「そろそろ契約期間が終わりになるんだけど、他の職場に移りたいなあ」
「まだ契約期間は残っているけど、もっと条件のいい会社に転職したい」
今、この記事を読んでくださっているあなたは「契約社員じゃない仕事に就きたい」、「今の仕事が辛いから辞めて充電したい」、「より条件のいい仕事を探したら見つかったので現職を辞めたい」など、現在職に就いていて、様々な目的で退職を考えているのだと思います。
退職を視野に入れたとき、ふとこんなことを思ったことはありませんか。
「契約社員って、正社員じゃないけど退職届とか書くのかな?」
「…いらなくない?」
ちょっと待ってください。
確かに更新をせず当初の契約期間を終えれば、契約社員は自動的に「辞める」選択をしたことになります。契約社員は期限の定めのある雇用形態であるというのは、契約社員で勤めているあなたは既にご存知でしょう。
しかし、契約社員が退職するときも、場合によっては退職届が必要になります。
「えっ、そんなの知らないよ…」と眉をしかめてしまったあなた。知っておかないと円満退職できないこともありますよ。
この記事では契約社員の退職届について、「必要な場合と不要な場合」「必要な場合の書き方」を解説していきます。
Contents
確認!契約社員と正社員の違い
一番の大きな違いは雇用期間です。
- 正社員は「期間を設けず雇用された人(無期雇用)」
- 契約社員は「期間を設けて雇用された人(有期雇用)」
給与や賞与、福利厚生の点で正社員とは待遇が違うことはありますが、共通点も多くあります。正社員よりも副業禁止の規則がゆるかったり、なにかと融通が利きやすい雇用形態です。
とはいえ「有期雇用」ですから、原則的に「契約期間内は辞められない」と言い換えることができます。
いつ退職できるのか
正社員の場合は退職の意思を示してから2週間
期間の定めのない正社員雇用の場合は、辞めたいと思えば自由に辞めることができます。年棒制などの例外を除いて、法律上は退職の意思表示から2週間で退職できることになっています。
民法第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:e-Gov
契約社員は契約期間内の退職が認められない?
「正社員は2週間前に意思表示すれば退職できるけれど、契約社員は契約期間内は辞められないんでしょ?」と思われたかもしれません。
確かに契約社員は雇用契約を企業と結んだ以上、契約条件としての期間を守って働く義務があります。契約とは、双方(企業と労働者)合意のもと結ぶものです。早々にその期間を無視するのは、契約不履行と言えますよね。
しかし、契約期間内に契約時には予測していなかった事態が起こる可能性は、ゼロではありません。
などが挙げられます。
法律では雇用の期間を定められた契約社員であっても、労働者を守るために契約満了以外の退職も可能であると定めています。具体的に見ていきましょう。
契約社員の契約期間内でも退職できる条件
契約社員の契約期間中の退職は、下記の通り民法で定められています。
民法第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
「やむを得ない事由」とは具体的にどんな状況かは明示されていません。NPO法人労働相談センターの相談内容の中に例がありましたので、抜粋したものを紹介します。
心身の障害、疾病など
これは致し方ない理由ですね。
病気になった原因が労働によるものであったとしても、そうでなかったとしても心身に異常をきたしていれば働くことができません。治療に専念するために契約を途中で解約するのはやむを得ない事由と言えます。
両親や子供の病気の介護など
本人ではなく家族の健康や生活状況により、働けなくなるといった理由ですね。
嘘の退職理由としてもよく使われる気もしますが、企業側としては労働者の家族の健康までは関与できませんので、家族都合としてやむ得ない事由とされるようです。
業務が法令に違反していること
会社が賃金を払ってくれないなど、契約前に聞いていた労働条件と実際の条件が違う場合は、即座に労働契約を解除できると労働基準法で規定されています。この場合は法律を盾に退職を届け出ることができますね。
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
(引用:e-Gov)
「パワハラを受けているなら辞めてもいい」とは明示されていませんが、タイムカードを押してから残業をするよう言われた、上司から業務の範疇を越えた身の回りの世話を強要されていてセクハラを受けている等の場合は上記法律の適用範囲内と言えます。
パワハラでもしお悩みであれば、こちらの記事も参考にしてみてください。
就業規則に依願退職(合意退職)の規定がある場合
就業規則に「依願退職」や「合意退職」といった規定がある場合は、その規定に従い会社との合意があれば退職はできます。
たとえば「30日前までに退職の申し出を行う」といったような規定があれば、基本的にはこの規定にしたがって退職時期が決定します。
いかがですか。退職に向けて動き出すイメージはできたでしょうか。
退職届が不要な退職条件がある

退職届の書き方を説明する前に、退職届が不要な退職条件がありますのでお伝えします。
契約満了に伴い退職する場合は原則不要
雇用契約書に「退職届を提出すること」と記載がある特別な場合を除き、契約社員が契約期間を満了した場合は退職届は提出不要です。
契約満了は更新の申し出をしない限り自動退職(期限が到来して、自然に退職)扱いとなり、退職届を提出する義務はありません。

会社都合による退職の場合は不要
契約途中でも、会社の経営不振など雇用者側の都合による退職は退職届の提出は不要です。
「あなたのせいじゃないけど、申し訳ない。辞めてくれ」会社側から言われ退職するわけですから、退職届を出すのは変ですよね。
もし退職届を出すように求められた場合、「リストラだと会社のイメージが悪くなるので、自己都合退職で片を付けたい」という思惑があるのではと疑ったほうがいいでしょう。
「そんな会社じゃないけどな。お世話になったし、あんまりごねたくないな」と思ったら、会社都合での退職であることを証明する通知書をもらえるようお願いしてみましょう。退職届は書くけれど、自己都合退職ではないという証拠を手に入れておくのです。
理由は自己都合退職扱いだと、退職に伴いもらえるお金が少なくなるからです。退職に伴う賃金や、失業手当の金額や受給できる期間など、会社都合で退職したほうが有利です。
退職届の書き方

病気などの自己都合により契約途中で退職する場合や、正社員が自己都合退職する場合には退職届が必要です。
退職届の内容は正社員も契約社員もほとんど変わりません。
退職届のテンプレート
文面のイメージはこんな感じです。

退職理由については詳しく書く必要はありません。「一身上の都合により」と書くと覚えましょう。2行目の日付の部分に退職日を、部署名の前の日付の部分に提出日を記入します。提出日は作成日ではないので注意してくださいね。
退職届は縦書きが主流で、日付も漢数字を使ったほうがよいです。詳細はこちらの記事を参考にしてください。
自己都合以外で退職する場合の退職届
契約満了で退職するのに会社から退職届を求められた場合は、退職理由を「契約満了のため」と記載しましょう。「一身上の都合」と書くと、自己都合退職と捉えられかねません。
会社都合で退職する場合は、事前に退職勧奨という通知が出されるはずです。それに伴って「貴社、退職勧奨に伴い」と書いておくとよいです。
契約社員に退職金制度を適用している企業は少ないですが、先に述べた後からもらえるお金にも影響するので、自己都合退職ではないことを明確に記載しておきましょう。
退職届はいつ提出すればよいか
法律にのっとれば退職の14日前に提出すればよいことになっています。
しかし実際の現場で法律は名目で、3ヵ月前に届け出てくれなどと言ってくる会社もあります。業務の引継や残務があると従わなければいけないと感じるかもしれませんが、応じる必要はありません。
ただし、就業規則で退職届の提出日を定めている会社もありますので、事前に確認しておきましょう。
退職日14日前をデッドラインとして、自分の業務の引継ぎや、残っている業務とのバランスを見ながら、できるだけ円満に退職できるような時期に退職届を提出しましょう。
まとめ
契約社員の退職届について説明してきました。いかがでしたでしょうか。
この記事が、契約社員を辞めようかと思っているあなたのお役に少しでも立てれば幸いです。
- 契約社員は原則、契約期間内は退職できない
ただし労基法違反などの正当な理由や、悪質なパワハラを受けている、自身の病気や家庭事情などやむを得ない事由がある場合は退職できる - 契約満了時の退職届は不要
求められた場合のみ、退職理由を「契約満了のため」と書いて提出すればよい - 契約途中での退職届は必要
退職理由が会社都合か自己都合かをはっきりさせる
退職届の形式は正社員も契約社員も同じでよい - 退職届の提出デッドラインは退職14日前


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