ずっとバリバリ働きたい!男性に負けないキャリアを積みたい!
20代で仕事のイロハを覚え、飛躍の30代を迎えたいと意気込んで仕事に打ち込む女性も多いと思います。
ですが実際はどうでしょうか。男女の賃金格差、長時間労働、子育て環境。まだまだ女性が働きながら生活を充実させるには程遠い現実が続いています。
特に派遣・契約社員やパートなど、非正規雇用における割合は昔から女性が高いまま。
最低賃金すれすれの劣悪な待遇が改善される兆しは一向にありません。
この国に住んでいる限り働く女性に未来はないのでしょうか?
そんな彼女たちにとって、福音となるのが実は公務員への転職なのです。

実はなれるんです。かつては新卒しか採らないといわれていた公務員ですが、ここ数年で大きく事情が変わっているんです。

今から順を追ってお話ししていきますからね。
Contents
民間企業はいつまで女性差別を続ける気?
男女雇用機会均等法が施行されたのはいつの頃でしたでしょうか。
思い出せないくらいの年月がたった現在でも、民間企業における男女格差は依然として大きいのが現状です。

引用:年功賃金、男女格差……収入カーブから見える日本社会の歪み|ニューズウィーク日本版
同じ位の時間勤務して、同じ位の仕事をしているはずなのに何でしょうこの不公平さは。
働き方改革でやがて同一労働同一賃金とやらが導入されるかもしれないとのことですが、それで本当に男女格差が埋まるのかなどという見通しは不透明です。
しかし、です。この日本の労働環境でほぼ男女平等が実現されている職場が存在します。
それが国、官庁、地方公共団体、いわゆる公務員です。
公務員においては、男女の賃金格差や待遇における差別はとても少ないです。また結婚や妊娠で辞めなければいけないような風土もなく、産休後の復職も概ねスムーズです。

公務員および教員の労働市場では男女間の賃金格差は観測されなかったが、全ての職種において、勤続年数・年齢に関する係数は女性より男性のほうが有意に大きく、それは、個々人の能力をコントロールした上でも観測された。しかしながら、その差は非常に小さく、それぞれの労働市場において男女の賃金待遇が差別的になっている可能性はあるがそれほど大きな問題とならない程度であると考えられる。男女間に有意な賃金の差は認められなかったということは、他の業種と比較して、女性にとってこれらの職業は能力により公平な評価がなされている職業であることを意味している。
引用:「公務員および教員の男女間賃金格差 -大卒者男女の場合-」妹尾 渉/松繁 寿和/梅崎 修 大阪大学大学院経済学研究科 September 01, 2002
確かに国が民間に対して男女平等、不当な差別撤廃を奨めているわけですからね。
まさか自分たちがやらない訳にはいかないでしょう。
そして働く女性にとって魅力なのは勤務時間がキッチリ決まっているため退勤時間になれば一律で帰れる点ですね。
もちろん一概にそうとも言えない面もあります。
働き方改革を打ち出す大元の厚生労働省で長時間の残業が問題視されたという笑えない話もありました。
学校の教員のむしろブラックな労働環境にも批判の声は上がっています。
そうした例を除いてですが、ほとんどの公務員は働く時間が決まっており労働環境的にも申し分ありません。当然就職先としても根強い人気です。
ですがこれまでは実際に公務員試験を受けて採用されるのは高校や大学の新卒の若者がほとんど。
30代になると募集要項の年齢制限によりその道が閉ざされてしまうのが常でした。
どうして年齢制限があるの?

それに今はどこの職場でも採用にあたって不当な年齢制限は禁止されているはずですよね。
どうして公務員は年齢制限をなくさないんですか?
実は過去にそれに関する裁判例があり、年齢制限は憲法違反であると訴えた原告側が敗訴しているのです。
(1)わが国の雇用慣行を前提とすると、一定年齢以下の若年層に優先して就業機会を与えることは、社会的に是認されていて、不合理であるということはできない、(2)わが国の雇用形態に変化の兆しがあるものの若年層への優先的な就業機会が妥当性を欠くに至っていない、2001年の雇用対策法も例外指針で長期勤続キャリア形成を図る場合を認めている、人事院による年齢制限を撤廃する方向での意見表明は本件合理性の判断を左右しないとして、年齢制限を設けることは、行政側の裁量権の範囲内という判断が示されています(東京地方裁判所平成16年6月18日判決、最高裁判所平成17年4月19日判決)
引用:弁護士ドットコム
つまり、公務員は長期勤続でキャリアを積むのが当然であり、そのため若年層への就業機会を優先するのは正当だという話です。
確かに公務員は勤務時間も一定で残業もなし、給料も安定となれば多くの希望者が殺到するのは目に見えていますからね。
即戦力にならない新卒に不利にならず成長機会を与えるためということですね。
時代は変わった。お上も変わった
しかしそんな潮目がここ数年の内にガラリと変わってきています。
民間企業で経験を積んだ人材を積極的に採用しようという社会人経験者採用枠の登場です。
そこにはいったいどういう変化があったのでしょうか。
- 人口減少による地方の活力の低下
- 民間のサービスや専門的スキル、合理的な手法、活力を取り込みたい
- 就職氷河期に新卒採用を控えた結果、近い将来一部の年齢層の職員が不足してしまう危惧がある
この他、平成19年に雇用の年齢制限が原則禁止された影響もあるものと考えられます。
こうした背景もあり社会人経験者に門戸を広げる自治体や官庁が増えた結果、現在では85%もの地方自治体で社会人採用を行なっています。
民間企業で働いてそれなりの経験を積めば30歳はとうに超えている人が大多数ですよね。
なので現在、社会人として働いている人にとっては社会人経験者採用での応募が一般的な選択肢となっています。
具体的な募集要項や定員は各自治体によって異なりますが、中には59歳まで募集可能なところもあるというから時代は変わりましたね。

木佐貫さんも受けたいんじゃないですか?

って僕のことはいいじゃないですか。そういう人が多いからこそ今まで年齢制限を設けていたんですね。
だからこの制度も応募が多くて狭き門なんですよ。職種によっては募集が無い年もあるためなかなか大変です。
平成30年度 都道府県(社会人経験者)の例
自治体 | 倍率 |
北海道行政C | 7.5 |
栃木県 | 27.9 |
愛知県社会人 | 34.4 |
大阪府 | 10.5 |
神戸市 | 83.5 |
参考:平成30年度 社会人経験者採用実施状況|公務員試験総合ガイド
社会人経験採用はほとんどすべての行政区で高倍率ですが、その幅は1桁~最大83.5%と、大きな開きがあります。少しでも受かる可能性を高めるために、少しでも倍率の低い地方自治体を受験するのも一つの方法です。
「非正規公務員」にご用心

確かに最近ではこうした期限付きのいわゆる「非正規公務員」が増えています。
「小さな政府」を目指した規制緩和や人口減少による税収の低下に伴い、多くの自治体で経費削減を余儀なくされました。
そのため期限や役割を制限して賃金を抑えた非正規の職員が急増したのです。
採用に当たっても敷居は低く、家事の合間に働きたい主婦や不況のあおりをうけて正規採用にあぶれた若年層、特に女性を中心に増加傾向にあります。
非正規公務員にあたる臨時・非常勤職員は教育や保育に関わる業務に特に多く、中でも学童指導員、学校給食関係、図書館職員、消費生活相談員などは非正規無しでは成り立たないくらいです。

図1 職種別の臨時非常勤職員分布(単位:%) 出典)自治労調査2012
実際私の友人でもこうした形態で働いていた女性がいました。
彼女は他業種からの転職で図書館での仕事を希望していました。ですが当時はまだ社会人採用もなく、近隣の市立図書館で募集していた非常勤職員として雇用されたものの、給与はフルタイムで手取り額15万円程度。
しかも単年契約ということで毎年更新を余儀なくされたあげく、勤務先の図書館は市が民間会社へ管理を委託してしまいます。
結局その会社の契約社員として更に低い賃金で働かざるを得なくなった彼女は、図書館の正規職員で社会人経験者を募集している自治体を探し続けています。
彼女のように非正規公務員の7割が年収200万円以下の低賃金で不安定な就労状態にさらされており、官製ワーキングプアとして社会問題にもなっています。
「役所がワーキングプアを生んでいる」 地方公務員5人に1人が非正規に|Yahoo!ニュース
もちろん多様な働き方はあって然るべきですが、本人の希望ややりがいに付け込んだ搾取のような待遇は許されることではなく、働く側もそうした仕事も選ばない方が賢明です。
正規職員への道
公務員を目指すと決めた貴女。道のりは決して楽ではありませんが、頑張って正規職員を目指しましょう。
前述の通り30代の場合は社会人経験者枠で応募することになります。その際、決めなければいけないことは
国家公務員を希望するのか地方公務員を希望するのか
どこの自治体・官公庁でどんな職種で募集しているか
を確認しましょう。
基本的には自分の住んでいる、あるいはその近隣の地域で受験したい職種があるかどうかを調べます。
国家公務員の場合
国家公務員の場合は、国の人事を司る人事院のホームページから申し込みます。
経験者採用の場合、国家公務員試験採用情報NAVIの「社会人の皆さんへ」に詳細な案内がありますので、それをもとに募集要項を確認してください。
民間企業での経験はもちろんですが、外務省は語学、農林水産省や国土交通省は農学や土木など、省庁によっては特定の能力や大学での修了科目が必要とされる場合もありますので注意しましょう。

地方公務員の場合
地方公務員に関しては、ご自分が住んでいる都道府県のホームページから採用情報をチェックしましょう。
こちらも重要になってくるのが、自分が働いた経験のある分野での募集があるか、です。
だいたいどこの自治体でも、土木や電気工事、医療事務などの経験者が求められています。自分の経験を活かせる分野での応募がない場合は近隣の都道府県や自治体で募集しているところがないか探してください。
横浜市など大都市では一般事務などの募集も行なっていますので、マメな情報収集が大事になってきます。
東京都の場合キャリア活用採用や特別区経験者採用という形で社会人を募集しています。東京都の採用情報をご参考ください。
特別区採用は、東京都の職員ではなく、東京23区のそれぞれの区、台東区とか杉並区とかという行政単位での採用です。
どうしても自分の専門や勤めたい分野での応募が見つからない、という場合は業界内部での情報も探してみましょう。
先ほどの私の友人の女性は図書館での正規職員を探すために、日本図書館協会の採用情報を見て募集をかけている自治体を調べているとのことで、極めて少ないながらも案件があるようです。
試験って何を問われるの?
では気になる採用試験ですが、社会人採用では主に職務経験を反映した筆記試験や論文・論述試験や面接が課されます。
多くの所で過去の試験問題が公開されておりますので、どういう事を問われどんな内容を勉強すればいいかという対策が立てやすいのはありがたいですね。
とはいえ国家公務員はかなりハイレベルですし、それ以外でも学生時代以来試験から遠ざかってきた人にはけっこう難しいです。
そんな大変な筆記試験をくぐり抜けて面接へと挑みます。
こちらのサイトには面接でどんなことを聞かれるかの面接質問集が載っています。至れり尽くせりですね。
どんな人材が採用されやすいか
では経験豊富な社会人としてどんな人材が公務員に採用されやすいのでしょうか。
大事なのは自分の経験がその自治体でどう生かせるか、どう役に立つかであり、必ずしも優秀な人材が採用されるとは限りません。
また自分がその土地、その市や町をどれだけ良くしたいかという気持ちも問われます。
一方で「自分はこれがしたい」という志望動機は大事ですが、あまりそこに固執しない方がいいと思います。土木や保健など専門分野で採用された人はまだしも、特に一般事務職希望の人は多種多様な業務に回されると自分の夢や希望どおりに行かないことの方が多いでしょう。
むしろ「経験や専門を活かしつつ様々な業務を行って地域に貢献したい」という気持ちで臨む方が気持ちも違いますし、採用する側にも良い印象を持たれるのではないでしょうか。
なので「自分にはこれと言ってしたいことがない」と内心思っている人でも、色々な業務を経験する中でこれはと思うことに出会うかもしれません。ですのでそこは柔軟かつ積極的な気持ちで応募する方が良いと思います。
このへんは民間とも共通する要素がありますね。
お役所は働く女性を求めてる

まあ確かにそう思いますよね。でも諦めるのは早いです。実は最近の公務員試験においては、同等の能力なら女性が優先的に採用される傾向があると言われています。
むしろ男性の側から「逆差別ではないのか」という声もあがるくらいですから。
ではなぜ公務員で女性が有利と言われるのでしょうか。
国の方針
「女性が輝く社会」みたいなキャッチフレーズを総理大臣自ら掲げていたのは既に忘れられているかもしれません。
ですが積極的に女性を採用するというのはそもそも政府の公式な方針です。
今まで男性に偏りすぎていた分、女性を多く採用しないと人数的にバランスが取れないということです。そうした影響か特に論文や面接では女性の競争倍率が下がる傾向にあります。
男性応募者にしてみればたまったものではありませんが女性にとっては大チャンスです。
今後時代が進んで、本当にどの職場でも男女が同じ割合、同じ待遇なのが当たり前になれば、こうした傾向も収まるのかもしれませんが、そんな時代はたぶんまだ大分先。今のうちに積極的に応募しましょう。
フットワークの軽さ「ワタシどこへでも行けますわよ」
公務員として自分が取り組みたい仕事は毎年どの自治体で募集しているかわかりません。
場合によっては自分の今住んでいる所とは遠く離れた見知らぬ県で募集していることもあります。
そういう時に及び腰になるのはたいてい男性。住み慣れた土地を離れ知らない所で生活する不安から保守的になりがちです。
そこへいくと女性は「他の家へ嫁ぐ」「住む土地は配偶者しだい」という意識が根底にあるためか、独身であればわりと何処へでも行ける人が多いです。こうしたフットワークの軽さ、自由さは強いですね。男性も見習いたいものです。
「生活者目線」の強み
民間の利点を取り入れたい行政の現場にとって、子供を産み育て、教育や生活により密着している女性の目線が大事になってくるのは必然。
それに加えて営利を追求する民間企業での経験のある女性なら鬼に金棒です。
「地方公務員アワード」というサイトでも優れた業績を上げている公務員が紹介されていますが、そこには何人かの民間出身女性も活躍している様子が取り上げられています。
大垣 弥生さん <生駒市役所 地域活力創生部いこまの魅力創造課> 前職:百貨店勤務
- 広報紙を刷新。CM制作やSNSでの情報発信
- 「いこまの魅力創造課」を立ち上げまちの魅力をプロモーション。
- 広報のノウハウを他の自治体にも公開
参考:『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017』推薦文Vol①
- 地域ケア会議で高齢者に対する豊富なメニューの整備やオーダーメイドのケアプランを策定
- ケアプランに基づく細やかな地域の市民ボランティア体制を構築
参考:『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017』推薦文Vol④
- 県のPR動画を取材・撮影から編集・ナレーション・公開まで独力で行う
- SNS・YouTubeを活用して広報を行う
参考:『地方公務員アワード2018』岩田 早希代さん(福井県庁)
お役所仕事といえば前例主義で融通が利かず新しいことができない、非効率で定型的で職員にやる気がない、などというイメージが強いですが、そうした側面ばかりではないのですね。
そうした住民目線で活気に満ちたクリエイティブな仕事の旗振り役を担うのが彼女たちのような公務員なのです。

私も頑張らなきゃ。
まとめ
就職氷河期に当たって不当に職にあぶれてしまった30代、特にフルタイムでしっかり働きたい女性にとって公務員への転職は一発逆転の秘策になりうることがお分かりいただけたでしょうか。
当然そこには高い競争率を勝ち抜かなければならず、いばらの道も控えています。
とはいえまだ女性有利の追い風が吹いている今だからこそ公務員は狙う価値があることは間違いありません。
もちろん安定した待遇と長く働き続けられる点は魅力です。
そうした個人的な野心も大事ですが、公務員や正社員だけが恩恵を受けるのではなく誰もが安心して暮らしていける国にしたい。制度や環境を整備してここに住んで良かったと思える町にしたい。
そんな想いを抱いて公務員への扉を叩いてみれば、きっと道は開けてくるのではないでしょうか。



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