――ブラック企業。それは、かつての「終身雇用・年功序列」に象徴される旧い雇用形態が崩壊するなか彗星の如く現れ、以来、現在に至るまで、全国の労働者を恐怖に陥れている存在です。
「ブラック企業」という言葉が広がるにつれ、多くの国民が立ち上がり、違法な長時間労働やサービス残業、ハラスメントを撲滅するために行動を起こしました。にも関わらず、彼らは今もなお、表向きはまともな企業に偽装し、息を潜めて生き永らえているのです。
ここにも一人、憐れ(あわれ)にも、そんなブラック企業の餌食となってしまった男がいました。









こうして、転職マスター木佐貫と須久井 求の「ブラック企業との闘い方」を巡る探求の旅が幕を開けたのでした。――
今回の記事では、ブラック企業に悩む人に向けて、ユニオンとは何ぞやということから、ユニオンの活動やブラック企業とどう闘うのか、といったことを学びます。「ブラック企業ユニオン」は、今、大注目のユニオンです。その活動を見ることで、対ブラック企業の最前線がよくわかります。
この記事は、こんな問題や疑問を抱えた人におすすめです
- 会社の長時間労働やサービス残業、パワハラに悩んでいます。なんとかしたい!
- ユニオンって何?所属するとどんなメリットがあるの?
- 今、ブラック企業ユニオンが熱いらしいけど、どんな団体なの?評判は?
- ブラック企業ユニオンはどんな問題を解決してくれるの?
- ブラック企業ユニオンにお願いすると、会社と戦ってくれるの?
ユニオンの組織について
ユニオンに所属するメリットとデメリット
ブラック企業との闘い方
ブラック企業ユニオンの活動内容と評判

Contents
そもそもユニオンって何?

今回のお話では、「ユニオン」という言葉の意味をぜひ押さえておく必要があります。
ユニオンとは、一言でいうなら「個人が入れる労働組合」のことです。多くのブラック企業では「労働組合」がありません。
労働組合は、労働者同士が団結し、労働者の権利を守るための団体です。ときには、労働者の地位向上や待遇改善を求めて会社と交渉したり、交渉がうまくいかないと、合法的に仕事をしない「ストライキ」を起こすことがあります。
「労働者の権利なんかいちいち認めていたら商売あがったりだ!」ブラック企業はこのように考えるため、社内に労働組合を作ることを認めないのです。

そんな「会社に労働組合がない」人が入れる個人向け労働組合が「ユニオン」です。
労働組合・・・いわゆる「企業別組合」のこと。特定の企業で働く従業員が所属する。
ユニオン・・・「合同労組」ともいう。業種や職種を超えて、個人が所属できる労働組合のこと。
参考:シェアしたくなる法律相談所 「労組」と「ユニオン」の違いって?「労働組合法」を知ってブラック企業から身を守ろう

ユニオンの役割
ユニオンは個人が所属する労働組合です。労働組合は労働者が組織する団体で、その目的は、
労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること

労働者個人では、「組織としての会社」と交渉するにはあまりに不利です。とくに相手がブラック企業なら、たとえ法を犯そうとも逆らった労働者を全力で潰しにかかってくるでしょう。そのため、会社と対等に渡り合うには、労働者同士で団結して要求を突きつける必要があるのです。
会社に労働組合がない労働者同士で団結して、権利を守ること

ユニオンに所属するメリット・デメリット


須久井 求君の疑問はごもっともです。ユニオンに所属すれば、たしかにブラック企業と対等に交渉できるでしょう。ですが、現実的に良いことばかりではありません。ここでは、ユニオンに所属するメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
企業と対等に交渉できる
裁判などの手続きに比べて、柔軟かつ迅速に行動できる
弁護士に依頼する場合に比べ、費用が相対的に少なくて済む
ユニオンに所属する最大のメリットは、企業と対等に交渉できることです。
交渉ができるということは、労働条件や環境の改善が期待できるということ。しかも、ユニオンからの申し出があれば、会社は高確率で交渉の場に出てきます。
ユニオンを含む労働組合による交渉は「団体交渉」と呼ばれ、法律によって正当に保障された行動です。そのため、会社は原則的に、労働組合からの団体交渉の申し出を拒否できないのです。正当な理由なく団体交渉を拒否することは法律で禁じられているからです。


「不当労働行為」そのものにペナルティはありません。しかし、「会社に不当に交渉を拒否された」として、労働組合や組合員が行政機関である労働委員会に「救済申し立て」をすることで、「不当労働行為」を中止するように会社側に命令(「救済命令」)が下される場合があります。
救済命令は、強い効力がある行政命令です。会社側は命令を拒否することができません。
もし従わない場合、禁固もしくは罰金刑が課せられます。また、行政からの命令を無視したとなれば、その会社は社会的信用を著しく失うことになるでしょう。
参考:弁護士法人 咲くやこの花法律事務所HP 不当労働行為とは?具体例は?類型ごとの事例や罰則をわかりやすく解説!
会社がユニオンからの交渉の申し出を拒否し続けたら、最終的には禁固刑や罰金刑になる可能性がある
ユニオンに所属する以外にも、弁護士や労働局に訴えて「裁判」や「あっせん手続き」で問題解決を図る方法もあります。しかし、これらの方法には時間や費用がかかりすぎるというデメリットも。
公的機関による「あっせん手続」は行政が労使の間に立ち、話し合いによる解決を促すものですが、任意であるため、会社側が拒否してしまうと打つ手がありません。
そういう意味では、ユニオンによる団体交渉は費用や迅速さ、強制力の面で理想的な解決方法だといえます。
参考:労働相談カフェ東京HP ☆ユニオン活用のメリットとデメリット☆
デメリット
ユニオンによって当たりはずれが大きい
問題解決方法があくまで当事者同士の交渉なので、合意が形成されず解決されない場合がある
費用がかかる(加入金、組合費、解決金)
会社から報復を受ける可能性がある
ユニオンは日本全国に無数にあります。インターネットで検索してみるとわかりますが、あまりに多くのユニオンが見つかるため、とくにユニオンや労働組合に詳しくない人は、どこが良いユニオンでどこが悪いユニオンなのかさっぱり見当がつかないのではないでしょうか。
事実、ユニオンの質は玉石混交です。なかにはよからぬ噂が立つ団体もあり、ユニオンにコンタクトを取る前の下調べは必要不可欠です。

また、ユニオンと会社による交渉はあくまで話し合いです。そのため、互いに要求を譲らず、合意が形成されないこともあります。交渉が行き詰まってしまい、裁判などの強制力がある方法に移行する可能性があることは頭に入れておいてください。
参考:労働相談カフェ東京HP ☆ユニオン活用のメリットとデメリット☆



通常「加入金」(2,000~3,000円が相場)と毎月の「組合費」(月額賃金総額の1~2%が相場)が必要です。月額賃金20万円の人で年間24,000~48,000円、30万円の人で36,000~72,000円程度の組合費負担になります。〔中略〕不当解雇・労災時の安全配慮義務違反・パワハラなど様々なトラブルに際して、合同労組(ユニオン)が行う団体交渉申し入れや職場闘争等、労働者支援の対価です。別途これら費用が必要になるというのは予め認識していないといけません。そのため交渉の結果、労働者が得た「解決金」の何割かは組合に納めることになります。
※引用:特定社労士「労働者代理人」の視点

ユニオンってなんだか怪しい。悪い噂も聞くし、キケンな政治団体じゃないの?



ユニオンに所属することと、特定の政党や団体を支持することは無関係
結論からいうと、ユニオンに所属したからといって、特定の政党や団体を支持することには繋がりません。
労働組合に加入し、団体交渉により使用者と交渉することは憲法でも認められている権利です。
ただし、なかには特定の政党や団体と強い繋がりのある労働組合もあることは事実です。しかし、当たり前のことですが、個人の政治的信条は自由です。労働組合により、特定の政党や候補者、団体の支持を強制されることはあってはなりません。
こちらは、加入している労働組合より特定の候補者の選挙活動へ強制参加させられている人の相談です。それに対して、弁護士は次のように述べています。
政党支持の自由あるいは,不支持の自由があります。強制参加は意見であり,強要が威圧的であれば民事刑事の法的問題も生じます。
そして,参加拒否を理由に脱退を迫ることも違法です。また,除名をすることは違法かつ無効です。
引用:弁護士ドットコムより
特定の政党や団体と繋がりがあるだけならセーフですが、政治活動を強要してくるようなら完全にアウトです。
先にも労働組合の質は玉石混交であることは述べましたが、興味のあるユニオンは事前にしっかり下調べをして、過去に違法または非常識な行いをしていないか確認するようにしましょう。

ユニオンの活動はときに激しい
たとえ政治活動を強要しないにしても、ユニオンの活動は想像以上に激しいこともあります。
たとえば、団体交渉の席で、組合員が激しい野次や罵声を飛ばしたり、企業が要求に応じない場合、会社の周辺で集会やビラ配りを行うことは少なくありません。なかには、会社の取引先や社長の自宅付近で街宣活動を行うなど、過激な手法をとるユニオンもあるようです。
参考:ユニオン・合同労組Online デイライト法律事務所HP 合同労組・ユニオンとはどのような団体ですか?
これらの活動が、一部の人の目にはかなり特殊に映ることもあるでしょう。ネットでは、労働組合の活動が「左翼」「活動家」「カルト集団」などと揶揄されることがあります。
ユニオンに向けられた攻撃をそのまま鵜呑みにしてはいけませんが、どこまでがまっとうな活動で、どこからがやりすぎなのかは常識に照らし合わせて考えないといけません。

ユニオンの探し方
では、どうすれば「まっとうなユニオン」や「自分の価値感に合ったユニオン」を見つけることができるのでしょうか。最も簡単で、確実な方法はインターネットで検索することです。
ためしに「労働組合 ユニオン」や「(あなたのお住まいの地域) ユニオン」とgoogleで検索してみてください。多くのユニオンのホームページがヒットするはずです。ホームページを確認し、まずはあなたが加入要件を満たしているか確認しましょう。ユニオンによっては、業種や活動地域、雇用形態などで加入要件を定めている場合があります。
そして、ユニオンの活動理念や実績を確認しましょう。さらに、ホームページ以外のニュース記事やサイトで、ユニオンの活動が取り上げられていないかを探すことも大切です。危険なユニオンの多くは、この段階で怪しい噂が見つかると思います。

もしあなたが「加入したい」と思えるような団体が見つかったら、電話やメール、公式サイトの「お問い合わせ」フォームよりコンタクトを取ってみましょう。加入の流れや方法など、詳しく教えてもらえるはずです。
一番良いのは「信頼できる知り合い」が加入しているユニオンに入れてもらうこと
基本はインターネットで探す
ある程度規模が大きく、情報がたくさん見つかるユニオンだと安心
ユニオンの団体名で検索し、“よからぬ噂”がないかしっかりと確認すること
ユニオンvsブラック企業!~ユニオンはどう闘い、何を解決してくれるのか?~
ユニオンがブラック企業と交渉を行う場合、どのような問題が取り扱われるのでしょうか。ブラック企業ユニオンの事例から、具体的な団体交渉の中身をご紹介します。
ブラック企業ユニオンとは

ブラック企業ユニオンは、2014年に発足した「総合サポートユニオン」の下部組織です。
私たちブラック企業ユニオンは、労働者を長時間労働やパワーハラスメントによって使い潰す企業の改善に取り組む団体です。総合サポートユニオン・ブラック企業支部として2017年に発足しました。
もともと「総合サポートユニオン」は「ブラック企業によって若者が使い潰されることのない社会の実現」を目的に結成された団体です。組織が大きくなるにつれ、いくつかの支部ができる過程で、その理想や目的は「ブラック企業ユニオン」に引き継がれました。

ブラック企業ユニオンでは、以下のような相談を受け付けています。
長時間労働
休憩が取れない
残業代を払ってもらえない(サービス残業)
有給を取らせてもらえない
産休や育休が取れない
ハラスメント
不当解雇や退職強要
辞めたくても辞めさせてもらえない

相談の流れとその後の動き
1.まずは電話かメールで相談
ブラック企業ユニオンの対応地域は全国です。事務所は東京にあるため、遠方の人はまず、電話かメールで相談することになるでしょう。
TEL:03-6804-7650
平日17~21時/土日祝13~17時 水曜定休日
E-mail:soudan@bku.jp

また、電話やメールでは対応が難しい込み入った事情に関しては、来所による相談も受け付けています。
〒155-0031 東京都世田谷区17 世田谷区北沢4-17-15 ローゼンハイム下北沢201号室

ユニオンに相談しただけでは“加入”したことにはならないのでご安心ください。
2.解決方法の提示
ブラック企業ユニオンでは、相談者の状況や意向を参考に、以下の解決方法を提示します。
- ユニオンによる団体交渉
- 労働基準監督署への通報
- 労働問題が得意な弁護士の紹介
「やっぱり問題を大きくしたくない」「しばらく様子を見たい」という人は、組合員と話をして解決策を提示された段階で、相談を終了することもできます。

3.交渉開始
さて、いよいよ会社との交渉です。基本的には団体交渉による会社との協議がメインです。労働組合法の規定により、会社は話し合いに誠実に応じる義務があります。様々な証拠や資料を基に、会社側に要求を突きつけます。

こちらはブラック企業ユニオンではない別の労働組合ですが、団体交渉の様子を収めた動画があったのでご紹介します。組合結成の宣言から、要求の突きつけ、議論の様子、ときには会場が紛糾する様子もあり、団体交渉がどんなものかがよくわかると思います。


4.もし企業が団体交渉に応じなかったら・・・?
この記事でも何度か説明したように、企業が団体交渉に応じないことは違法です。
ですが、なかには、会社側が言い訳を用意したり、助っ人を雇ったりするために、“時間稼ぎ”としてなかなか応じないことがあります。そんな場合、ユニオンは行政の処分を待つまで手も足も出せないのでしょうか?
じつは、そうではありません。団体交渉の申し入れが難航する場合でも、ユニオンが取るべき行動はたくさんあります。以下は、ブラック企業ユニオンが実際に行っている行動の一例です。
- ブログ、SNS等での情報発信……
職場の問題点や交渉の経過をブログやTwitter、Facebookで随時報告。会社の問題を広く知ってもらうきっかけになる。 - チラシの配布……
会社の周辺や街頭でチラシを配り、近隣住民(場合によっては会社関係者)に問題を知ってもらう。 - 労働基準監督署への通報
- マスメディアの活用……
記者会見を行ってテレビや新聞に取り上げてもらう。マスメディアによって問題が社会的に認知されることで、企業への圧力になる。
このように、ユニオンは団体交渉が進まない場面でも、情報発信により企業の実態を広めたり、行政に違法労働を通報したりして、会社への圧力を強めます。
問題への注目度が高まるにつれて、会社側は早急な対応の必要性に迫られることでしょう。対応が後手後手では、信用をますます失いかねないからです。

加入の方法と気になる組合費
ブラック企業ユニオンへの加入の詳細は、問い合わせページから問い合わせて確認してください。
★問い合わせページ:ブラック企業ユニオン ご加入のご案内
また、組合費については、本部団体の「総合サポートユニオン」のホームページに記載があります。
加入金:1,000円
組合費:月額1,000円/学生300円
ユニオンに対応してもらうには、組合に加入する必要があります。ユニオン(労働組合)は、加入者の権利を守る団体だからです。

ブラック企業ユニオン、その闘いの軌跡~団体交渉の事例~


事例1:スマートフォンゲーム制作会社による残業代未払いの事例

スマートフォンゲームの製作会社に勤務する相談者の女性は、月70時間~100時間もの長時間労働を強要されていた。過重労働のストレスから適応障害を発症し、不眠や頭痛などの症状に悩まされるように。
ブラック企業ユニオンは、裁量労働制が彼女に違法に適用されていたことを突き止め、交渉の結果、未払い残業代を支払わせることに成功する。
参考:ブラック企業ユニオンHP
事例2:老築化した施設で従業員を働かせていたクリーニング店の事例

天井のコンクリート片が落ちてくるほど老築化した建物で従業員を働かせていたクリーニング店。
ブラック企業ユニオンは、店側が安全配慮義務を怠っているとして、施設の修繕を求めて交渉。「お金がかかるから」と修繕を拒否されたため、ユニオン側は建物の現状を保健所へ通報する。
すると、ほどなくして保健所の抜き打ち検査があった。その結果、建物の修繕・改修が保健所の責任で行われることに。
事例3:長時間労働や残業代不払いが常態化していた酒造会社の事例
この酒造会社では、長時間労働と残業代不払いが常態化していた。それに加え、安全衛生上の問題もあり、従業員が機械の清掃の際、右手指を切断するという事故も起こしている。
団体交渉の結果、会社側は労働災害の損害補償と未払い残業代の支払い、長時間労働、安全衛生上の問題の改善を約束した。
このように、ブラック企業ユニオンは、企業との団体交渉で、長時間労働や安全衛生の改善、未払い賃金の支払い、労働災害の補償など、労働者が不利益を被る問題を解決してきました。

参考:
ブラック企業ユニオン 公式ブログ
ブラック企業ユニオン 公式Twitter
ユニオンに所属して闘ったら、会社に仕返しされないの?


結論からいうと、ブラック企業からの報復は十分に考えられます。
ユニオンに所属し労働問題の解決を交渉することは私たちの権利です。ですが、まっとうな商売をしていないブラック企業の中には、労働者の権利を守ると利益が減るとして強い反発をする企業もあるでしょう。
労働組合に所属していることにより従業員に解雇を迫ったり、賃金を減らしたりすることは「不当労働行為」に当たり違法です。
ですが、ブラック企業の中には、違法行為になることを知ってか知らずか、組合員に対して様々な嫌がらせや差別をする企業があるのも事実です。もちろん、ユニオンはそのような会社の違法な行為から、組合員を全力で守ってくれます。
ですが、ブラック企業と交渉するということは、会社との闘いの矢面に立つことを意味します。
一時的であるにせよ、会社からの報復や嫌がらせで「嫌な思いをする」リスクをはらんでいることは覚悟しておくべきです。

以下では、ブラック企業ユニオンが報告している「企業による報復」の事例をご紹介します。
報復事例1:ヤマト運輸の事例
これは、長時間労働や休憩時間が取れない問題などについて、労働環境改善を要求してヤマト運輸と団体交渉をする中で発生した報復事例です。
しかし、その過程で、この度、昨年の夏から団体交渉を継続してきました組合員に対し、会社は、最低ランクの報復的人事評価をしてきました。
それについて、なぜそのような評価にしたのかを、今週の団体交渉で、会社人事担当者や直属の上司に問いただしましたが、回答は二転三転しその評価基準も明確に答えられませんでした。
例えば、最初に上司は、「1ルートしか回れていないから」ということを評価理由に挙げていましたが、実際には、評価期間においては、Aさんは2ルートを回っており、事実が異なるということを指摘するとしどろもどろになるといったやり取りがありました。
人事評価によって、賃金も下がるなど、Aさんは不利益を受けますが、会社はその評価の根拠も答えられないという、ずさんな対応をしており、そのような対応について、私たちは許すことができません。
私たちは、今後も、継続して、違法状況の改善や、報復行為の撤回等を求めて戦っていきます!
大手運送会社ヤマト運輸は、組合員である従業員Aさんに対し、報復人事を仕掛けてきました。Aさんの評価に対する根拠を明確に答えられないのは、まさに団体交渉の「仕返し」である証拠です。
報復事例2:ジャパンビバレッジ社の事例
また、サントリーグループのジャパンビバレッジ社は、慢性的な長時間労働や残業代未払いを労働基準監督署に通報した組合員に対して、不利益な取り扱いをしていることが判明しています。
(1)ライングループから外す
これまでAさんは、彼の勤務する足立支店のライングループに入っていました。ところが、会社はこのライングループを廃止し、Aさんだけを排除した新たなライングループをつくりました。これはAさんを支店内の従業員のコミュニケーションから排除し、孤立させるための措置だと思われます。
(2)一人での仕事に変更する
これまでAさんは、同僚2人と一緒に同じルートを担当していました。ところが、労基署からの是正勧告の後しばらくして、会社はAさんを一人で仕事を担当するルートに変更しました。これは、同僚との接触を減らして、Aさんを孤立させようとするものです。
(3)新人歓迎会に呼ばない
毎年Aさんの勤める支店では、新人歓迎会を実施しており、Aさんもそれに参加していました。ところが、会社は、今年5月に開催された二度の新人歓迎会に、Aさんだけを誘いませんでした。これはAさんを同僚や新人と接触させないための措置と思われます。
(4)懲戒手続きにかける(解雇しようとしている)
さらに、ジャパンビバレッジ社は、労基署に申告した組合員Aさんを懲戒解雇にしようとしています。懲戒理由は、賞味期限切れ等で余った商品を自家用車の中に入れたことです。これは、同社では従業員が日常的に行っていることでした。余った商品を上司に報告すると「自腹で買い取れ」などと言われるためです。組合の調査では、複数の支店から「先輩からこうした方法を教わった」「上司もこのことを把握していた」等の証言を得ています。

企業側がこのような報復行為に走るのは、ユニオンに付け入る隙を与え、企業の立場を悪くするだけです。まさに「自分で自分の首を絞める」行為を行っているわけです。
これら企業の報復に対して、ユニオン側は団体交渉で「報復行為を問いただす」「国の機関である労働委員会に申し立てて当該(とうがい)行為をやめさせる」「報復行為をやめさせるための署名を集める」などの行動を起こしています。

ブラック企業ユニオンはなぜ評判が良いのか?

数あるユニオンのなかでも、ブラック企業ユニオンは数々のブラック企業との闘いをメディアに向けて公表しており「信頼のおけるユニオン」の地位を不動のものにしています。ネットを中心に応援の声が絶えないブラック企業ユニオンですが、なぜそこまで評判が高いのでしょうか。
ここでは、ブラック企業ユニオンの人気の秘密に迫ります。
ネットで見つけた!数々の「ブラック企業ユニオンを応援する声」
ユニオンの活動の一つに「ストライキ」があります。
労働者によって結成された労働組合が、会社の雇用者に対する交渉を行う際に、圧力をかけて交渉を有利に進めることです。例えば、労働者が一斉に業務を禁止するのはストライキに当たります。
引用:カオナビ 人事用語集 労働者の権利ストライキとは? 日本におけるストライキと、起こさないためのポイントとは
日本では、例えば、労働者の祭典「メーデー」にあたる5月1日に、全国で展開される労働組合のストライキが有名です。労働者がストライキとして業務を放棄すると、企業ばかりか消費者もその商品やサービスが買えず、困ったことになってしまいます。
ですが、ブラック企業ユニオンのストライキは、そんな消費者である一般市民の応援も凄まじいものです。2018年のゴールデンウィーク、ジャパンビバレッジ社に対して行われた「東京駅自動販売機ストライキ」は、同社に所属する自動販売機補充の従業員の待遇改善を求めて行われました。
「大型連休中に東京駅に設置されている自販機に飲み物が補充されない」という不便な事態が発生したにもかかわらず、ネットの声はユニオンを応援するものでした。
ブラック企業ユニオンがんばれー!
ご不便ご迷惑大歓迎!
「未払い残業代の支払いや長時間労働の是正、組合員への不当な懲戒処分」こういうことが許されない世の中にしていく事は、悪徳経営者以外のすべての国民(被雇用者や良心的経営者やその家族)の恩恵となります! https://t.co/QXbiD7xJLH— chinmi (@kaisenchinmi) May 4, 2018
ご不便をかけてます
とおっしゃる必要はないと思います。
ご不便をかけているのは、経営者の責任。ユニオンの責任じゃない。
ユニオン頑張れ。でも、無理をせず。闘争資金が気になりますが、大丈夫でしょうか?
今回の闘いは、全国労働者代表。胸を張ってやってもらって! https://t.co/mdTcjwgb9Z— Toshihiro Sakakima (@TSakakima) May 3, 2018
サントリーグループの、ジャパンビバレッジ。
ストライキ応援。自販機売り切れOK。違法な働かせ方ではサービスがまわらないのが当たり前の世が希望です。 https://t.co/0ARtEWS8yA— サニー@肉球新党 (@nyaanmiii) May 4, 2018
ご紹介したリツイートは、寄せられたもののほんの一部にすぎません。
このストライキでは、SNS上で大きな反響があり、関係者のツイートはなんと6万回もリツイートされたといいます。東京駅の自動販売機が使えない不便がありながらも、多数の人がストライキを応援している様子がわかりますね。
参考:YAHOO!JAPANニュース GW10連休中に各所でストライキか!? 自販機や港で相次ぐ背景とは
このストライキの結果、労働組合に所属する従業員への不当な懲戒解雇予告は取り下げられ、東京駅支店への人員補充により、一時間の休憩取得と定時上がりが実現されたそうです。

ブラック企業ユニオンによる最新のストライキの模様が動画でアップされていましたので、参考にどうぞ↓
動画:2019年4月29日 ジャパンビバレッジ&大蔵屋商事2社統一ストライキの模様
「ブラック企業と闘う」という明確なスタンスと“イメージ戦略”
ブラック企業ユニオンは、団体名からもわかる通り、「ブラック企業」との交渉を専門にしたユニオンです。
ブラック企業といえば、ニュースで頻繁に労働問題が取り上げられたり、毎年「ブラック企業大賞」にネットが湧き立つなど、今では「日本国民の敵」といっても過言ではないくらい“悪の象徴”として認知されています。
そんな悪者と明確に闘う意志を表明するブラック企業ユニオンは、見る人が見れば「弱きを助け強きをくじく」“正義の味方”に感じられてもなんら不思議ではありません。
このように、「ブラック企業=悪」「ブラック企業ユニオン=正義」という構図を仕立て上げる“イメージ戦略”の上手さが、ブラック企業ユニオンが多くの人から支持される理由の一つです。

世論を味方につける!卓越した情報戦略
ブラック企業ユニオンの特徴の一つに「ブログやSNSを活用して広報や活動報告などの情報開示を積極的に行う」というものがあります。
例えば、先ほどの「ジャパンビバレッジ社」との団体交渉の例ですと、
ブログでの情報開示の例(ブログ記事のタイトルから)
「【7月27日、28日】 自販機ベンダー業界で働く人のための労働相談ホットラインを開催します。」(2018年7月20日)
「ジャパンビバレッジ東北が組合員に未払い賃金を一部支払い 労働組合へは引き続き不誠実な態度」(2018年9月27日)
「リクナビなど大手民間求人サイト三社にジャパンビバレッジ東京の求人の掲載停止を要請しました!」(2018年10月4日)
など、ブログの記事内で活動の詳細を報告しています。また、SNSでは、主にTwitterを活用して、
SNSの情報開示の例
■活動報告
東京駅前でストライキの宣伝をしました!#頑張れ自販機ユニオン pic.twitter.com/R26fquKRuO
— 自販機産業ユニオン (@vendor_union) April 28, 2019
■活動がラジオで取り上げられるという報告
執行委員・青木が出演。本日の自販機統一ストライキが取り上げられます。
【告知】働き方改革が叫ばれる今こそ知りたい!イチからわかる労働組合入門▼伊藤圭一×西口想×青木耕太郎×荻上チキ▼2019年4月29日(月)放送(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」平日22時~) https://t.co/ExY3DUGthi
— 自販機産業ユニオン (@vendor_union) April 29, 2019
■活動がニュースに取り上げられたという報告
自販機ユニオンは4月24日、自販機のジュース補充などを行う「大蔵屋商事」(埼玉県川口市)が労働基準監督署からの是正勧告を受けていたことを明かした。
固定残業「96時間」をさらに超える違法残業 自販機ベンダーに是正勧告|弁護士ドットコムニュース https://t.co/X8jcJ7lSjg
— ブラック企業ユニオン (@blackkigyounion) April 24, 2019
■こちらはジャパンビバレッジ社の件ではないが、活動内容のレポート報告
【クリーニング会社カワムラ】カワムラでは施設・設備の老朽化が問題になっています。創業60年を超える会社だけに工場の屋根は穴が空いて雨漏り、コンクリート片や鉄片も頭上から落ちてきます。修理を求めても「その内に」「お金がかかることなので」と全く埒があきません。https://t.co/MPS2EprdwZ
— ブラック企業ユニオン (@blackkigyounion) April 14, 2019
このように、団体交渉している企業それぞれについて、ブログやSNSで詳細な現状の報告を行っているため、我々組合員以外の人にも、ユニオンが普段どんな活動をしているかがわかるようになっています。
また、さらに広く問題を知ってもらうため、積極的なメディア露出も行っています。
■都内で記者会見を開き、団体交渉中である建築設計事務所に労働基準監督署から是正勧告が出されてことを報告する
リンク:ニコニコニュース
■都内で記者会見を開き「賃貸住宅建設大手の大東建託が男性社員に違法な長時間労働をさせたとして、労働基準監督署から是正勧告を受けた」ことを報告する
リンク:朝日新聞DIGITAL
■アニメ制作会社「マッドハウス」の制作進行が「未払い残業代の請求と長時間労働の改善、スタッフによるパワハラの謝罪等を求め 」ブラック企業ユニオンに加入したとして、組合員が取材を受ける
リンク:文春オンライン

これだけブラック企業という言葉が浸透した社会です。長時間労働やハラスメントに悩まされている人はきっとたくさんいるはず。そんな「自分」や「近しい人を苦しめる」ブラック企業と、大々的に闘っている組織があれば、ぜひとも応援したくなるのが人情ではないでしょうか。
人には、一度でもツライ経験をすると、同じ苦境に立たされている人を「他人事」にしておけない心理が働きます。
ブラック企業ユニオンは、積極的に情報を開示し、ブラック企業とそこで過酷な労働を強いられている人の問題を周知することで、人々の「共感」と「自分事化(他人事として放っておけない心理)」を呼び、厚い支持を獲得しているのではないでしょうか。
「開かれている」から信頼できる
ブラック企業ユニオンは、自ら積極的に情報開示を行う“オープンな”ユニオンです。ブラック企業と闘う戦略の要は、徹底的な「ユニオン=正義」「ブラック企業=悪」というイメージ戦略で、世論を味方につけること。
もしブラック企業ユニオン側に後ろめたい問題があるなら、この構図が成り立たず、たちまち世間の支持を失ってしまうでしょう。
敵対するブラック企業側もそれがわかっているから、あの手この手でブラック企業ユニオンのイメージを落とそうと「荒さがし」していてもおかしくないはずです。にも関わらず、ブラック企業ユニオンのクリーンなイメージを汚すような情報は今のところほぼありません。
つまり、ブラック企業ユニオンはイメージを大切にするがために「叩かれるようなスキャンダルは死んでも起こせない」のです。むしろ積極的に情報を発信し、透明性を担保する。
「私たちには叩かれるようなところはないから、情報をどんどん開示しますよ。あなたたち企業もやましいところがないなら、コソコソ隠し事なんてしないで、一般市民に向けて情報を出したらどうです?」というのがブラック企業ユニオンの基本スタンスです。
応援する人が多く評判が高いのには、以上のような理由があるからではないでしょうか。


ブラック企業ユニオンは、アルバイトの人でも参加できる?






最後に、「総合サポートユニオン」の「ブラック企業ユニオン」以外の支部を紹介します。あなたが所属する業界や、要求したい事柄で相談すべきユニオンが違ってくるので、当てはまるものを選びましょう。
労災ユニオン(労災支部)
労災申請やキケンな職場環境の改善のために会社と交渉するユニオン
私学教員ユニオン(私学教員支部)
長時間労働や残業代不払いが問題となっている私立学校の教員が加盟できるユニオン
介護・保育ユニオン(介護・保育支部)
介護や保育、障がい者福祉業界で働く人のためのユニオン
エステ・ユニオン(エステ支部)
長時間労働や有休取得ができない、産休・育休が取れないなどの問題が多いエステ業界で働く人が加盟できるユニオン
仙台けやきユニオン(仙台支部)
仙台・宮城地域のブラック労働問題に対応するユニオン。
ブラックバイトユニオン(ブラックバイト支部)
アルバイトに正社員並みの働かせ方や責任を課したり、シフトを一方的に決めたりするなど、本業である学業に支障をきたすほど過酷な労働を強いているブラック企業でアルバイトしている人が加盟するユニオン。
個別指導塾ユニオン(個別指導塾支部)
個別指導塾の労働環境改善に取り組むユニオン。学生アルバイトの塾講師も加入できる。
※なお、学生アルバイト以外の非正規雇用の人は、総合サポートユニオンやブラック企業ユニオンに相談してください。
まとめ
ブラック企業に勤めていて、過酷な労働環境を改善したい、と思っているなら、ユニオンに加入すべきです。
ユニオンは「長時間労働を改善したい」「残業代を支払ってほしい」「ハラスメントをやめさせてほしい」など、あなたの要求を会社側に突きつけ、交渉してくれます。
ユニオンは全国に無数にありますが、まずはネットで検索して探してみることをおススメします。その際、十分にユニオンの評判を調べて、入る前に問題のないユニオンかどうかを確認しておきましょう。


ユニオンに所属して闘うことは、大変勇気のいることです。ですが、一度所属したら、ユニオンは全力であなたのことを守ってくれるでしょう。自分自身のために、一緒に働く仲間のために、第一歩を踏み出そうとしているあなたを、私は応援しています。


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