方法で貴方の基礎賃金が正しいのか確認するのをオススメします。


- 1年で年間1万3000社以上の求人が出る、中小から大手まで幅広い求人、外資系企業も1400社以上
- 累積45万名以上が転職に成功、転職決定者は年間約2万3000名以上
- 62.7%の人が年収アップを経験

- 公開求人数/非公開求人数 約6万6千件/約13万6千件
- 業界№2の大手
- スポーツキャリア、ウーマンキャリアなどdoda独自の働き方を提案
- 「年収査定」「キャリアタイプ診断」「レジュメビルダー」など転職に役立つ無料セミナーが好評。

- 公開求人数 50,000件以上
- 求人の特徴 80%が非公開求人
- 2019年オリコン顧客満足度1位、年収アップ率67.1%以上