2015年の電通社員過労死自殺をはじめ、近年多くの過労死自殺のニュースを目にします。
これから労働者になる若者は不安や恐怖を感じているのではないでしょうか。
「もしブラック企業に入社してしまったらどうしよう」
「働くのが怖い」
「でもブラック企業って言われても見分けなんてつかない」
こんな風に考えたことのある人は多いのではないでしょうか。
誰だって劣悪な環境で働きたくないし、好んでそんな会社に入りたいとは思いません。できることなら楽しく、心と体の健康を保ったまま働きたいと思うでしょう。
「ブラック企業」という言葉だけを知っていても意味がありません。何の知識もないまま適当に会社を選んでしまうと、後で取り返しのつかないことになりかねません。
そうなる前に、「ブラック企業」とは何なのか、「ブラック企業」の恐ろしさとは何なのかをしっかり理解しましょう。そうすれば明るい未来が待っています。
Contents
ブラック企業とは

近年「ブラック企業」という言葉をよく耳にするようになりました。でも、そもそも「ブラック企業」の定義って何だろうって思いませんか。
- サービス残業が当たり前
- 休みが取れない
- 考えられない量のノルマを課す
- パワハラ、セクハラ
- 仕事量に見合わないお給料
どうでしょうか、みんながイメージするブラック企業は大体こんな感じかなと思います。
ブラック企業の定義
ここで、コトバンクにあった「ブラック企業とはどんな企業か」をご紹介します。
労働者を酷使・選別し、使い捨てにする企業。
引用:コトバンク
第一声から結構衝撃的な言葉が並んでいます。「酷使」「選別」「使い捨て」って明らかにブラック要素ですよね。
続けてこんなことも書いてありました。
度を超えた長時間労働やノルマを課し、耐え抜いた者だけを引き上げ、落伍(らくご)者に対しては、業務とは無関係な研修やパワハラ、セクハラなどで肉体・精神を追い詰め、戦略的に「自主退職」へと追い込む。
引用:コトバンク
皆さんがイメージする「ブラック企業」とほぼ同じじゃないですか。「長時間労働」「ノルマ」「パワハラ・セクハラ」は、やはり「ブラック企業」の典型ですね。ただ、「自主退職へと追い込む」というのは思いつきませんでした。皆さんはどうですか。
私は少し違和感を覚えました。ただでさえ、人手不足が問題になっている現在、社員が退職していったら会社は成り立つのでしょうか。度を越えた長時間労働やノルマに耐えられる人ってごくわずかでしょって思うんですけど、どうですか。精神・肉体を追い詰められてまで会社に残る人ってどれだけいるのだろうって思いませんか。
また、厚生労働省も「ブラック企業」の特徴をこう記しています。
「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
引用:厚生労働省
このように「ブラック企業」の定義は明確ではありません。しかし、社員の心と体を蝕んでいくような労働環境を強いている会社は明らかに「ブラック」です。
逆に言うと、明確な定義がないから「ブラック企業」がなくならないし、「ブラック企業」の被害者もゼロにはならないのかもしれません。
ブラック企業大賞

今年で8回目を迎える「ブラック企業大賞」。
「ブラック企業大賞」とは
パワハラ、セクハラ、残業代未払い、長時間労働、派遣差別、偽装請負・・・。日本の労働環境はいまますます悪化の一途をたどっています。それらの職場はここ数年で「ブラック企業」と称され、社会的にも注目されつつあります。しかし個別事例の調査やその問題の発信・解決も簡単ではなく、ブラック企業で働く当事者は、不当な処遇を受けていても声をあげられる状況ではありません。さらにはブラック企業を生み出す社会・経済的な構造についての分析や提言についても不十分であるため、きわだったブラック企業の存在は一時的に取り上げられても、企業全体・働く場全体の質の向上にはなかなか結びついていません。
ブラック企業には幅広い定義と解釈がありますが、「ブラック企業大賞」では次のようにブラック企業を定義し、その上でいくつかの観点から具体的な企業をノミネートしていきます。
ブラック企業とは・・・・①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)。
引用:ブラック企業大賞
簡単に言うと、「ブラック企業大賞」とは、世の中に隠れている「ブラック企業」の実態を多くの人に知ってもらい、社会全体で労働環境の向上を図ろうという目的で作られたものです。
2018年ノミネート企業をチェック
株式会社ジャパンビジネスラボ
正社員の女性は、2014年、育休明けに保育園が見つからず規定上の休職を申し出たが拒否された。同社には「希望する場合は正社員への契約変更が前提」と記載された育休明け社員向け契約社員転換制度があり、このままでは自己都合退職になると言われた女性は、「正社員に戻れるなら」と、週3回、1年雇用の契約社員として職場復帰した。 復帰後、保育園が見つかり、正社員に戻りたいと求めたが、会社は拒否し、1年後の2015年、「期間満了」を理由に社員を雇い止めした。なお、社員は面談の中で上司から「俺は彼女が妊娠したら、俺の稼ぎだけで食わせるくらいのつもりで妊娠させている」と発言されるなどした。
引用:ブラック企業大賞
株式会社ジャパンビバレッジ東京
2017 年末に足立労働基準監督署により「事業場外みなし労働時間制度」の違法適用を指導され、違法な長時間残業があったとして是正勧告を受けた。この労働者の残業時間は月100 時間を超えていたという。
しかし、同社はこの制度を違法適用したことで、1日10 時間を超える自動販売機の補充などの労働に対して、7時間45 分の給与しか支払っていなかった。
また、ある支店の支店長がクイズを出し、正解者にのみ有給休暇の取得を認める「有給チャンス」とよばれるパワハラの存在も明らかとなり、メディを賑わせた。言うまでもないが、有給休暇の取得は労働者の権利であるので、「クイズに正解すること」をその取得条件とすることは法律違反である。
引用:ブラック企業大賞
株式会社日立製作所・株式会社日立プラントサービス
新卒入社した20 代の労働者が、日立プラントサービスに在籍出向中、精神疾患によって労災認定された。この労働者は富山県の工事現場で設計・施工管理監督をしていたが、月100 時間を超える長時間残業が頻発し、最大で月160 時間を超えていた。
さらに、所長から「いらない」「着工まで不要」「めざわりだから帰れ」「仕事辞めてしまえ」などの暴言を受け続け、労働時間を勤怠記録に記入する際には「考えてからつけるように」と言われ、労働時間の過少申告に追い詰められた。さらには座っていた椅子を蹴られており、これらの長時間労働やパワハラによって精神疾患を発症した。
引用:ブラック企業大賞
株式会社モンテローザ
「わらわら九大学研都市駅店」の店長(当時53 歳)が開店準備中に倒れ、致死性不整脈で亡くなった。遺族の労災申請を受けて福岡中央労働基準監督署が調査したところ、男性が亡くなるまでの3カ月間の時間外労働が過労死ラインとされる月80 時間におおむね達していると確認されたことなどから、今年8 月7 日、労災と認定された。
引用:ブラック企業大賞
ゴンチャロフ製菓株式会社
チョコレート製造などに携わっていた男性は、廃棄品は牧場に回されることから、ミスをすると「牛のえさ、作りに来とんか」と責められ、辞意を申し出ると「お前の出身高校からはもう採用しない」と叱られるなど、上司からパワハラを受けていたという。
引用:ブラック企業大賞
財務省
財務省の事務方のトップである事務次官が、テレビ朝日の女性記者に対して、取材中に性的な言動を繰り返していたことが報道された。
引用:ブラック企業大賞
スルガ銀行株式会社
破産手続開始が決定し破綻した不動産会社「スマートデイズ」の勧誘のもと同社のシェアハウスに投資していた一般投資家らに不正な融資をしていたことが判明
行員たちに過大なノルマを押し付ける一方、達成できない人に対しては凄絶なパワーハラスメントを行っていたことが発覚した。
上記報告書によれば、第三者委ではスルガ銀行の全行員を対象にアンケート調査を実施。その結果、「首を捕まれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴った」「数字ができないなら、ビルから飛び降りろといわれた」、「ゴミ箱を蹴り上げたり、空のカフェ飲料のカップを投げつけられた」「死んでも頑張りますに対し、それなら死んでみろと叱責された」「ものを投げつけられ、パソコンにパンチされ、お前の家族皆殺しにしてやるといわれた」…などの回答が多数寄せられた
引用:ブラック企業大賞
野村不動産株式会社
「裁量労働制」が違法適用されていた2016 年9月、50 代の男性社員が過労自殺していたことが今年3 月発覚した。
同社では2005 年、会社の中枢で経営企画の立案や情報分析などを行う社員が対象の「企画業務型裁量労働制」を約600 人の社員に適用した。だが実際には、マンションの営業担当など本来は適用の対象とはならない業務の担当者がここに多数含まれており、亡くなった社員もこれを適用された結果、一ヶ月の残業時間が180 時間を超えることもある長時間労働を強いられていた。
引用:ブラック企業大賞
三菱電機株式会社
男性社員5人が長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症して2014~17年に相次いで労災認定されていたことが発覚した。5人はシステム開発の技術者か研究職で、そのうち2人は過労自死しており、3人には裁量労働制が適用されていた。裁量労働制が適用された3名の中には過労自死した社員も含まれていたという。
引用:ブラック企業大賞
「長時間労働」「パワハラ・セクハラ」のオンパレード。呆れます。どの企業もおかしいです。
感情論に走ったら冷静を失うので、感情的にはなりたくないですけど、感情的になってしまいます。
「社員を何だと思っているんだ」「社員は会社の道具でしかないのか」「社員の声は届かないのか」「いじめまがいなことをして恥ずかしくないのか」と叫びたくなるのを我慢できません。
どんなに魅力的な企業理念を掲げていても、働いている人たちを大切にできないならその企業はもう終わりです。働いている人がいるから企業理念を実現できるのです。それを忘れたらもう「ブラック企業」とほとんど一緒です。
どんな業種に多いのか
少し冷静になって、どんな業種に「ブラック企業」が多いのか見ていきましょう。
過去のブラック企業大賞ノミネート企業を遡ってまとめてみました。
- 飲食
- 小売業
- 電機メーカー
- 製造業
- 運輸業
参考:ブラック企業大賞
これらの業種の企業は「残業」「長時間労働」「パワハラ」「残業代未払い」といった理由でノミネートされていました。
「飲食」「小売業」はなんとなくイメージがありますよね。飲食店は土日休みがなかったり、深夜まで営業していたりします。小売業、特にスーパーやコンビニエンスストアは年中無休で24時間営業の店舗もあります。
最近では、飲食店のアルバイトが不適切動画を公開するというニュースがありました。また、コンビニエンスストアの365日24時間営業も問題視されました。ブラック企業かどうかにかかわらず、マイナスなイメージがついています。
そんな業界で働きたいと思いますか。やっぱり避けたくなりますよね。そしてみんなが避けるようになると、更に人手不足に陥ります。そしたら今働いている従業員は長時間労働や残業を強いられる。精神的・肉体的に追い込まれ、うつ病や精神疾患、その他病気を患う。最悪の場合、死に追いやられる。
悪循環以外の何物でもありません。
しかし、現在の日本ではこの悪循環が現実のものになっています。
ブラック企業を見つけるときの注目ポイント


うん。でも一つ疑問があるの。
「ブラック企業大賞」にノミネートされた会社は注意できるけど、それ以外の会社が100%ブラックではないとは言い切れないよね。

確かに。入社してみないと分からないことってあるもんね。
そうだな、この記事はどうかな。
ブラック企業かどうかを入社前に見分けるときのポイントが分かりやすくまとめてあるよ。是非チェックしてみて。
ユカリが抱いた疑問はみんなが抱く不安ポイントですよね。いくらインターンシップに行っても、社員の話を聞いても、会社訪問に行っても本当の姿ってなかなか見えづらいですよね。「その時だけいい顔をしているかもしれない」「入社してほしいから優しくしているだけなのでは」と思った経験はありませんか。
誰だって「当社はブラック企業です」「残業は当たり前です」「有休は取りにくいです」なんて言いません。当たり前です。かといっていい所ばかりをアピールする会社も少し疑ってしまいます。
そんな時は一旦冷静になりましょう。離職率や有給取得率などの数字に加えて、社員の表情、社員同士のやりとり、就活生への対応の丁寧さを見てください。
数字には表れない、その会社が本当に持っている雰囲気や考え方が見えてきます。
ブラック企業で働いている人・働いたことのある人の声
実際にブラック企業で働いている人、働いたことのある人の声から「ブラック企業」とは一体どういう企業なのかを見ていきましょう。
完全体育会系の会社で、セクハラ・パワハラは当たり前、テレアポ中にも常に上司の罵声が飛び交っています。
毎月45時間のみなし残業は強制で、これとは別に研修という名目で早朝残業【手当てなし】もあります。
基本は日・祝は休みですが、土曜日はヒカリカレンダーによります。
しかし休日出勤【手当てなし】を強要させられます。
引用:Yahoo!知恵袋
- 長時間労働が当たり前になっている
- 仕事に見合わない低賃金である
- 有給休暇が取得できない
- 賃金不払い残業が当たり前になっている
- 上司・上層部のコンプライアンス意識が低い
参考:日本労働組合総連合会
このように、私たちのブラック企業に対する認識は間違っていません。
「残業当たり前かつ無給」「パワハラ・セクハラ」「働いた分のお給料がもらえない」「長時間労働」「上司や上層部の好き放題」というのがブラック企業なのでしょう。
ブラック企業でも働いている人がいるのはなぜ

ブラック企業で働きたい人なんていません。でも、ブラック企業大賞にノミネートされた企業は倒産していますか。今も多くの従業員を抱えて事業を継続しています。

なんで、ブラック企業って分かっているのに会社に残るの?
私だったら絶対辞めるけどなー。

それがブラック企業の怖い所なんだよ。

どういうこと?

今から説明するね。
ブラック企業の被害者になった人は、想像以上に精神を追いやられています。考えてみてください。サラリーマンやOLにとって会社というのは一日の大半を過ごす場所です。そこで長時間労働や残業、パワハラ・セクハラを強いられていたらどうなりますか。
単純計算で、最低でも8時間×5日(平日)=40時間は劣悪な労働環境に身を置かなければいけません。辛いを通り越して無気力になりますよね。「辞める」ことを考えること自体無理なんです。辞めるための手続き、辞めた後の生活を考えることは更に自分で自分を追い込むことになってしまいます。

すでに大きな大きな石が体に乗っているのに、その上にもう一つ大きな石が乗っかるんだよ。
一人で耐えられる?

ううん、無理だよ。潰れちゃうよ。
でも誰かに相談すればいいんじゃない?

相談か。確かにそれも一つの手だよね。
でも、誰に相談する?

えっと、親とか友達とか同期、上司、、、は無理か。
勤務先がブラック企業だと感じている808名に、そのことを誰か・どこかに相談したことがあるか聞いたとこ
ろ、「家族」34.2%と「友人」31.6%が3割台となり、身近な人に相談している人が多いことがわかりました。
一方、「相談したことはない」は 46.8%となり、勤務先がブラック企業だと感じつつも誰にも相談していない人が半
数近くいることが明らかになりました。
引用:日本労働組合総連合会
相談となるとやっぱり家族や友人ですよね。一番身近で、あなたのことをちゃんと見てくれている、大切にしてくれている人たちだから相談もしやすいです。でも、ここで大事なのは半数近くが相談したことはないということです。
中には家族や友人に心配をかけたくないと思ってしまい、相談できずにいる人もいるでしょう。
「嫌なことがあっても親になかなか相談できず、ずっと自分の中にしまいこみ、辛い思いをしたことはありませんか」
「シャワーを浴びながら泣いたことはありませんか」
それと同じです。身近な人だからこそ相談できないときがあるのです。
そして「ブラック企業」の相談は軽い気持ちでできる内容ではないです。ブラック企業に心と体を蝕まれて、今にも壊れそうなとき、あなたは誰かに相談したいと思いますか。相談するってことは、今までの嫌な体験を自分の口で語らなければなりません。二重の苦しみを味わうことになります。
そして、話は聞いてくれても本当の苦しみや恐怖を半分こにはできません。すべてあなたのものです。
そうなんです、
自分一人で抱え込んでしまう人が多くいるというのが「ブラック企業」の本当の恐ろしさなのです。
「ブラック企業」とは、社員が苦しみを自分だけで抱え込んでしまうような状態を作り出してしまう企業なのです。「長時間労働」「サービス残業」「パワハラ・セクハラ」といったやり方は関係ありません。社員を精神的・肉体的に苦しめていい理由なんてどこにもありません。
まとめ
「ブラック企業」といっても明確な定義がなく、私たちも何を指標に判断すればいいのかも分からなければ、全てのブラック企業を知る手段はありません。
今回は「ブラック企業」とはどういう企業なのかをできるだけ分かりやすく紹介してきました。
「長時間労働」「サービス残業」「パワハラ・セクハラ」などブラック企業の特徴を表すキーワードはたくさんあります。でも、それよりも忘れないでほしいのは、ブラック企業は人を精神的にも肉体的にも殺してしまう組織であるということです。
「ブラック企業」で働いている方、もう辞めていいんです。
今、就職活動をしている方、魅力的な言葉ではなく、人を見てください。
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ブラック企業がどういう企業か、どんな業種に多いのか分かった?