「お前、明日から会社来なくていいよ。」
ある日、突然クビになったら、あなたはどうしますか。



退職金は会社を長く勤めあげた優良社員がもらえるものだと思っていませんか。クビ、と言われてもよっぽど悪いことをしていなければ退職金はもらえます。
それに、クビだからと言って即会社を追い出されることはありません。もし会社がどうしてもすぐに出て行って欲しいというなら解雇予告手当を従業員に支給しなければなりません。
退職金と、解雇予告手当。この二つのお金をしっかり勉強してもしクビになってもクビ損にはならないようにしましょう。
Contents
退職金をもらえる会社か調べよう

自分がクビになって退職金をもらえるのかどうかであせる前に、そもそも会社に退職金制度がなければ、どんなに円満な退職であっても退職金をもらえないということもあります。
まずは自分の会社に退職金制度があるのかどうか「就業規則」「雇用契約書・求人票」「労使慣行」といった3つの観点から確認してみましょう。
就業規則
退職金の支給は法律で決められているわけではありません。退職金を支払わなかったからと言ってすぐに会社が法律違反になるわけではないのです。
その会社の就業規則のなかに退職金について規定があるかどうかが大切です。会社によっては就業規則ではなく、別に退職金についての規定を定めている場合もありますので、まずは自分の会社に就業規則に退職金の規定があるかどうかを調べましょう。
就業規則はある程度の規模の会社なら社内ネットワークの中にデータがあることが多く、比較的簡単に閲覧することができます。あまりパソコンにさわらない業務だったり操作が苦手だ、という方は総務部や人事部を確認するとよいでしょう。
就業規則の中に退職金についての記載が何もない、退職金規定もないという方は残念ながら退職金がもらえない可能性が非常に高いです。
しかし、次の労使慣行と雇用契約書・求人票を調べれば、まだ退職金をもらえる可能性があります。
雇用契約書・求人票
就業規則に規定がなくても、雇用契約の際に交わした雇用契約書や、ハローワークなどに提出している求人票に退職金「あり」と記載があれば、退職金をもらうことができます。

労使慣行
労使慣行とは、一言で言えば「暗黙のルール」のようなものです。就業規則に規定がなかったとしても、過去に退職した人が退職金をもらっていれば、自分も退職金をもらえる可能性があります。

退職金をもらえるクビか確認しよう

会社の就業規則に「退職金を支給する」と書いてあればまずは第一段階クリアですが、クビになった場合、理由によっては退職金をもらえない可能性があります。
クビ、つまり解雇は普通解雇と懲戒解雇にわけられます。このうち、普通解雇は退職金が出ますが、懲戒解雇は退職金をもらえない場合があるので注意が必要です。
普通解雇
普通解雇とは、労働契約を継続することが困難な場合に使用者が一方的に労働契約を解約することをいいます。わかるような、わからないような難しい法律めいた言葉ですね。
労働契約を継続することが困難な場合とは、具体的には下に書いたようなものがあてはまります。
- 勤務成績が思わしくなく、改善が見られない場合
- 健康上の理由で職場復帰が難しい場合
このような労働者側によるものばかりでなく、会社が業績不振を理由に人員削減する整理解雇というものもあります。整理解雇を普通解雇と分けて分類する考え方もあります。
いずれにしても、これらの理由でクビ(解雇)になった場合は退職金をもらえます。このあと説明する解雇予告手当ももらえますので忘れずに会社に請求しましょう。

懲戒解雇
ちょっと難しい文字ですが「懲戒解雇(ちょうかいかいこ)」と読みます。懲戒とはこらしめるという意味で、懲戒解雇とは労働者が極めて悪質な規律違反や非行を行った場合に使用者が一方的に労働契約を解除することをいいます。公務員の場合は懲戒免職(ちょうかいめんしょく)といい、こちらの言葉をニュースで聞くことがあるかもしれません。
懲戒解雇の対象になるのは下記のような行為があります。
- 長期の無断欠勤
- 学歴や資格などの経歴詐称
- 深刻なハラスメント行為
- 重大な刑法違反
懲戒解雇の場合、悪いことをした罰としての性質があるので、就業規則で退職金について規定する際に「懲戒解雇されたものには支給しない」としていることが多いのです。
しかし、例えば犯罪を犯した場合でも状況によって刑の重さが変わるように、懲戒解雇の理由によっては退職金の減額で済む場合もあります。
実際に、電車内で女子高生に痴漢した鉄道会社の社員が退職金なしで懲戒解雇されたものの、裁判で三割の退職金支給が認められたという判例もあります。(2003年12月11日東京高裁 参考:全基連HP)
退職金についてはこちらの記事もおすすめです。解雇内容や退職金の支給について会社とトラブルになったら弁護士に相談するのも有効な手段です。



クビになっても解雇予告手当で給料を確保しよう

もし会社から「明日から来なくていいよ」なんて言われたら。お給料はどうなるの。明日からどうやって生活していこう。そんな気持ちになってしまいますね。
でも安心してください。解雇は30日前までに予告しなければならない、と労働基準法で定められています。もし、解雇予告が30日に満たない場合はその日数の分賃金を会社が支払わなければならない、とこれまた労働基準法で定められています。
つまり、クビを言い渡されてもだいたい1か月分のお給料は受け取ることができる、というのがこの解雇予告手当なのです。


解雇予告手当とは
大前提として解雇とは、解雇の30日前に従業員に予告しなければなりません。これは労働基準法で決められているので、退職金のように会社によってあったりなかったり、ということはありません。
また、解雇を予告した日から解雇の日が30日より少ない場合はその少ない日数分の賃金を支払えば会社は従業員を解雇することができます。この時に支払われる賃金が解雇予告手当です。
解雇を言い渡されることは非常にショックなことですが、きちんと30日前に解雇が予告されればその間のお給料はもらえますので、転職の準備や気持ちの切り替えに充てることができますね。
また「明日から~」と言われたとしても解雇予告手当を30日分受け取れますのですぐにお金に困る、という事態は避けられます。
解雇予告手当を計算してみよう
解雇予告手当はこのような計算で求めることができます。
平均賃金とは、過去3か月間の賃金の合計をその日数で割ったものになります。
具体的な数字を例にして見てみましょう。
Aさんの過去3か月の賃金 2月…208,000円 3月…213,000円 4月…202,000円
平均賃金1日分=(208,000+213,000円+202,000万円)÷(28日+31日+30日)
=7,000円
解雇予告手当=7,000円×30日(即日解雇のため)
=210,000円
となります。ちなみにこの平均賃金の中に通勤手当や残業手当は含まれますが、結婚祝金や見舞金のように臨時で支払われるものやボーナスは含まれません。
解雇予告手当をもらえないケース①解雇予告除外認定を受けている
解雇予告と解雇予告手当については労働基準法の第20条に書かれています。その後半部分に解雇予告手当てを支給しない条件が書かれています。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
引用:e-Gov(イーガブ)
- 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
- 労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合
上記二つの場合に当てはまり、所轄の労働基準監督署の解雇予告除外認定というものを受けてしまうと解雇予告手当はもらえなくなります。
懲戒解雇の場合、2つ目の条件に合致してしまう可能性があります。もし会社が解雇予告除外認定の申請をして認められてしまったら解雇予告手当はもらえませんので注意が必要です。
逆に懲戒解雇であっても、解雇予告除外認定を受けていなければ解雇予告手当をもらうことができます。
解雇予告手当をもらえないケース②労働基準法第21条に該当する
労働基準法第21条の以下の条件に当てはまる人も解雇予告手当をもらうことができません。決められた短い期間で働く労働者はここに該当することが多いので気を付けましょう。
一 日日雇い入れられる者
二 二箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者
引用:e-Gov(イーガブ)


そもそもあなたはクビなのか

ここまで、クビになった場合の退職金の有無と解雇予告手当についてお話してきましたが、そもそもあなたはクビなのか、クビを受け入れるのか、という問題があります。
会社は神様ではありませんから、「お前はクビだ!」などと一方的に決めていいわけがありません。一昔前と比べたらそんな横暴な会社は減ったかもしれませんが、まだまだ不当解雇に苦しめられる労働者が後を絶たないのも事実です。
もし、自分が解雇を言い渡された理由に納得がいかないなら、それに反抗するというのも労働者として当然の権利ということを忘れないでください。
解雇を受け入れるにしても、解雇の理由次第で再就職のデメリットになることもあるので注意してください。
詳しくはこちらの記事がおすすめです。
まとめ
会社をクビになっても退職金と解雇予告手当をもらうことで当面のお金を工面できます。しかし、会社に退職金の規定がなかったり、あなたがあまりにも悪質な犯罪などを犯してしまった場合はもらえない可能性が高くなります。

解雇は解雇日の30日前までに予告されなければならないと法律で決められている
解雇予告日が30日に足りない場合は足りない日数の分だけ賃金を支払わなければならない=解雇予告手当
解雇予告手当がもらえないケース
①労働基準署から解雇予告除外認定を受けている場合
②労働基準法21条に該当する短期労働者
解雇というのは本来よっぽどのことがなければできないものです。もしあなたが解雇を言い渡されたら、まずその解雇が妥当なものなのか白黒つけることも大切です。




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